■日本三名山の立山と白山
12月8日は丸一日、北陸の冬には珍しい、雲一つない快晴でした。
真っ青に晴れ上がったのです。天気予報を見て、急遽友人二人と、
金沢港に隣接する金沢リンクスへ…温かい陽射しに感謝しながら、ゴルフを満喫した。
11月28日は一日雨、12月9日は、7日に降った雪(山手のゴルフ場はクローズ)で、予定していたコンペが二度も流れた。 それだけに、楽しさもひとしお…
左前方には、雪を頂きキラキラ輝く立山連峰が、右前方には霊峰白山が…
雪化粧したこの季節が一番美しい。
澄みきった青空に、蜃気楼のように浮かび上がる、二つの雄姿…。
旧8号線、車で呉羽から富山市街に入るとき、小さな峠を上がり下りする。
峠にさしかかり、市街地が目に入ったその瞬間、突然飛び込んでくる"立山・剣"の雄姿。
富山市街の借景となって、屏風のようにそそり立つ…絶景である。
日本一の富士山にも劣らない…美しさに、感動するのです。
立山は、男性的で雄大。
一方、片山津温泉・柴山潟から遠望する白山は、女性的で美しい。
【心と体の健康情報 - 626】
~子育て心理学~ 「子どもは遊びで育つ」
4歳の誕生日が間近な外孫(女の子)。
毎週、民放TVの救急病院ドラマを食い入るように見ている。
「面白い?」って聞いたら、「将来お医者さんになる」という。
医者になるには、「私立の小学校に入れなくちゃ」と、今から心配する母親…。
子どもが「ただいま」と、学校から帰ってきたら、すぐに外に出て、同じ年頃の子ども達と遊べる環境だったらいいな…
小川で水遊びをして、着ているものを泥んこに汚し、裸足で川底の石を掴み、体じゅうを使って水と戯れる。
全身に血がめぐる…お腹が減り、よく食べ、疲れ、よく眠る…幼い頃の、日々の私の姿である。
着ている服をカギ裂きにして帰ってきても、母は何も言わなかった。
今は、洗濯機に入れれば済むのに、子どもが服を汚してきただけで、叱る親がいる。
先週の日曜日、天才サッカー少年の家庭を、放映していた。
お父さんは、元プロサッカー選手。練習プログラムがびっしりの毎日…。
体を鍛えるためと、月曜は柔道教室、金曜は水泳教室に通う。
更に週3日、塾でお勉強。両親の期待に応える天才少年…将来が楽しみです。
「3歳からでは遅すぎる」と、我が子を英才教育へ駆り立てる親。
昨今、各界の一流プレーヤーを見ると、幼少の頃からの両親の英才教育で、
頭角を現した人が多い。
囲碁界は特にそう…政界のように、やたら二世が目立つのです。
今、人並み以上に勉強出来ても…大人になればただの人?
子は親のコピーである。
ごく普通のDNAの親が、我が子が鷹になることを期待する…そんなご時世です。
10歳頃までは、勉強よりも遊びの方が大事だ!…まず体をつくることだ。
十分に遊び、暴れまわった子…結局は伸びる。
勉強よりも遊ばせた方が、将来、良好な人間関係がつくれるようになる…。
塾に駆り立てるよりも、本を読ませた方が、感性豊かな子どもに成長するだろう…。
学ぶことの意味が分からない幼い子に、人より早く詰め込み教育をして、どんな意味があるというのか?
日本の子どもたち、理数系の学習能力は、先進国最下位…。
子どもは、体と頭を使って遊ぶことで、初めて工夫し、考える知恵が育まれる。
自ら工夫し考える…自主性を育む環境がないと、子どもの能力は開花しない。
土台がない所に、何を積み上げ、学ばせたところで、無駄というものです。
ところが現実…外で遊ばせたくても、近所で一緒に遊んでくれる子どもがいない…
少子化社会である。いたとしても、学校から帰れば、塾が待っている。
お友達のお母さんは、遊びより塾が大事と、我が子を塾へと駆り立てる。
それよりも、外に、子どもを1人にはしておけない…物騒な世の中になった。
そんな環境で、「勉強より遊びの方が大事」と思ってみても…このまま遊ばせていて…うちの子、勉強が遅れてしまう…
みんなに付いていけなくなったらどうしよう…。
「遊んでばかりいないで、塾へ行きなさい」と、つい言ってしまう…子を持つ親の心理です。
■最初の4分間
初めて会った人…その人がどんな人かを判断するのに、そんなに時間を要しない。
良い人か悪い人か、好きなタイプか、嫌いなタイプか…これから付き合っていきたいか、これっきりにしたいのか…自分より偉い人か、苦労人か…
。
いろんな観点から観察して、無意識のうちに"ねぶみ"をしているのです。
アメリカの"ズーニン"という心理学者は、
「人は出会ってからわずか4分の間に、その結論を出す」と言っている。
つまり、最初の4分間が決め手。初印象が悪いと、それが相手の脳裏に刻み込まれて、後々まで残り、それをくつがえすことが困難になってくる…
。
人は見た瞬間、「こいつはダメだ」とか、「この人はできる」などと判断する直感力を有している。どんな風に見られているか…
人間関係の良し悪しに影響し、人生に影響していく。
ならば、相手に良いイメージを持たれようと、初対面をつくろってみても、直ぐに、正体を見破られるだろう。
先々週No.608号で…「人が自分のことをどう見ているか?」と、思い悩む前に、身近な家族や、
職場の部下を理解出来ないでいる自分を、思い悩むべきでしょう。
【心と体の健康情報 - 612】
~子育て心理学~「いじめをどうなくす」
週に数度、二人の孫を幼稚舎へ送迎している。 夕方迎えに行くと、噛まれたり、顔をくじかれ、絆創膏を貼って部屋から出てくる。
幼稚舎の先生が詫びを言う。
子ども達の集団の中に、体の大きな子や、力の強い子がいて、自分より弱い子に、イジメに似た行為をする。
以下、大坂樟蔭女子大学学長/森田洋司「いじめ自殺どうなくす」から…
子ども達の社会から、いじめが無くなることはないだろう。
いじめの被害を軽く見てはいけない。自己を形成する途中の子どもが"いじめ"を受けると、心がずたずたに切り裂かれ、
耐えられない状態になってしまう。
いじめられている子は孤立し、いじめる子は、歯止めがかからない。
注意して観察していても、見えないのが"いじめ"。いじめはなぜ起きるのでしょうか?
人の集団には、力のアンバランスがあり、優位に立った人間が、その力を悪用すると"いじめ"になる。いじめがエスカレートすると、
集団の中でターゲットになるいじめられ役が、固定化されていく。
いじめは、いじめる子、いじめられる子、はやしたてる「観衆」子…そして、
見て見ぬふりをする"傍観者"の"4つのグループ"に大別される。
そこで、いじめを止める「仲介者」層が育っていないと、深刻な事態になる。
教師がいじめのきっかけだったりすると、いじめを止める層がいなくなってし まう。
"いじめ"は世界共通の問題です。
英国、オランダ、ノルウェー、日本の4か国で、小・中学校のいじめの調査をした。
発生率トップは英国で、日本は低い。しかし、日本はいじめの期間が長く、頻度も高い。
ヨーロッパでは、中学生になると"仲介者層"が育ち、傍観者が減る…いじめの進行が食い止められるのです。
日本だけ逆に、中学生になると"仲介層"が減り、"傍観者層"が増加してくる。
日本の社会全体…自分さえよけれはそれで良しとする、"保身意識"が強い。
他人には無関心を装う…そこに傍観者が生まれる背景がある。
先月終了したNHK朝の連続ドラマ、西田敏行主演の「瞳」に、私の子どもの頃あった風景がたびたび出てくる。 あのような暖かい家族のふれ合い、思いやり、ご近所との連帯は、どこへ行ってしまったのでしょうか…?
欧米社会は、市民意識が強く、社会の一員であることを重視する。
今の日本は、家族の間が無関心…隣人に無関心…そして社会に無関心… "砂漠化した都会"とでも言いましょうか…。
"いじめ"は、いじめる子がいなければ起きない。
いじめる子を育てた社会や、家庭の責任も問われなければならない。ところが、自分の子がいじめに加担していないかと、
気にする家庭はほとんどない。
こうした意識を改めないと、本当の解決にはならない。
「人の嫌がること、人を傷つけたり辱めること」、そのようなことを他人にするのは悪いことだと…まだ、物心がつかない頃から、
家庭で厳しく躾けなければならない。
私の二人の孫…幼稚舎から帰ってくるや、バイキンマンがアンパンマンに意地悪して、やっつけ合うTV漫画にかぶりつき…「悪いやつは…
やっつけてしまえ」無意識に、自己中心的"いじめ"の種が、幼児の心の奥底に刷り込まれていく…。
■「経営は凧揚げと一緒やで」
松下幸之助翁は、「経営は凧揚げと一緒やで」と、経営を凧揚げに例えて話をした。
・「風」は … 経済(景気の風・不景気の風)
・「凧」は … 会社
・「凧の紙」は … 社員
・「凧の骨」は … 幹部社員
・「糸」は … 経営理念
・「糸を引っ張っている人」は … 社長
・「凧に付けた足」は … 研修
(一本より二本の方が、凧は安定する)
幸之助は付け加えて…
「風なんかなくても、凧は揚がるで…
高く揚げようと念じて、糸を持って走ったらええ…」
松下幸之助・伝習録から
【心と体の健康情報 - 589】
~子育て心理学~ 「錯覚の愛情」
今どきの若者…命の尊厳を知らず、自己中心的で社会性に欠け、礼儀作法も上下関係も無頓着…そんな若者が目立つ…育てたのは、
私たち親の世代です。だから、子どもの教育をあれこれ言う前に、親である私たちを再教育する必要があるようです。
「今週の倫理・551号/錯覚の愛情」は、そのことを考えさせてくれます。
私たちの多くは「愛情がすべてを救う」と信じてきましたし、それが家族の絆であるとも思ってきました。ところがここ数年、
愛情豊かに育てられた子どもたちが起こす問題は、これら常識に警鐘を鳴らし始めているのです。
例を挙げれば、「子どもが欲しがる物を買い与える」行為を、愛情だと思ってきた。その行為…果たして正しかったのでしょうか?
