2224 創業100年の企業を立ち直らせた現場第一主義

日本の高度成長を牽引したのは、
「大家族主義」の企業だった。
年功序列で係長・課長と要職に付き、会社と
ともに人生を歩む・・今では、その家族主義
が遺物になろうとしている。

米国鉄鋼最大手の製鉄所/従業員3万人
のニューコア・コーポレーション。
この会社が何よりも大切にしているのが
チームワーク製造担当者と監督、品質管理者がチームを
組んで働く。
給与の3分の2は”成果給”チームとして
どう目標を達成し、品質を維持するかを評価
する。
成果を上げた月は給与が跳ね上がるが、
悪いと急減する。
成果は全員で平等に分け合う。
結束しなければ報酬につながらない。
「チーム力」が業界NO1企業に押し上げた

「家族主義」に「成果主義」で味付けした、
新たな「現場第一主義」が、創業100年
の老舗を立ち直らせた。

米鉄鋼業は斜陽産業の代表だった。
1970年代に日本企業の後手に回り、
90年代からは中国勢に押され続けている。

かって米鉄鋼生産の3分の2を占めた
USスチールは、日本製鉄への身売りを決め
ている。
そんな業界でニューコアただ1社、
10年で営業利益を5倍にした。時価総額は
2.4倍の約6兆円・・日鉄の約2倍になる。
売上高は、米国上位20社に入る規模になっ
た。
従来の米国の概念は「株主第一主義」
短期間の成果のみを追う企業が増えた結果、
疲弊したのが現状だ。

その問題点と重要性にいち早く気づいたのが
世界最大米国5千店の小売業・ウオルマート
だ。
現場で起きていることが的確に把握できる
店長には、最大40万㌦の報酬を支払ってい
る。店長に昇進する道が、パートタイムを含
めて全ての従業員に開かれている。

年間売上は過去5年で30%増え、アマゾン
を700億㌦も上回る。
米国の古豪が、従業員と共に殻を破り、
最優良企業になった。