2268 認知症という病

2268 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
心と体の健康「認知症という病」


認知症という病は、人間らしさの一部とみな
されるものが、一つひとつ失われていくのを
自覚したとき、初めて知ることになる。
日頃、当たり前に思っている間は気づくこと
がない。
例えば会話・・相手の言葉を受けて答えたり
質問したりするには、直前に語られた内容を
ごく短い間、覚えている必要がある。

この”短期記憶”をなくすと、言葉のやりと
りができず、同じ会話を繰り返すようになる
また”時間と空間の認知”は、あらゆる
行動の基本になるが、この能力が壊れると、
居場所を探してさまようことになる。

認知症の前段階「軽度認知障害」を発症した
ころ、『まるで暗い洞窟の中へ入って行くよ
うな気持ちになった』という。

ついこの間まで当たり前にやっていたことが
出来なくなる・・
今がいつで、ここがどこか?わからなくなる
不安と孤独は、患った本人しか分からず、
幼い少女のようにおびえるのです。

5年後の2030年には、65歳以上の
7人に1人が認知症になるという。
老いとともに誰もがなりえる病・・
私たちはその病に苦しむ人たちのことを、
どれほど理解しているだろうか・・

                                   日経新聞「春秋」