錯覚ではなかったのか?…私たちは、強く反省すべきではないでしょうか。
T社長は、1人息子S夫に、愛情をいっぱい注いで育てた。暇をみては遊んでやり、欲しがるものは何でも買い与えてきた。
S夫は明るく伸び伸びと成長し、成績はいつも上位でした。ところが高校二年生の頃から、学校の帰りが遅くなりはじめ、
遅刻や欠席が目立つようになった。
当然のごとく成績は落ち、学校から呼び出しを受けるようになった。
そこでT社長は、S夫と話し合ったが、結局「バイクを買ってくれたら早く帰る」と約束しただけで終った。が、
S夫の生活が改まったのは、せいぜい半月ぐらい…元の木阿弥どころか、バイクを通して、さらに悪化していったのです。
T社長は、体罰も辞さずの心境で、帰りを待った。ところがS夫の顔を見ると、〈家出されたらという〉不安が先にたち、
厳しい言葉は何も出てきませんでした。
倫理法人会のセミナーに参加した折り、講師に自分の不甲斐なさを相談した。
講師は、「息子への愛情の錯覚は、父親である貴方が、若い頃の父親への不満の裏返しです。貴方は 十五、六歳頃に、
お父さんを激しく恨んだことがあるはず…そのために、その年頃になった息子に、父親としての自分を示すことが出来ないのです」と、
指摘されました。
確かにT社長は、高校卒業後の進路について父と激しく衝突し、父の「今日限りで勘当だ」との声を背に、家出同然に上京した。 苦学を重ねて大学を卒業し、日夜懸命に働いて、お金を貯め、現在の会社を創り上げたのです。
やがて経営も順調となり、十数年ぶりに勘当が解かれ、父親に再会できたものの…胸の奥のしこりは、残ったままでした。
T社長は帰郷し、年老いた父の前に座り、恨んでいたことを詫びた。
父親は、「勘当せずには、息子の上京を受け入れることができなかったし、また、背水の陣で頑張ってほしいという願いもあった」と、
当時の心の内を語ってくれた。
母親からも、「父さんはね、毎日仏壇の前で、あんたの無事を祈っていたのよ」と聞き、やっと親の愛を自覚することができたのです。
早速T社長は、S夫に親としての毅然とした態度を示しました。以来S夫中心だった家庭が、夫婦中心へと変わっていった。
それからのS夫は、生活姿勢もすっかり改まり、無事に高校・大学を経て、父親の会社で元気に働くようになったのです。
私たちの子どもの頃、家庭が貧しかった故に、自らが親に求めて得られなかったことを、自分の子どもには、同じ思いをさせまいとし、
そうすることが愛情であると、錯覚していたようです。
"感謝のない優しさ"は、子どもへの「甘やかし」となり、"厳しさ"は「押しつけ」と、子ども達には映って見えるのです。
子どもに対する愛情は、親自ら「両親への恩」を、子どもに示すことによって、初めて伝わるものなのです。
■「全国亭主関白協会」
同じ趣味や志を持った人が集まって出来る組織…全国には、いろんな組織があります。
「全国亭主関白協会」も、そのひとつです。
夫婦円満には欠かせない、"夫の心得"を説き、平和で円満な家庭づくりを目指す男性の集まりです。
○主 張 …「夫は妻の尻に敷かれるべきである」
○尊主事項 …「ありがとう」「ごめんなさい」「愛してる」
妻に、この言葉をことあるごとに言う。
○スローガン…夫婦げんかをしたら…
「勝たない」「勝てない」「勝ちたくない」
世のお父さん方…家庭で威厳を保とうと、威張り散らしたところで、神通力はとっくに消えてありません。とりあえず3日間、 この3つの約束を実行してみてはいかがでしょう。奥様がどんな反応を示すか?…楽しみです。
【心と体の健康情報 - 581】
~子育て心理学~
「そろばんは、右脳・左脳、両方を育てる」
会社でソロバンを手にして、伝票を整理していたら、「あら~ァ珍しい、算盤をはじいてる…」と、
訪れた代理店さんに言われることがある…。
さほどに、ソロバンを使う人が少なくなり、珍しがられる時代になったのです。
私には、電卓より算盤の方が正確で早く、安心できます。珠をはじく微妙な指の感触が、計算の正しさを確信するのです。
算盤は中国から日本に伝来した。我が石川県に、日本最古の算盤が現存することをご存知でしょうか…加賀藩の初代藩主前田利家が、
1592年に陣中で使ったと伝えられる。縦7センチ、横13センチの「陣中算盤」です。玉は獣の骨で作られている。
戦後、算盤と電気式計算機の対抗試合が行なわれたのは、以外に早く、終戦の翌年昭和21年11月…日比谷で催された。米軍の機関紙
「星条旗」が主催して、「加減乗除に混合算」の計5種目を競い、算盤側の日本が4種目を制している。
敗戦直後のことで、「戦勝国を打ち負かした」「日本は死なず」と喜んだと伝えられる。
その後、計算機の演算速度が飛躍的に進歩しても、対抗試合は続き、算盤に軍配が上がっている。
近年、学力向上の手段として、算盤が教育の現場で見直されるようになった。
珠算能力検定受験者数は、昨年、26年ぶりに増加に転じたのです。
最近では、東南アジアや、中東などの教育現場でも、採用されるようになり、日本でも、伝統の計算術に復権の兆しが見えるのは、
うれしい限りです。
読売新聞「編集手帳」から
最近になって、算盤を習うと右脳が開発され、知能が発達することがわかった。
算盤の上段者になると、頭の中にイメージした算盤で、暗算能力が研ぎ澄まされる。名人になると、16桁もの乗除計算を、
暗算でこなしてしまう。
これを外国でやって見せると、みんな「マジックだ、魔法だ」と、ビックリする。
右脳は、音楽・感性・創造力などの働きを司る。左脳は計算・論理・暗記力の働きをする。詰め込み学習で大人になった「左脳型人間」 より、創造性豊かな「右脳型人間」の方が、重宝され、求められる時代なのです。
算盤を使っての計算は"左脳"。算盤を脳に描いての暗算は"右脳"。算盤を身に付けると、左脳と右脳の両方… 同時に活性化されるのです。算盤を習うにつれ、バランスの良い思考力も、同時に備わってくるのです。
囲碁ブームに続いて、我が子を「珠算塾」や「お習字塾」へ通わせるのが流行っている。算数や計算が得意で、きれいな字が書け、
物事を大局的に見ることができるようになるなら…親の願いです。
いい大学を目指そうと、小学生の時から学習塾に通わせ、目先の成績ばかりに囚われているようでは、子どもがかわいそうです。
※私にとって囲碁は、生涯の友です。趣味にしたい方…お手合わせ、いつでもOKです。
■エミリー・ウングワレー展(5/28~7/28)
昨日29日、商用で東京へ出張した折、国立新美術館で「エミリー・ウングワレー展」を鑑賞した。是非見たいと思ったのは、 オーストラリアの先住民で、生涯砂漠の中で暮し、西洋美術に触れる機会が一度もなかった老婆が、80歳近くになって絵を描き始め、 96歳で没するまでに、何と3千点もの作品を残したこと…。
没後、評価は高まる一方で、昨年5月、シドニーのオークションで、彼女の作品が1億円を越える金額で落札され、話題になった。
19世紀末、セザンヌやモネの点画画風に、現代の抽象画風をアレンジしたような異色の画業。
高さ10メートルはあろうかという巨大なキャンバスを、力強い無数のドットで埋め尽くし、豊饒な色彩感覚が、見る者の目を釘付けにし、
陶然とさせずにはおかない、不思議な魅力に引きこまれる。
5/27 読売新聞から引用
【心と体の健康情報 - 571】
~子育て心理学~
「明日を求めて…子どもたちへ」
■今どきの生徒の心の動き 大坂・松虫中学教論 原田隆史
・努力することを嫌う(向上志向が希薄)
・教え子に「まじめにせえよ…」と言っても、「まじめ」の意味が分らない。
・自分の心をコントロール出来ず、直ぐにキレる。
・自分の中に、相反するものを合わせ持っている。
(例)相手を好きと言った…その舌の根も乾かないうちに、相手を嫌いという
・親子のつながりだけでは、教育出来ない時代になった。
・まだ子どもなのに、物欲や金銭欲が異様に高い。
何かをしてもらう時、「先生、何おごってくれる?」と、モノをあてがわないと、
やろうとしない。
・「無関心」「無興味」「無目的」…将来への「志」が希薄。
・親を敬わない、尊敬しない。
・満足感、充実感がない。
・「人から尊敬されたい」「人にすごいと思われたい」…そのようなことを
思うことも、経験したこともない。人から褒められたことがない。
※原田先生は、松虫中学をわずか3年で中学陸上総合日本一に育てあげた
「夜回り先生」として、その名を全国に知られる"水谷修"さん(51)。 ■覚せい剤やシンナーの乱用を止められなくて苦しんでいる子どもたちは、 ■親からの虐待や学校でのいじめで苦しむ子ども達も、すぐにわかります。 ■いじめをしたり、非行や罪を犯している子ども達も、すぐにわかります。 ■不登校や引きこもりの子ども達も、すぐにわかります。 子ども達…今の君たちの姿はどうですか? 鏡に自分の姿を映してみて下さい。 |
【心と体の健康情報 - 565】
~子育て心理学~
「教育とは、児童が持つ可能性を引き出し、
伸ばしてやること…」
国語や算数の授業では目立たなくても、違ったところで才能を発揮する子どもがいる。
その能力を引き出してやるのが、「教育」の大きな目的であり、役割でしょう。
ある私立の中学校の体育の時間。ポップスの最新ヒット曲が流れ出すと、六年生の生徒達が先生の動きに合わせて、
ぎこちなく体を左右に揺らし始めた。
音楽のリズム感と、運動能力向上を目的として、年間26回、50時間の授業が組み込まれている。
「できないままじゃつまらないよ。楽しんでやってごらん」
回を重ねるごとに、児童たちの動きも大きくなって、リズムに乗るようになってきた。
先生は、1人の女子児童に目をとめた。ふだんはおとなしく、小さな声で話すのがやっと。
そんな子が楽しそうにリズムを取りながら、のびのびと踊っている。
自分から積極的に行動する子でもないし、こういう機会がなければ、彼女の違った一面に、気づくことはなかったでしょう。
学校の枠にはまらない授業は、意外な子が元気に自己表現してくれる。
教室の勉強では見せない真剣な表情をする子もいる。課外授業の効果は、普段の授業にも表れて、発表させると、
堂々と人の目を見て話す子が増えたという。
こうして引き出された、その子だけが持つ良さや、可能性を、どう生かし、伸ばしてやるか…それが両親と学校の役割でしょう。
担任の先生は、
「児童一人ひとりが持っている可能性を見抜き、どのように伸ばしていくか…」
良い教師と、そうでない教師の違いが、ここで試されることになる…。
読売新聞の教育欄より
社会の第一線で活躍するプロの芸術家が、母校の教室にやってきて「課外授業」を行う…
最近まで、毎週日曜日NHKで放映していた。
見るのが楽しみだった。
5~6人がひとチームとなって、与えられたテーマにチャレンジする…。
子供たちは試行錯誤の末、様々に自己表現して、思い思いの作品に仕上げていく。
いつの間にかグループの中心にいて、みんなの考えをまとめようとする子、イラストを書くのがうまい子、手先が器用で、
切ったり貼ったりするのが上手な子、アイデアを出す子など、子どもたちが持つ一面をカメラが追っていく。
いままで隠れていた子供たちの感性が、テーマに沿って、みごとな作品に仕上がっていく…。
■『本』は、想像力を養う
「思いやりの心で接しましょう…」と、先生はいう。
でも、「思いやり」って何なの? 子どもたちには分からない。
思いやりは、「想像力」を働かせることから生まれてくる。
では、想像力を養うにはどうしたらいいでしょうか?
それは、本を沢山読むことでしょう。
本を読むことによって、想像力が育まれるのです。
想像力が未成熟の子どもに、"情報"のシャワーが絶え間なく降りそそぐ…
物事の良し悪しを判断する能力がない幼い心に、とんでもない誇大妄想が膨らんでいく。
妄想と日常の区別が出来ないまま、何が良くて、何が悪いか? 判断できずに、常軌を逸脱した行動に走り、事件を引き起こす…
まわりを不幸にし、自分も不幸になる…子どもたちが抱える問題でしょう。
【心と体の健康情報 - 341】
~子育て心理学~
「自ら学習し、身につけさせる」
『一見したところ、なんでもやすやすと「学べる」ということは、
子どもにとっては、破滅の原因でしかない。
そういうふうに、やすやすと「学べる」ことにこそ、
子どもが、なに一つ学んでいない証拠であることが、人にはわからない』
(ルソー・エミール)
※「学べる」を、「手に入る」と改めても、あてはまる
※「ルソー」(1712~1778)
フランスの思想家で、教育論「エミール」で近代的人間教育の理念を確立した
戦後間もない小学生の頃、家は貧しく、両親は日々の暮らしを立てるのに精一杯…
親に「勉強しろ」と叱られたことはなく、クリスマスや誕生日に、オモチャを買ってもらった記憶もない。
小学校の高学年になると、オモチャを自分で作った。
模型店で小さなモーターを買い、宝物のように握りしめて、家に走って帰った。
ロープーウェイや戦車を手作りし、胸をときめかせ、モータのスイッチを入れた。
また、木をくり抜いてカヌーを作り、帆柱を立て、四高(旧第四高等学校)のプールに浮かべ、夢中で遊んだのも懐かしい…。
昔、暴走族で、相手を威嚇するために、バットを持ち歩く者がいた。
でも、バットで人を殴ることはなかった。下手に殴れば「相手が死ぬかもしれない」という怖さを知っていたからです。
今の子どもは、日々の遊びから学ぶことが少ない。痛みの程度が分からないし、手加減することを知らない…むかつくからと、
本気で殴ってしまう。
私の子どもの頃は…転んで、すりむいて、血が出て、こっそり父親の刻みタバコで止血して…どの程度までなら大丈夫か、
体験を通して知っていた。
今の親は過保護。
子どもが転ぶ前に手を差し伸べてしまう…転んで学ぶ機会を奪ってしまう。
嫁いだ娘…私の会社で働いている。
保育所への孫の送迎は、私の役目です。
長女は、おませな3歳児…園児服を着るにも、靴を履くにも、何でも自分でやらないと気が済まない。
もたもたしている孫に、親が手を貸そうとすると…
「はっちゃん、自分でしたかった~」と、そっくり返って泣くのです。
朝、子どもを幼稚園に出す時…母親は、出勤時間に追われ、子どもにゆっくり構っていられない…上着を着せ、靴下を履かせ、 防寒コートを着せ…親が手を貸し、手っ取り早く片付けようとする。それでは子どもは育たない…学べない。
子どもが自分でやろうとすることを、我慢強く見守る…そんな余裕が欲しい。
何でも親がお膳立てし、手をかけ、テキパキ片付けていく…その方が短時間に済ませられ、楽だから…。
「早く食べなさい」「お片づけしなさい」…背中から言葉を投げかけるだけのお母さんも多い。
子どもがいない時に片付けるから、いつまでたっても、片付けの出来ない子になってしまう。大人になってからでは手遅れ…
一生後片付けの出来ない人間になってしまう。
少々時間がかかっても、子どもと一緒にやる…子どもと一緒に後片付けをする。
そうやって子どもと親が同時に育つ。私の息子や娘を見ていると、「三つ子の魂百まで…」。間違いなくそうである。
幼い頃の躾けがどれほど大切か…
子育てを終えてからそのことに気付いても、手遅れである。
■今日のことば 二宮尊徳翁
『書物を読んで実行しない者は、鍬を買って耕さないのと同じだ。
耕さないなら、どうして鍬を買う必要があろう。
行わないなら、どうして書物を読む必要があろう』
※長年、時間とお金を掛けて学んできたことが、どれだけ生かされているか?
どれだけ身に付いているか? 自問自答してみると、そのほとんどが仕舞い
込まれたまま忘れ去られ、取り出すことが出来ない。恥ずかしい限りです。
『遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す。
それ、遠きをはかる者は、百年のために杉苗を植う。
まして春まきて、秋実る物においておや。故に富有なり。
近くをはかる者は、春植えて、秋実る物をも、尚遠しとして植えず。
唯、眼前の利に迷うて、まかずして取り、
植えずして、刈り取る事のみ眼につく。 故に、貧窮す』
【心と体の健康情報 - 340】
~子育て心理学~
「毎日10分間の読書が、子ども達を育む」
私の小学生時代、終戦~29年の戦後の10年間は、隣近所みんな貧しく、ひもじかった。
兄のお下がりの、ヒジやヒザに継ぎの当った服を着て、毎日学校から帰ると、暗くなるまで外で遊んだ。
テレビの無かった時代です。子どもの娯楽は、ぺッタやビー玉、石ころをゴムのパチンコで飛ばして戦争ごっこをしたり、
縄跳びをして遊んだ…。下町では、草野球が盛んだった。私が住む繁華街には子どもがいない…家で一人遊ぶことが多かった。
いつの頃からか、本をよく読む少年になっていた。香林坊に貸本屋があった。
また、兼六園内の坂の上にあった、県立図書館へもよく行った。
「ガリバー旅行記」 「宝島」 「三銃士」 「岩窟王」、マーク・トウェィンの
「トムソーヤーの冒険」など、想像力を膨らませ、胸をときめかせて、夢中で読んだものです。
江戸川乱歩の「少年探偵団」も懐かしい。探偵・明智小五郎が活躍する、子ども向けのミステリー小説です。
以下、読売新聞「論点・言語力向上」からの抜粋です。
OECDの調査によれば、日本の15歳の「読解力」は、数年前の8位から15位に転落した。
自分の考えや意見を自由記述する試験でも、他国に比べて白紙回答が際立つ…読解力が著しく低下してきているのです。
日本人が日本語を自由に使うのは、当たり前のことなのに…読解力の低下は、学力全体に影響する。読解力がなければ、
国語ばかりでなく、算数、社会、理科の内容や文章も、読み解けないからです。
これは、学校教育だけの問題ではない。読解力が低いまま社会に出ると、電子メールは書けるけれど、仕事に必要な連絡・
報告文書が書けない。
そこで一部の企業では、言語力を身につけさせようと、月刊経営誌をグループに分けて読ませ、デスカッションさせたり、 新聞を輪読させて、表現力や文章力を付けさせるなど、読解力を高めるための社員教育が、盛んに行われている。
「読解力」は、本や新聞を読む習慣の中から習得できます。
始業前に好きな本を読む「朝の10分間読書」もその一つ。全国約2万5千校の小中高で取り組まれ、約950万人の子どもが参加している。
この活動によって、読書に親しみ、授業が面白くなり、学習意欲が高まっていく。
視野が広まり、情緒が安定し、問題解決能力が育まれる。
暴力やいじめもなくなった…そんな報告が目立つ。
たった10分間の読書の積み上げで、子ども達の心の窓が開き、心身に活力がよみがえってくるのです。
■「えッ! 宙に浮いた年金5千万人の一人に私が…」
妻が60歳の誕生日を迎え、年金受給手続きに、社会保険事務所へ同伴した。
提出した住民票で、妻と私の生年月日を係員がチェック…。
すると以外や、私にもう一つの年金手帳があることが判明。
厚生年金の届出誕生日と、国民年金の届出誕生日が、何故か一日ずれていて、国民年金が、該当者不明の「宙に浮いた5千万人」
の一人になっていたのです。
38歳の時、脱サラ独立。その後、株式会社を設立するまでの16ケ月間、国民年金に加入していたのです。加入時、 誕生日を一日ずらして手続きしたため、60歳になって「年金記録」を照会・確認した時、国民年金に加入していたことも、 抜け落ちていることにも、気づかなかったのです。
「年金番号重複取消届」を出して、二つあった私の年金が一つに…。一年さかのぼって、年に2万数千円増額されることになった。何か、 徳したような気に…。
【心と体の健康情報 - 323】
~子育て心理学~
「"かわいそうや"は甘やかしのもと」
我が家の愛犬ヘブン。好んで散歩に行く公園に、野良猫が三匹棲みついている。
どこの誰だか知らないが、夕食のご飯やおかずの残りが、山盛りに置いてある。
「かわいそうだから」と、餌をやるのでしょう。それが、公園の子供たちが遊ぶ砂場の脇…。
汚らしいだけでなく、カラスが集まってきてついばむ。餌を撒くから、野良猫が棲みつく。
他人への迷惑を考えると、野良猫に餌をやる行為は、良いこととは言えない。
何かにつけて「かわいそうだから」と、甘やかす人がいる。大概は自分勝手な判断で、人に迷惑をかけていることに、気づいていないのです。
相手が子供であれば、なお更である。食品スーパーのお菓子売り場で、「これ買って!」とダダをこねて泣く孫に、 お婆ちゃんが閉口し、「こんなに泣いてかわいそうや」と、ねだるお菓子を買ってやる。
今度は、買ったらすぐにその場で食べたいとぐずる孫に、「仕方ないか…」と食べさす。こんなふうに「かわいそう」「仕方ない」
と言って、場所をわきまえず、子供の我がままを許すのは、しつけにはならない。
しつけも教育もない。泣いてわめく孫を前に、可愛さあまり、困った状況から早く逃れたい、無難に済ませたいという気持ちが、
そうさせるのです。
北国新聞 丹羽俊夫の「教育一本勝負」
野良猫に「かわいそう」「仕方がない」と餌を与えるのも、似たような行為…。
我が家のヘブン。家族が何かを食べている時、横に座って、じぃ~っとおねだりの姿勢を取る。その可愛さに根負けして、つい与えてしまう。
一度味を占めると、次から餌をくれる人の横に座るから、家族の中で誰が飼い犬に甘いか、すぐわかってしまう。 肥満した犬を散歩させている飼い主…犬の「しつけ」が出来ないことを、証明しているようなもの。
社会生活でのマナーは、一人ひとり違っていいものではない。みんなに共通する礼儀作法が必ずある。自分だけの「かわいそうやから」 を満足させて、みんなに迷惑をかけるのは、決して良い行為とはいえないのです。
■※橋本佐内の「啓発録」
橋本佐内は幕末の福井藩士。藩主松平慶永の側近として、藩校の学監をしたり、藩政改革に当たったりした。積極的攘夷開国論者で、
将軍継承で慶喜擁立に活躍。
反対派井伊大老のため、若年26歳にして吉田松陰と共に、安政の大獄で処刑された。
左内15歳のとき、これから後の自らの生き方を明らかにする戒めとして、以下の五項目を文章に書き記した。
「稚心を去る」 | 子供じみた心を取り去り |
---|---|
「辰気」 | 気力を養い |
「立志」 | 向上心を持ち |
「勉学」 | 勉学を怠らず |
「択交友」 | 自分を戎めてくれる友人を持つ |
これは「啓発録」として納められ、
左内の思想や生き方の根幹を成す名文として、後世に名を残すことになる。
それにしても、若干15歳にして、これほと格調高く、高貴な精神を書き記すとは、他に例を見ない。西郷隆盛をして、「友として最も尊敬する」
と言わしめた、幕末福井藩の偉人です。この「啓発録」、一度は読んでおきたいものです。
【心と体の健康情報 - 321】
~子育て心理学~
「教育は、訓練し鍛えることである(2)」
2~3歳の頃から、徹底してものを教えることで、私達が通常持っている常識を遥かに超えた能力が身につくようになる。 最近スポーツ界、芸能界で活躍している人たちで、そうした英才教育で開花した人達を数えたら、きりがない。
致知十月号に、農業の傍ら自宅の納屋を改築して保育園を開き、園児たちに「古典の素読」を実践している特集記事が載っていた。
朝三十分の素読。
意味を教えたりはしない。解説を加えることもない。園長さんが先に朗誦(ろうしょう)する。
子供たちが後について唱和する。
「※禊祓詞(みそぎはらひのことば)」「※修証義(しゅうしょうぎ)」「般若心経(はんにゃしんぎょう)」、
それに本居宣長などの「和歌」、美輪執斎(しっさい)の「憤」などを唱和する。
恥ずかしいことに、そうした書物に目を通しても、私には何のことやらさっぱり分からない。
自分にも分からない難しいことを、2歳や3歳の子に教えて何になると、一蹴してしまいそうです。
毎日の繰り返しが驚くべき力を発揮する。一年もしないうちにどの子も、古今の名言をすらすらと朗読するようになった。 それだけではない。新しく入ってきた子は、年上の子に倣(なら)って、朗読するようになる。そして、 いつか漢字まじりの原文を読み書きするようになり、意味を理解するようになるのです。
身近な例では、「仕事と人生」を著した川人さんの長男昭徳君。幼稚園児の頃、家族全員、数分間黙祷(もくとう)した後、
「論語の素読」を毎朝の日課にしていた。
数ヶ月前、川人さんのご家族と食事を共にした時、昭徳君は小学校5年生になっていた。
昭徳君におねだりして、論語をそらんじてもらったところ、すらすらとお経を唱えるように、口から論語が出てきたのです。
話を元に戻して、平成15年11月、園長先生が亡くなられた。園児を代表して6歳の子供が読んだ「お別れの言葉」です。 6歳の子が自分で考え、自分の手で、大人たちの手を借りずに書きあげた文章です。
お別れの言葉 園長先生、吉田歩末の声が聞こえますか。2歳10ヶ月の時、丹養塾幼稚園に入園してから、漢字、算盤、諺
(ことわざ)、俳句、花園文庫、伝記、少年日本史朗誦選集など、園長先生には沢山の事を教えて頂きました。
それから園長先生は色々な所に連れて行って下さいました。北海道巡歴研修で、クラーク博士の像の前で、 「青年と大志」を朗誦した事、青森駅のデパートの軒先で野宿をした事、北陸巡歴研修で、永平寺で坐禅をした事、※ 橋本佐内の銅像の前で"啓発録"を読んだ事…、沢山の楽しい思い出があります。 他にも、親子教室甲山の遠足、運動会、お餅つき、立志集、卒園式、小音楽会、桃太郎の劇など、 園長先生に教えて頂いた素晴らしい思い出が沢山出来ました。 これから園長先生は天国へ行って、私たちのことを見守っていて下さい。私たちは、 園長先生に教えて頂いた事をいつまでも忘れず、深くさぐって、強く引き出す人になります。そして、 この世に役立つ人になります。園長先生ありがとうございました。 平成15年11月23日 |
この格調高い文章を、小学校に入る前の6歳の幼児が作文したのです。
大人でも難しいことを、4~5歳の幼稚園児が学び、理解し、身につけているのです。
幼児教育を考えるとき、私たち大人は、まず「あいうえお…」の簡単な文字から教え、徐々に難しい漢字を学ばせていく。
このような教育のあり方に、何の疑問も抱かずにきた私。皆さんはどう思われるでしょうか?
※「禊祓詞(みそぎはらひのことば)」
神社参拝の時に唱える。
本文「高天原に神留坐す 神魯岐神魯美の命以て 皇御祖 神伊邪那岐命…」
※「修証義(しゅうしょうぎ)」
曹洞宗の開祖、道元の「正法眼蔵・95巻」から、特に在家への布教を念頭に置き、
重要な点を抜粋し、全5章31節にまとめたもの。
第一章「生を明らめ死を明らむるは仏家の一大事の因縁なり、生死の中に仏あれ
ば生死なし、但生死即ち涅槃と心得て、生死なしと厭ふべきもなく…」
■総入れ歯に見た職人魂
意外と知られていないが、祝い事に欠かせない「水引細工」は、金沢の伝統工芸の一つである。
07年春"北国風雪賞"を受賞した水引職人の匠、津田剛八郎氏。
40歳の時に総入れ歯にした。
水引を歯で引っ張って結ぶ際、歯茎に水引が食い込んで歯茎を傷める。それで、一ヶ月かけてすべての歯を抜いてしまった。
我が身を削って仕事に打ち込む職人魂が見えてくる。
大正時代から続く、家業を守るための心構えを聞くと、「気を張って積み木をしているようなものだ」と語る。
木を寸分違わず重ね合わせていけば、高く積み上げられる。が、いい加減に積めば、すぐに傾き、崩れてしまう。
「一日一生」という言葉があるように、一日一日手を抜かず、懸命に仕事に励むことによって、お店に信用が付き、 お客様が店を守ってくれるのです。
北国新聞「デスク日誌」より
【心と体の健康情報 - 320】
~子育て心理学~
「教育は、訓練し鍛えることである」
どのように子育てをすれば、親が期待する子どもに育ってくれるのでしょうか?
以下、小学校校長 鶴野篤子「お母さんの出番ですよ」からの抜粋です。
子どもたちの持っている「なりたい願望」
を上手に伸ばしてやり、生かしていくには、"訓練"し、"鍛える"必要があります。
電気通信大学の西尾寛治名誉教授の言葉、「初めに訓練ありき、
これこそ教育の真髄だ」。 訓練が伴わない教育など、あり得ないのです。
平仮名を覚えるとき、九九を覚えるとき、何回も何回も繰り返し覚えます。
書けるようになるまで、言えるようになるまで繰り返します。お箸を持つことも、教えるだけでは駄目で、
繰り返し訓練するから身につくのです。
訓練することを「鍛える」と言います。戦後の教育は教えるだけです。
英語を中学・高校と六年間学んでも、話すことができるようになる生徒は、数えるほどしかいません。前へ前へと進む一方で、
繰り返し訓練しないから、身につかないのです。知識の詰め込み教育だけでは、身につかないのです。
子どもは何れも、「もっと知りたい」「もっと上手くなりたい」といった願望が強いのです。その願望を刺激して、繰り返し訓練して、 身につけさせるようにすると、更に強い願望が湧いてきます。そういった子どもの意欲を引き出してやればいいのです。「出来た、出来た」 と喜んで、自ら進んでやるようになります。
子どもが何かしようとするとき、親からみれば危なっかしいか、任せきれず、つい親がやってしまうことが多いのです。「いいから、 お母さんがやっておくから…」と言ってしまう。子どものためと思っても、子どものためにならないのです。甘やかしていては、 子供は育ちません。
子どもを教育するとは、子どもを訓練するということです。
親にとっては厳しいことです。辛いことなのです。将来社会人として自立し、人に愛され、受け入れられる人間になるために、
今厳しく鍛えなければならないのです。
それから、子どもの教育を人まかせにして、それで良しとしていないでしょうか? 将来のためとピアノを習わせ、勉強は塾、
しつけは学校に期待する。
何でも人まかせ…親である自分はパートでの稼ぎに忙しく、家を留守にする。
娘にピアノを習わせるよりも、女性らしいたしなみ、礼儀作法、挨拶の仕方、家庭料理など、母親が娘に教え・ 伝えることがいっぱいあります。面倒がって、子どもと関わる時間を手抜きしていたのでは、子どもは育ちません。
■早く寝る子は、賢い子に育つ
以前、1~2歳の頃に、毎夜9時に寝付く習慣を付けさせないと、体内時計が狂って、いつまでも夜更かしする子になり、
脳の発達に大きく影響する…という話をしました。
俗に「寝る子は育つ」というが、夜更かしをして睡眠を十分に取らない子は「太る…肥満になる」のです。
順を追って説明すると、夜更かしすれば⇒日中眠くなる⇒日中眠いと、動きたくなくなる⇒運動不足になる⇒肥満になる…という流れだ。
医学的にも睡眠時間が短いと、脂肪分解代謝に変化が生じて、肥満になるのです。
石川県の調査では、「園児の半数は、夜十時以降の就寝」との結果が出ている。
就寝が遅ければ、お腹が空いてお菓子を食べ、朝、寝起きが悪く、朝食を抜くようになる。
親もまた、子どもが朝食を食べないからと、朝食を手抜きし、ギリギリまで寝ている。それが習慣になって、子どもの「食育」に影響する。
延いては社会人になってからの、子どもの将来に影響する。
北国新聞「デスク日記」より
【心と体の健康情報 - 319】
~子育て心理学~
「三つ子の魂百まで(4) 思うようにしつけられない」
我が家に、2歳とゼロ歳の孫がいて、朝夕の保育所の送り迎えは私の役割。
食事時ともなると、それは大変。親の言うことを聞こうともせず、勝手気ままに動き回り、部屋の中は散らかった玩具で、足の踏み場もない。
上のお姉ちゃん。そろそろしつけなければと、遊んだ後のおかたずけ、食事は、座ってきちんとご飯を食べさせようとするのですが、 なかなか言うことを聞かない。厳しく叱ると泣き出すし、すねてしまう。休日の"ゆっくりしたい"願望もどこへやら、 妻は孫の世話でヘトヘト。疲れ果て、泣きたい心境…と愚痴をこぼす。
以下、北国新聞・丹羽俊夫の「教育一本勝負・遊びの力を利用しよう」から…
江戸時代の庶民の教育方針に、こういうのがあった。 確かに鉄は熱いうちに打てという。三歳前後のしつけも大事だ。 今の時代、二十歳前後の若者のしつけが出来ていないため、新卒者を採用した企業が、ある一定期間みっちり、
行儀マナ-を教えているのが実情だ。 |
今朝のこと。孫が保育所に行きたがらず、反り返って嫌がるのを、妻は無理やりベビー椅子に座らせ、シートベルトをガチャリ。
運転中すねて、靴を脱いで放り投げ、「イヤン、イヤン」と泣き叫ぶ。「ちゃんと靴を履かないとダメ」と言っても、言うことを聞かない。
そんな時、「ゾウさん、ゾウさん、お~鼻が長いのね…」と、好きなお歌を歌って、気持ちをはぐらかす。そうこうする内に一緒に口ずさみ、
「もっとォ~」とねだる。「お靴を履いたら歌ってあげる。何歌ってほしいの?」保育所に着くころには、ルンルンになっていた。
孫は、「肩車」が大好き。「やるか」と言って「うん」と言えば、まずお父さんが正座して「よろしくお願いします」 と、あいさつをしてから始める。楽しく遊んで、終わる時が肝心。もう一度正座して、「ありがとうございました」 と締めくくる。 |
子どもは、「肩車」をしてほしいから、あいさつも正座もちゃんとするようになる。
悩みは、こちらが遊び相手に疲れて「これでおしまい」と言っても、「もう一回・もう一回」と、グランパを離さないことだ…。
■17世紀、オランダの巨匠「フェルメール」
十月初旬、映画「真珠の耳飾りの少女」
をNHK・BSで鑑賞して以来、このあどけない少女は、私を魅了し、私の好きな絵画になった。
原作は、1999年に世界で200万部売り上げを記録した、同名のトレィシー・シュバァリエのベストセラー。
このあどけない少女を描いた画家は、ヨハネス・フェルメール(1632~75)。
17世紀、世界を覇権したオランダ。その時代、裕福な事業家をパトロンに、後世にその名知られる優れた画家が、沢山排出した。
フェノールはその一人で、日本ではあまり知られていない。
オランダを代表する画家では、18世紀印象派を代表する"ゴッホ"が一番。
映画を見るまで、私はフェルメールを知らなかった。縁とは不思議なもので、9月26日から12月17日の間、
フェルメールの代表的作品が、国立新美術館開館記念で、日本初公開されているのです。
いつもなら、オランダ・アムステルダム国立美術館でしか見られない名画です。
11月1日、東京へ張した折りに鑑賞してきました。
【心と体の健康情報 - 318】
~子育て心理学~ 「三つ子の魂百まで(3)」
人間の左脳は言語活動を主にコントロールし、右脳は直感力、音楽、創造力などの非言語活動や、 視空間的部分をコントロールしています。
「健康情報-99 女はおしゃべり」で、男性は話をするとき、 言語をコントロールする左脳しか働かないのに、女性は左脳に加え「直感力」や「創造力」 をつかさどる右脳が同時に働くことを書きました。女性は、 「人の話を理解する能力」が、男性よりはるかに高いのです。
NHKの「ためしてガッテン・脳イキイキ楽器入門」を見て、人が奏でる曲を一回聴いただけで、寸分違わず真似て、
奏でることができる人がいるのです。
「音感」も「リズム感」も「記憶力」もずば抜けて優れている、楽器を奏でることを職業としているプロでも、
十人に一人くらいしか出来ない芸当だそうです。
研究の結果、"4歳"までにピアノやバイオリンを習い始めて、その後プロになった人の"92%"に、その能力があるという。
"8歳"で約半分に減り、"14歳"を過ぎると、その能力は限りなくゼロになってしまうという。幼い頃、
音楽にふれさせるのが一年遅れると、人間が潜在的に持っている特殊な能力が、急速に消滅していくのです。
リズム感や音感は、右脳がつかさどりります。3~4歳のころから、ピアノやバイオリンなどを繰り返し学習していると、
右脳だけでなく、言語をつかさどる「左脳」も一緒に働くようになるのです。
奏でる音楽を、「言語的解釈」として記憶する能力が育っていくのです。
ですから、成人の後、それが特殊技能となり、生かせるのです。
小学校2~3年の頃になって、ピアノを習わせるのは、既に時期を逸しているのです。もっと早くに習わせるべきなのです。 私のようにとりえのない親が、子供に夢を託そうと思うなら、3~4歳のころから、一つのことに集中して習わせ、厳しく教育・ 訓練する必要があるのです。
最近は囲碁ブームで、囲碁教室に小さなお子さんを通わせるお母さんが増えています。高校生のアマチュアゴルファー石川君が、
並み居るプロを押しのけて優勝し、マスコミを騒がせたのは、つい最近のこと…。スポーツや囲碁の世界では、10代後半に才能を開花させ、
20代前半で頂点を極める若者が続出している。
ほとんどが、3、4歳ごろに習い始めている。大きくなってから努力することは大切です。
しかし、能力を開発しようと思うなら、3~4歳の頃に始めるのがいいのです
精神医学では、まだ生まれる前の胎児期9ヶ月の頃から、満2歳までの33ヶ月を、神経が発達していく上で大変大切な「臨界期」
と呼んでいる。
この時期に、親から虐待されたり、育児を放棄されたりすると、幼児の神経系の発達に損傷を与え、「外傷的愛着」
という精神的障害を抱えた子どもになっていくという。
子どもの脳は、生後2年までの間に急速に成長するが、この間に発達するのは主に"右脳"で、"左脳"の発達は3歳以降になる。「臨界期」に影響を受けるのは"右脳"。
中でも、"眼か前頭皮質"と呼ばれる部分の発達が著しい。
右脳は、良好な対人関係を形成するのに重要な役割を持つ。共働きによる愛情不足、幼児虐待、などが社会問題になるにつれ、 「切れやすい子」「攻撃的な子」「恐怖にとらわれやすい人」を生み出しているのです。
精神科医/斉藤 学「本音のコラム」より
【心と体の健康情報 - 317】
~子育て心理学~ 「三つ子の魂百まで(2)」
三つ子の魂百までといいますが、人間は三才ころまでに急速に脳細胞から配線が伸び、かなりの回路が作られます。その配線を伸ばし、 回路を発達させるのは、外部から入ってくる刺激や環境、教育などです。
この時期、乳幼児に最も大きな影響を与えるのが母親です。わずかの部分で父親や家族が関与しています。 1才から3才の人格形成時における母親の存在の大きさは、どんなに強調しても強調しすぎることはありません。
生まれてきた赤ちゃんは、お母さんの胸に抱かれ、お母さんから「プラスの刺激」をいっぱいもらいます。そして赤ちゃんの脳の中で 「肯定的な感情」をはぐくみ、「喜びの回路」が作られていくのです。
ところが、おむつが濡れたままで、気持ちが悪いのに取り替えてもらえない…。
オッパイが欲しいのに飲ませてもらえない…。
お母さんが悲しそうな顔をしている…。
お父さんとお母さんが喧嘩をしている…。
これらは、赤ちゃんに「マイナスの刺激」を与え、そこから「怒りの回路」「悲しみの回路」「恐れの回路」が作られていきます。
大人になって、犬を見て怖がる人、好き嫌いをする人などは、自分では気づかない、小さな子供のころに「マイナスの刺激」を受け、
拒絶の回路が形成され、その後の人生を支配してしまったのです。三つ子の魂百までです。
生まれてから2~3歳までは、母親や家族から与えられる情報を、そのまんま受け止め、脳の回路が形成されていきます。
赤ちゃんは真っ白です。周りで発生する「プラスの刺激」「マイナスの刺激」何でも、意味や理屈がわからなくても、
完璧に吸収していくのです。
田舞徳太郎「幸福の心理学」パーソナリティの形成より
TV漫才を見ていて、直ぐに笑いこける人、笑う姿を横で見ていて、「何がそんなにおかしいんだろう?」と不思議がる人…。 人よりも笑いのスイッチが早く入る人、遅い人。ドラマを見ていて直ぐに涙腺が緩む人、そうでない人…。人によって様々です。 幼児期にそうした喜怒哀楽の物差しが出来上がり、性格の一部となって、一生を支配していくのです。
たとえば、両親が毎日のように大声で喧嘩していると、いつのまにか赤ちゃんの脳に、「怒り」や「恐れ」「悲しみ」 回路が増幅されて形成され、成人してから、人から大声で怒鳴られたりすると、恐怖と恐れで固まってしまい、パニックに陥り、 人間嫌いになってしまうのです。
1才になるかならない時期に、保育所に預けられた赤ちゃん。おとなしくしていたら構ってもらえない。 大きな声で泣いて自己主張すると、保母さんがやってきて抱いたり、あやしたりしてくれる。 「周りの赤ちゃんより激しく泣くことで思いがかなう」ということを、学習するのです。
夕方、お母さんが迎えに来て、有り余るほどの愛情を我が子に注ぎます。
赤ちゃんがむずかれば、大抵のことを聞いてくれる…。そんな回路ができてしまった赤ちゃんは、その後、自己中心的で、
我がままで身勝手な子どもに育っていくのです。
■子どもの適正を見極める
「人生は片道切符だ。やりたいことをやったらいい…」
「課長・島耕作」でおなじみ、漫画家 弘兼憲史
(ひろかね けんし)氏。3年勤めた会社を辞めて、父親に報告した時に返ってきた言葉です。
幼稚園に上がる前から、毎日の出来事をクレヨンで絵を描くことが好きで、朝から晩まで描いていたという。
思えば、漫画家を志す、最初のきっかけだった気がする…。母親は教育熱心で、幼稚園の頃から、英語・ピアノ・習字・絵画を習わされた。だが、
「芸術系の科目は、結局モノにならなかった」と、苦笑する。
テストの結果など、目先の成果を追い求めるのではなく、長い目で見て、子どもにとって何が良いかを見極めることが大事です。
教える際も、あれもこれもと欲張って、スポーツや芸術、勉強など、子どもに何でもさせようとせず、
両親が得意とすることから教えていくようにする。
何歳になったら、よその子並みに、あれこれ教育を始めようと考えるより、何のために、どんな教育をするかに、視点を置くようにします。
【心と体の健康情報 - 316】
~子育て心理学~ 「三つ子の魂百まで」
人間を動物として見たとき、人間というのは実に変り種で、面白い動物です。
なぜなら、人間以外の動物には、教育は関係ないからです。
教育をしてもしなくても、猫はあくまで猫です。猫は自ら学問をして偉くなろうと思ったりはしません。
猫が教育によって人間になることはないのです。
ところが人間は、【心と体の健康情報-
315】で流したように、育ったった環境の影響で、狼になることも、オランウータンになることもできるのです。
このようなことが起こるのは人間だけです。高度に発達した"脳"が、周りの環境に影響されるのです。
いかに環境や教育が大切かがわかります。
0才児の脳の重さは325g~400g、生後六ヶ月で"倍"に成長します。
三才で825g~900g。六才になると、1100gくらいに成長します。
日本人の成人の脳の重さは、女性で1250gくらい、男性で1400gくらいです。
脳は、三才くらいまでに、驚くほど大きく成長していきます。
人間の体は、成長とともに筋肉も骨も、内臓も大きくなり、重さを増していきます。成長に合わせて細胞が増えているからです。
ところが、脳は違うのです。
人間の脳細胞は、生まれたときから約140億個で、以後その数に変化はないのです。
ではなぜ成長とともに脳が重くなっていくのかと言うと、脳は外部から刺激や情報を得るたびに、情報を伝達する触手(シナプス)
を伸ばして、回路を増やしていきます。その配線が重さになるのです。
ならば、脳が大きく重ければ頭がいいと思うと、それだけでは頭の良さにつながりません。取り込んだ様々な情報を結びつける回線が、
効果的に張りめぐらせない限り、頭の良さにつながらないのです。
だから「男性は女性より脳が重く大きいから、女性より頭が良く優れている」と思うのは大間違いです。
田舞徳太郎著「幸福の心理学・パーソナリティの形成」より
人からモノを習って、直ぐに覚え、身に付けてしまう人は、世間で言う"頭のいい人"です。
ところが私のように、何度繰り返してもなかなか覚えられず、"自分は頭が悪い"と思い込んでいる人も沢山いるのです。
そんな私も年の功…頭が悪ければ、その分、人の倍、三倍とやれば、必ず身に付くのです。要は、シナプスが大きく育つまで、 同じことを何度も繰り返えし学習すればいいのであって、頭が悪いからと、学びを諦めてしまう人間にならないことです。
[自 戒] 石川 洋
つらいことが多いのは 感謝を知らないからだ
苦しいことが多いのは 自分に甘えがあるからだ
悲しいことが多いのは 自分のことしか分からないからだ
心配することが多いのは 今を懸命に生きていないからだ
行きづまりが多いのは 自分が裸になれないからだ
【心と体の健康情報 - 309】
~子育て心理学~
「次々と子供にモノを買い与える親」
以下、関大徹 著「食えなんだら食うな」から
敗戦直後の新聞に載った読者の詩を、私は忘れない。 エンピツがなくたっていい 紙がなくたっていい なんという豊かさであろうか。なんという心の広がりであろうか。 |
私には内孫・外孫4人の孫がいる。
毎週入れ替わり尋ねて来て、「ジィちゃん、ジィちゃん」とまつわり付く。
我が子の時は、これほどには思わなかったのに、孫は可愛い。
旅に出た折り、孫にお土産を買って帰ることが多い。
今は昔と違って、一人っ子家庭が多く、両親・両家の爺・婆、合わせて6人の愛を、孫が独り占めにする。
結果、おもちゃが部屋に溢れ、ちょっと遊んで面白くなくなると、見向きもしなくなる。
そんな子どもが大人になっていく。
昔の人はモノを大切にした。
お婆ちゃんは「もったいない」
が口ぐせだった。
おかずを残したり、ご飯をこぼしたりすると、孫に「目がつぶれる」と叱った。
今の親たちは、この「もったいない」を、子供にしつけようとしない。
食い散らかし、食べ物を粗末にしても何も言わない。
食べたくなければ「残せばいい」と言う。
豊かさは、親たちの「心の眼」をつぶしてしまった。
心の眼を失った親たちの子どもは、我がままし放題。
親は、子どもの欲しがるものを次々と買い与え、それが"豊かで幸せな生き方"と錯覚している。
働きに出れば、マイホーム、自家用車、大型テレビなど、より多くのより贅沢なモノを手にすることができる。
しかし、子どもは家に置き去り。
親子の大切な心の触れあいを犠牲にして、何が豊かな暮らしだろう…。
親にカセットやカメラが欲しいとせがんだのに、買ってくれなかったことを悲観して、自殺した高校生がいた。
この子の親は、次々とモノを買い与え、子供の喜ぶ姿を見て、それが我が子への愛情…と勘違いしていないだろうか?
あるいは、子どもを家に置き去りにして働きに出ている償いから、子供の欲しがるものを次々と買い与えたりしていなかっただろうか…
。
いつしか子どもは、モノに囲まれる生活が当たり前になり、欲求が満たされないなら、死んだ方がマシと考えるようになった。
■母娘は、親密な共生関係
友達のように親しい母・娘の関係…。
近年、ちょっとした社会現象だという。
我が家の母娘も仲がいい。職場が一緒で、買い物にもよく一緒に出かける。
休日は二人で、デパートやブティックへ。二人で、洋服やアクセサリーの選びっこをしている。似合うものを見つけて、娘のものを母親が、
母親のものを娘が借用。
おしゃれを楽しんでいる。
母は新しい流行を娘から教わり、娘はおねだりして、ブランド品を手に入れる。
まことにもって都合のいい共生関係。
そうした社会現象を見逃さず、「母娘パック」は大繁盛。
食事をして温泉に浸って、リッチな日帰り温泉パック。
Kホテルは、フランス料理のランチタイムサービス、Nホテルは、豪華メニューのランチ・バイキング。何れも女性客で溢れている。
夫の方は、最近目立って増えてきた○○食堂で、750円のランチ。
妻は、友達とリッチにホテルでフルコース…21世紀は女性の時代ですよね!
【心と体の健康情報 - 308】
~子育て心理学~ 「子育ては妻まかせ」
私達の世代は高度成長期、「企業戦士・働き蜂・会社人間」などと言われ、土曜も日曜もなしに猛烈に働いてきた。
現在、少しは理解されるようになったが、日本の企業は、会社より個人の都合を優先しようとする、マイホーム型の男子社員には、
冷ややかである。
出世を望むなら、与えられた仕事を全うしようとするなら、子育てに関わっている暇はなく、妻まかせにせざるを得なかったのです。
しつける、勉強を見る、遊び相手になる、悩みの相談に乗る、子供の食事の世話をする…など、先進国の中で、
子供とかかわる時間が極端に少ない日本の父親。
子育て・家事一切を妻にまかせっきり…それを誰も疑問に思わない日本の社会。
私がサラリーマンの頃、誰もがそうであったように、会社漬けの毎日だった。
休日も付き合いで、家に居ることは少なかった。
年に2~3回罪滅ぼしに、家族をドライブに連れ出す程度。
子供を抱いたり、一緒に遊んだり、子育てに加わった記憶はない…。
私たちの世代の父親が、子供のしつけを疎かにしてきたツケが、今日の日本に様々な問題を引き起こしているのでしょう…。
木曜夜9時放送「菊次郎とさき」の、北野家と隣人たちのように、 昔は、両親が子供に構っていられなくても、お爺ちゃん、お婆ちゃん、兄弟姉妹、近所の子ども達、ご近所のおじちゃん、 おばちゃんが子どもに関わってくれた。
今は少子化時代。近所付き合いも希薄。
母親は一人孤軍奮闘して、子どもと向き合っている。
そして、ノイローゼ、虐待など、新たな社会問題を引き起こしている。
以下、曽野綾子「最低限は学校で教えられる」から…。
子育てを、保護者は学校に期待し、先生は家庭でのしつけに期待する。 今の日本に、敬われるに値する父母がどれだけいるだろうか。 何があっても「殺す」行為をしてはならない。 我が身も、殺してしまえば問題が解決すると、自殺する。 「盗んではならない」も、しつけの根幹をなすものである。 |
子どものしつけは、家庭内で行うものであって、学校で教えるには限界がある。
親の子育ての考え方が多様化し、学校や先生の教育が気に食わないと、干渉したがる今の時代。先生の努力が報われず、
空回りしているようだ…。
■「天国行きの郵便ポスト」
ある男性…、
「父親に言えないことがあったが、亡くなってしまった」と、相談に来た。
相談を受けた人が、「お父さんに手紙を書いてはどうか」と助言した。
「今更亡くなった親父に手紙を書いたところで…」と、男性は渋った。
それなら「実家に出してみては」と。
実家には、一人住まいの年老いた母がいた。
母は、息子から亡くなったお父さん宛のハガキを、お仏壇の前で読んだ。
いつしかハガキが、息子さんから毎日届くようになった。
母は、このハガキを読むのを、生き甲斐にするようになった。
そして、息子さんから心のわだかまりが消えていった。
とある仏壇屋さん、これはいい話を聞いたと、
「天国行き郵便ポスト」を作り、お仏壇の横に置いてみた。
話は広まり、このポストに救われる人が、沢山出るようになった。
修養団 武田数宏先生の講演から
【心と体の健康情報 - 304】
~子育て心理学~
「親は人生最初の教師」
「親は人生最初の教師」である。幼児期の教育は"模倣"に始まる。
ゆえに親は模範を示さなければならない。
それを古来「親は子の鏡」と言い、後に成人して「子は親の鏡」となり、何もかも親にそっくりの、コピーしたような息子や娘が育つのです。
我が子を立派に育てたいと思うなら、親自らが立派な人間になろうと、日々成長し続けなければならない。
親であることの自覚と心構えがなければならない…。
そう言う私は、子どもが成人してしまった今頃になって、論語を学んだりしている…
手遅れもいいところです…。
石川県羽咋出身の映画監督、故竹本幸之祐先生の「てんびんの詩」。何度鑑賞しても、 涙が溢れるのを抑えきれない…名作です。
この8月28日、3年に一度の「商業界北陸ゼミナール石川大会」 が、和倉温泉加賀屋「あえの風」で開催される。
そのプログラムの表紙に、「てんびんの詩」の主人公、大作少年を大きく取り上げた。
物語の始まりから終わりまで、子どもをしつけていくために教訓となる、心にしみる言葉が随所に語られている。
母 |
「働く人の喜びや、しんどさがわからんようでは、
人の上に立てやしまへんえ…。 |
---|---|
祖母 |
「代々、分をわきまえることを大事にしてきました…。
|
母 |
「あせったらあかん!
一度決めたら最後までやり通すことや…。 |
父 |
「商いは、天秤棒といっしょや…、
どっちが重とうてもうまく担がれん… |
母 |
「うまいこと売ろう思うたかて、あきしまへん!
|
叔母 |
「親戚に頼ったり、家柄でモノを売ろうとするさかい、
売れしまへんのや。 |
ようやく売れた。物が売れた喜びと、見ず知らずのお客様が、私を抱きしめて泣いてくれた感動が一緒になって…
商人ほど素晴らしもんはないと思うた。
「売るもんと、買うもんの心が通わなんだら、モノが売れんのや」
ということが…痛いほど身にしみました。
鍋ぶたを売りに出る最初の日、「何でこんなもん売らんならんのや…」と言う私に、父が「売れたら分かる」と言うた意味。
売れてみて初めて「これが言いたかったんや…」と、ようやく分かったのです。
私の娘、社会人になって直ぐ、「新入社員飛び込み研修」を体験した。
親戚も知人もいない名古屋で、営業も何も知らないまま、一軒一軒飛び込み実習の日々。
断られ、足を棒にして歩く…大作少年のように、6月中旬になってようやく売れた。
売ろうと焦るほどに、売れない日々。
ある日、売ることは二の次…出会った人と心を通わせるようにしようと、考えを切り替えてから、気持ちが楽になり、
毎日の飛び込みが苦痛でなくなった。
次は、買っていただいたお客様の中から、代理店を募集しなければならない。
目標は10ポイント。
買っていただいたお客様と、より以上心が通じなければ、達成不可能な目標だ。
何とか目標をクリアーし、正社員になったのは、飛び込み開始4ケ月後の8月中旬でした。
途中何度もリタイヤしそうになり、母親に、泣いて電話をかけてきたこともあった。
意地を貫き、何とか研修を終えることができた。
新入社員120人の内、3人に1人が目標をクリアーできずに辞めていった。
あの時の苦しかった体験が、様々な気づきを貰い、経験となり、自信となって、社会人の第一歩を踏み出すことが出来たのです。
そして今、娘の心の支えになっている…。
■「長寿国日本」が昔話になる…?
石川県はお米が美味しい。お魚や漬物も美味しい。
これさえ食べていればもう何もいらないという人もいるが、私たちの健康は、20~30年前の食習慣が、今の健康につながっているのです。
日本のお年寄りの方の平均寿命が伸びて長生きなのは、若い頃に、麦三分のご飯に味噌汁、煮魚、漬物といった、
純和食の質素な食事をしていたことが、大きく影響している。
それに引き換え、戦後生まれの若い世代は、焼肉、ハンバーグといった、肉類中心の西欧料理を好んで食べてきた。その世代が今、
何らかの生活習慣病に悩まされている…。
昨年、日本人の平均寿命が初めて下降した。
男性の平均寿命が世界第二位と、一位の座を明け渡した。
今後は、今までのように長寿国を誇れなくなるだろう…。
【心と体の健康情報 - 303】
~子育て心理学~
「食生活と健康」
「早寝、早起き、朝ごはん」は、子育て・しつけには、大変大切なことです。
その大切さが…今更のように、声高に叫ばれている。
私は早寝早起きタイプ。夜は10時前に寝て、朝は5時前に起きる。
50歳を過ぎた頃からずっと…その生活習慣は変わらない。
"朝"という漢字は「十」「日」
「十」「月」からなる。
これを並べ換えれば「十月十日」
になる。
新しい生命が母親の胎内に宿ってから、この世に生まれてくるまでの日数のことです。
つまり「朝」は、"誕生"を意味する言葉なのです。
今は、どの家庭も夫婦共働きは当たり前。
必然的に帰りが遅くなり、夕食も遅くなる。
夜は12時過ぎまで起きていて、朝は出勤間際まで寝ている…。
朝食を作らない家庭が多くなった。
「忙しくて…」とか「夜更かしで朝食を作るのが面倒で…」とか、言い訳に事欠かない。
そんな家庭環境で育った子ども達。
大人になって、朝食は滅多に作らず、食べたくなったら…お腹が空いたら…食べたい物を口に入れる。そんな生活が当たり前になってくる。
夜食を作るのが面倒と、出来あいのおかずを買ってきて、食卓に並べるようになる。
家庭環境が食育に影響し、子どもの将来に影響する。
食べ物は生命の源。
食事を抜いたり、野菜が不足したりして、偏食が長く続くと、栄養素やビタミン・ミネラルの摂取が減り、栄養バランスが崩れていく。
食事は大方お母さんが切り盛りしている。
農林中央金庫がまとめた子どもの食習慣調査によると、小中学生の好きな夕食はハンバーグとカレー。
オムレツ、カレーライス、サンドイッチ、焼きそば、スパゲティ、目玉焼き…。
子どもの好きな食べ物です。
頭文字から「オカアサンヤスメ」になる。もう一品、ハンバーグを加えなければならない。
そのほとんどが母親の手作りだった。「スーパーで買ってきた…」との回答は少なく、おふくろの味はいまだ健在なのです。
「どんなものを食べているか言ってみなさい。
君がどんな人間か言い当ててみせよう」。
洋菓子の名前にもなった、フランスの食通サバランの名句で、食べ方を見れば、どんな育ち方をしたのかわかる。
食事の作法を守って、おいしそうに食べる人からは、家庭の良さ、育ちの良さが漂ってくる。
世のお父さん…家族揃って食事をして、もっと身近に子どもと接しよう。しつけに関わろう…そして、家族文化を構築しよう。
子どもの将来を考えるとき、私の世代の父親がそうであったように、子どもの教育一切を妻に押し付けて、家庭を省みないといった愚は、
改めなければならない。
■手相を見る
手相を見ることを趣味していた頃があった。(今は勉強不足でやっていない)
ついたてを立て、真ん中に穴を開けて、出した手だけを見て手相を見る。
純粋に頭脳線や感情線、生命線といった手の相だけを見て、相手の"相"を占うのである。
なぜ"ついたて"か…相手の顔を見て、会話を交わした後手相を見ると、相手の面相、表情、言葉づかい、年齢など、様々な観念が、
判断の中に入り込んでくる。
見た目の主観が入り込んできて、正しく手相が見られなくなるのです。
更に、手の大きさ、手のひらと指の長さのバランス、指の太さ・柔らかさ、皮膚の色、爪の状態などから、男か女か、
美人かスポーツマンか、労働者かホワイトカラーか、おおよその年齢まで言い当て、大まかな職種を占い、健康状態を占う。
労働者の手は硬く筋肉質。ゴルフをやっていれば、手の平や指にタコがあり、ペンダコは物書きをしている証し。
【心と体の健康情報 - 302】
~子育て心理学~
「家族のだんらん」
暖かい家庭を作り、子どもと過ごすことよりも、今の生活と収入を守るために、外に働きに出ることが優先される世の中…。
家庭での子どものしつけをおろそかにして、子ども達の将来があるのでしょうか?
前号
「新入社員研修での食事風景」を読まれて、「あなたは、どうすれば良いと思われますか?」。その方法は?
…真剣に考えなければならない問題です。
以下、九州戸畑/明治学園・鶴野篤子校長先生の、「お母さんの出番ですよ」は、その答えを私たちに示しています…。
■家族のだんらん
今の家庭で一番求められるのは「家族のだんらん」でしょう。
だんらんの要になるのが「家族揃って食卓を囲む」こと…。
テレビのホームドラマでは、和やかな朝食・夕食シーンが、当たり前のように演じられているというのに…。
ところが、現実はどの家庭でも、朝食も夕食も、理解が得られなければ、家族が揃うということは、難しいことなのです。
朝食抜きで、ギリギリまで寝ている子供たち。
お母さんも、それをよいことに朝寝坊…。
夕食を一緒にと思っても、お父さんは仕事、子供たちは塾。
帰宅時間は皆バラバラ。
家族全員協力して、新しい家族文化を作っていこうとする熱意がなければ、
とても実現できそうにない。思いつきで終わってしまうのです。
家族が揃って食卓を囲むことに意義があるのです。
お父さん、お母さん、本気で取りかからないと成功しません。
「家族のだんらん」が復活すれば、理想とする「家族文化」が復活するのです。
その中心的役割を担うのがお父さん。
お父さんの家長としての言動にかかっているのです。
それにお母さんの、暖かく心のこもった手料理、なごやかな会話が、家族だんらんを楽しく意味のあるものにするのです。
気になるのは、「料理や食べ方を誰から学んだか」の問いに、9割が"母親"と答え、父親は5割だった。
食べ方はしつけに通じるのに…父親の影が薄い。
私は子どもの頃、「ひじをついて食べるな」「迷いばしをするな」「一粒のご飯も粗末にするな」「好き嫌いはダメ」など、
家族が全員そろった食事時に、しつけるのは父親だった。
何度となく同じことを言われた。それが今になって生きている…。
■挨拶
家族だんらんで、大切にしなければならないのが、家族の間に交わされる「挨拶」。
今の子供は挨拶を知らない。
家族の中で挨拶が出来ていないから、外でも挨拶しません。
「おはようございます」がきちんと言えるかどうか?
「いただきます」「ごちそうさま」が言えるだろうか?
食事の後、背中から「行ってきま~す」。
きちんと顔を合わせて挨拶することがない。
それに対するお母さんも、「行ってらっしゃい」と挨拶を返すが、台所で背中を向けたまま。
きちんとした挨拶を家庭で習慣化させるには、まず夫婦から。
子供がまだ小さなころに習慣化すれば、何でもないことです。
■議論
次に、「家族だんらん」で意外と難しいのが、親子の会話。
家族が「議論」を戦わす環境を作っていくことです。
子供たち、小学校の高学年の頃から、親子の会話を発展させ、議論を楽しむ環境を作り、習慣化していきます。
夫婦や親子の間の壁がなくなり、コミュニケーションがとれる、素敵な家族になります。
家族だんらんのない家庭では、親子が意思を通じ合う機会がない。
たまに議論すると、議論がお説教になり、口論になって、喧嘩別れになってしまいます。
子供たちが成人した後の円滑な人間関係は、こうした普段の家族のあり方から始まるのです。
■洋食のマナー
ナイフとフォークを使って"ライス"を食べる時、フォークの背中に乗せて口に運ぶのと、
内側ですくって食べるのと、どちらが正しいと思いますか?
アメリカ人は「それは内側だ」と言う。
イギリス人は猛烈に反論して、双方譲らなかったと、ある雑誌に載っていた。
おいしく食べれれば、どっちでもいいことでしょうが、私の若い頃は、ライスはフォークの
背に乗せて食べるものと思い込んでいた。
最近はマナーに囚われず、内側ですくって食べることが多くなった。
泉が丘のフランス料理店で、娘の嫁ぎ先のご両親と食事をした。
一品運ばれるごとに、シェフが説明に現れる。
そんなフルコースの本格会席というのに、みんな、ナイフやフォークを脇に置いて、お箸
でいただいた…。
【心と体の健康情報 - 301】
~子育て心理学~
「新入社員研修での食事風景」
倫理法人会「倫理306号」
を転載します。
ある「新入社員セミナー」の一場面です。約50名の受講生が食事をしています。
ご飯とお味噌汁をテーブルごとに用意するのですが、皆、自分の分だけを盛り、その後ろに列ができます。まず気付くのが、
他人には無関心で、人のために何かをしようという気配りを知らない…。
「いただきま~す」と、いよいよ食事が始まりました。
ところが半数の受講生は、お茶碗をテーブルに置いたまま、右手だけで食事をするのです。
中には足を組み、左手をポケットに突っ込んだまま、肘をテーブルについて食べる若者もいる。
「このような光景は、年々多くなる」と語るセミナー担当の講師。
初めのうちは、姿勢を正すよう、そのつど注意をしたそうですが、ただ面倒くさそうな顔をされるだけで、
どうしたら気付いて正してもらえるか、考え続けたといいます。
とりあえず、こうした姿勢で食事をする受講生たちと、一緒に食事をとりながら、彼らの話をよく聴くことにしました。すると、性差・
地域差・年齢差を問わず、ある共通点が見えてきました。
それは「食事のマナーや姿勢が良くない人は、小さな頃から家族揃って食事をした経験が乏しい人に多い」
という傾向でした。
例えば、家族一人ひとりの生活時間帯がまちまちで、同じ家に住んではいても、
食事はめいめいが好きな時間に取っていたというケース。
両親とも働きに出ていて、コンビニで買ってきたカップ麺やお弁当を、一人で食べていたというケースなど、形態は様々ですが、
家庭内でお箸の持ち方や、食事どきのマナーや姿勢について教わった記憶は、一様に全くといっていいほどないのです。
セミナー中に、いくら姿勢を注意したところで、本質的な部分を理解できなければ、将来、子の親になった時に、
何も子供に教えることが出来ないのではないかと、思われるのです。
「本当に難しい時代になってきた」と、寂しげな口調で語る講師に、この項を読まれた皆さんは"どうすれば良い"と思いますか?
~日本一美味しいラーメン屋さん~ (株)力の源カンパニー
■河原成美社長 "講演会" ご案内
一度食べたら又行きたくなる…
大変美味しいラーメン屋さんが片町にある。
屋号は「一風堂」、いつもお客様でいっぱい。
TVチャンピオンのラーメン選手権大会で3度日本一に…。
九州から北海道、全国36店舗と2工場、
すべて直営。本場上海にも進出。
社長の河原さんとは、論語を学ぶ京都で2年間机を並べ…素晴らしい人柄にほれ…
是非、金沢で講演を!とお願いし、実現した。
講演では、「人生いかに生きるべきか」「成功を手にするための基本・心構え」
「人生とは感動…」などがテーマ。
高校や大学在学中のご家族、奥様、若い社員さんなどを伴って是非…。
これからの人生を、生き方を見つめる、大変良い機会になります。
日 時 | ■ 6月29日 18:30~21:00 |
会 場 | ■ 野々市文化会館 フォルテ 2,000円 |
お問合せ | ■ 0761-24-5485 (有)ジャスト 若本大一郎 |
【心と体の健康情報 - 298】
~子育て心理学~
「悪いことをしてはいけない…」
小中学校で「道徳」の授業が始まったのは、昭和33年から…私が高校入学の年である。
昭和10年から16年の間に生まれた世代…戦中・戦後の混乱期に少年期を過ごし、学校で「道徳・躾け」などの教育を受けなかった、
空白の世代である。
今、その世代が日本の中核を担い、日本をしょって立っている。
毎月のように世の中を騒がす役人・政治家・企業の不祥事。
経済人は、自らの欲望を充たそうとして、世の中に害を撒き散らし、政治家・役人は、性懲りもなく私欲を肥やし、贈収賄を繰り返す。
社会が不道徳に汚れきっているように見える。
この空白世代の道徳・倫理観の欠如が、その原因のように思えてならない。
事件が発覚するたびに、一列に並んで深々と頭を下げる指導者たち。
そのたびに、やりきれない思いになる。
そんな世相に生きる子ども達に、倫理や道徳を説いても、素直に受け入れるだろうか?
以下、6/10読売新聞 宗教教育の重要性を説く、大学教授 菅原伸郎「叱るだけよりも、人の弱さを認めて」からの抜粋です。
子ども達にとって道徳とは、「校則を守れ、盗むな、交通規則を守れ」といった、大人にとって都合のいい、
社会秩序を保つための手段にしか見えないだろう。 |
一風堂の河原社長。高校の時悪友とつるんで、面白半分に窃盗事件を起こし、警察に捕まった。父親は、我が子の教育も出来ない者が、
人の子を教えられないと、教職を辞し、代わりに罪をあがなった。
この事件の後目覚め、「良い人間になりたい」と人生の再出発をした。
~一風堂五輪書より~
「感性論哲学」の創始者で哲学者の芳村思風先生…
「人間は間違いを犯す動物である。
人間は長所半分、短所半分でバランスを取って生きている。
短所があることが、人間であることの証明。
ゆえに、完全を求めてはならない…」と、私たちに生き方を説く。
一度の間違いもなく人生を歩めたら幸せだろう。
多くの人は、過去に道を踏み外しそうになった苦い経験がある。
その古傷を心にしまい込んで生きている。
たった一度の間違いで、取り返しのつかないことになり、仕事や家庭、友人すべてを失い、
立ち直れずに十字架を背負って生きている人もいる。
■中日新聞「つれあいにモノ申す」より
◎「病院とあの世以外なら…」
結婚53年、旅行や外食に二人で行ったことは一度もない夫。
友達とは、旅行も飲み会も喜んで行く。
私を連れて行くのは、体調が悪く病院に行くときだけ。
私が悪いときは一緒に行ってくれるものの、待っているのは車の中。
先生に「1人ですか」と問われ、「ハイ」と答える。
先にあの世に行っても、私は付いて行きませんので、どうぞお先に…。
◎「きついひと言」
妻「ああ~いやだ、朝が終わったらすぐお昼。
片付けが済んだと思ったらもう夕食の支度よ」
と、よく愚痴をこぼす。
夫「だって仕方ないだろう、生きるために食べなければ」
妻、返す言葉で「あなたは、食べるために生きているんでしょ」
夫「……」
【心と体の健康情報 - 297】
~子育て心理学~
「少子化時代の子供たち(2)」
少子高齢化の波が、私たちが想像もしなかった社会現象をもたらしている。
東京都心の小学3年生20人に「逆上がり」をさせたら、出来た生徒はたったの1人。
基礎的な運動能力が1985年頃から低下に転じ、歯止めがかからなくなってきている。
中でも「走る」「跳ぶ」「投げる」といった、「基礎的運動能力」の低下が激しい…。
読売新聞「今どきの子ども」より
東京には、「逆上がり」や「跳び箱」の出来ない子供たちのための塾があるという。
その他「マット運動」など、学校の授業に応じたコースを取り揃えているという。
週1回1時間で、月5~6千円かかる。こんな塾が保護者に受け入れられ、塾として成り立つとは、一昔前には思いもしなかったことです。
町を歩くとお年寄りばかりで、小さな子供の遊ぶ姿が目に入らない。
鬼ごっこなどで一日外で遊んでいれば、運動能力も付いてくるだろうが、近所で一緒に遊ぶ子どもがいない。
外で遊ぼうにも、遊び相手がいないのです。
集団で登下校させなければ、子どもの安全が守れないない社会になり、一人家の中で遊ばせるようになる。学校から帰っても、
誰もいない家庭も多い。
子どもは部屋にこもって、スナック菓子を食べながら、テレビゲームに熱中。
運動が不足するようになり、「肥満」や「生活習慣病」の引金になる。
高血圧や糖尿病で苦しむ小学生が増えてきていると聞き、「ああ~ここまできたか」と、嘆かざるを得ない。体力の低下は、
子供たちの活力を低下させる。
日本の将来が心配だ。
銀行、商店、映画館に囲まれた、繁華街に生まれた私。
小学生の頃、町内の同級生は女の子が一人いただけ。一緒に遊ぶこともなく、一人家で遊んでいた。
中一の時、町内に三年生の札付きの不良が二人いた。二人の後にくっついて歓楽街をふらつき、ろくな遊びを覚えなかった。
下町では、子どもたちが大勢遊んでいた。私はよそ者、仲間には入れてもらえなかった。運動音痴になり、
運動会のかけっこが大嫌いになった。
野球やソフトボールで遊んだ経験がない。今もバットが振れず、ボールを投げられない。集団でプレーするスポーツは苦手だ。そんな姿が、
今の子ども達なのでしょうか…。
少子化の影響で、中学の野球部員が集まらず、思うようにチーム作りが出来ないと聞く。遊び半分の部員がいても、
辞めてもらっては困ると、先生は叱らない。
道具の後片づけ、清掃、グランドならしなど、生徒が嫌がることは、父兄がやっているという。これでは、強いチームなど望むべくもない。
それよりも、野球部の存続そのものが心配なのです…。
少子高齢化は、全国の夏祭りを危なくしているという。
祭りの中心になる青年が不足し、みこしの担ぎ手、山車の引き手がいない。
伝統の踊り、笛や太鼓などの伝統芸を引き継ぐ者も、いなくなりつつある。
■小中学生と両親の「生活意識に関する調査」
今年の3月内閣府は、小中学生と両親を対象にした、「生活意識に関する調査」の
結果を発表した。
・進学・友人関係など、何らかの悩みを抱える中学生……全体の7割70.9%
・子どもの悩みを「知らない」と回答した保護者……半数の49.3%
・平日の子どもとの接触時間が「ほとんどない」と応えた保護者……12.7%
前回2000年の調査より、5.4ポイント増えた。
●携帯電話を所有する小中学生
小学4年…10人に1人 小学6年…5人に1人
中学1年… 3人に1人 中学3年…4人に3人
●中学生のメールの送受信
・一日に10回以上…43.5%
・一日に6~9回…18.4%
【心と体の健康情報 - 296】
~子育て心理学~
「少子化時代の子供たち」
福島県の高校3年生が母親を殺害し、切断した頭部を持って警察に出頭するという、子供たちの常軌を逸した凶悪な犯罪が、
ひんぱんに起きるようになった。
この少年は、4月から学校に行っていなかっいたという。家庭の親子関係はどうなっていたのだろうか…?
私たちは、我が子の幸せを願って懸命に働き、ようやくそこそこ豊かで、満ち足りた社会になったと思っていたら、 "命の尊厳"という大切なものを、どこかに置き忘れてしまったようです。
私たちの子供の頃とは、今の子ども達の生活環境は、大きく変わってしまった。
最近の少年事件の多くは、少子化と関わりが深い。親子がふれ合う機会が減少し、人間関係が希薄になり、悩みを解決することができず、
独り悩みを抱え込む。
親も子も、友達だちも、みんな自分のことに忙しく、ゆっくり落ち着いて向き合う時間や機会を無くしてしまっている。
NHK朝のドラマ「どんど晴れ」で、多忙な仕事に追われる母と、
その一人息子の親子関係の希薄さが原因となって起きた、生死に関わる大事件…。
番組を見られた人は、その意味を理解できると思います。
昔の子供は日が暮れるまでみんなよく遊んだ。
私は六人兄弟の真ん中。両親と祖母、合わせて九人家族。家に帰れば家族がいて、みんな揃って食卓を囲み、ご飯を食べた。
今のように子供部屋などなく、兄弟姉妹、川になって寝た。
年長の子供たちに混じって、ペッタ、ピー玉遊び。手作りのパチンコで戦争ごっこ。
毎日かくれんぼをして、路地裏の塀を伝ったりして、暗くなるまで遊んだ。
喧嘩も遊びの一つ。陰湿ないじめは皆無だった。
子供達は遊びからルールを覚え、人との交わりを身に付けていった。
今の子供たち、集団の中でルールを身につける機会がないまま、大人になっていく。
喧嘩の仕方を知らないから、キレると怒りを抑えきれなくなり、暴走してしまう。
どうすればいいか…子ども達を集めて、山でキャンプを張るとか、海でバーベキューをするとか、
年齢の違う子供たちが共同で作業をする機会を作ってやることでしょうか…。
今の子供たちは、親の愛を独り占め。一人っ子であれば、夫の両親に妻の両親、少なくとも6人の親の愛を独り占めにする。
何をしなくても欲しいものが手に入る。いつしか、言われたことしかやらない"指示待ち人間"になっていく。
自分の思うようにならないと、何でも周りのせいにし、我慢という言葉を知らないまま、大人になっていく。
自分で考え、自分で行動することの大切さを、教えなければならない。
人のお役になることの喜びを、体験させなければならない。
人のために何かを懸命にやれば、感謝され喜ばれることを…。
そうした体験の積み重ねが、人との交わりや、コミュニケーションを身に付けていく。
■「見捨てられ症候群」
息子の二人目の男の子は5ヶ月。2つになるお姉ちゃんは、弟ができて「赤ちゃん返り」をした。大人の関心が自分から離れていくのを、
敏感に感じ取ったのでしょう。
子ども達の間にも、これに似た問題行動が見られる。親や先生から期待されず、無視され続けると、「自分は誰からも愛されず、必要とされない…
」と、「見捨てられ症候群」に陥る…。
目立ちたいがために自己主張をする。教室で我がままな振る舞いをしているうちはいいが、人を傷つけ、 自分を傷つける暴力行為となって表れてくる。卒業式や成人式での常軌を逸した振舞い。徒党を組んで夜の街を暴走する若者などは、 その表れでしょう。
【心と体の健康情報 - 295】
~子育て心理学~
「親の干渉が、子どもをダメにする…」
私の兄は大手銀行に就職し、定年まで転勤続きの人生でした。大手企業の社員であれば、転勤は避けられず、宿命のようなもの…。
私の仕入先も、社内恋愛共働き社員が多い。金沢支店にもカップルがいる。
女性は、子供ができればやむなく会社を辞め、家庭に入る。夫の転勤にくっ付いて知らない土地に引越し、3年くらいで又転勤。
その土地になじむには3年は短かすぎる。何でも話せる友人が出来ない。ようやく友人が出来たと思ったら、転勤…。
保育所の親子サークルに参加しても、よそ者扱い。子どもも土地の子に意地悪されたり、無視されたりする。子どもが可愛そう…。
会話のアクセントの違いからか、地元の人たちとなじめない。考え方も微妙に食い違う。
夫に相談しようにも、帰りが遅く頼りにならない。「自分で解決しろ」と、関わろうとしない。
一人悩みを抱え、孤独にさいなまれる。何でも話せる友人がいない。いつしかウツ状態になり、育児ノイローゼに…。
転勤族の奥様で、このような辛い思いをした人を何人か見ている。
子供の頃、「近所の子供たちと毎日暗くなるまで遊んだ」経験がない。
人間関係作りが下手で、社会性が身に付いていないことが原因でしょうか…。
今は、どの家庭も子どもは一人か二人。お天気の良い日には近くの公園で、子連れのお母さんが集う。母親はおしゃべり、
子どもは砂場で遊ぶ…。
おもちゃの取り合いが始まった。年長の子が、年下の子のおもちゃを取ろうとして、相手をポンと押した。年下の子は、
大きな声で泣き出した。
すると、押した子の母親は、あわてて我が子を叱り、相手の子どもや母親に謝る。謝られた子どもの母親は、 「押したのは子どもだから、子どもに謝らせるべきでしょう」と、親に文句をいう。
集団の中で、コミュニケーションがうまく取れない親子が多くなってきている。
親も子も自分本位で我がまま。誤った交わりは陰口に始まり、仲間に従わないなら仲間に入れない。そんな排他的構造を作り出していく…。
子供たちの間では、ケンカや小競り合いは付きもの。そうした体験を積むことによって、どうすればうまく折り合っていけるかを、
学んでいくようになる。
だから親は、子どものもめごとに首を突っ込まない方がいいのです。
暴力をふるえば、いずれ自分が仲間はずれになることを知るし、言葉でのやりとりは社会性を育み、譲り合うことで、
思いやりや優しさが身に付く。
ところが、一人っ子のお母さんは、子どもの争い事につい干渉し、我が子をかばってしまう。子ども自らが、
社会性を養う機会を奪ってしまうのです。
子どもの争いやケンカには、親は口を出すべきではない。子どもたちのことは子どもたちに任せて、見て見ぬ振りをすることも、 場合によっては教育なのです。
■「閉じこもり」の家庭に共通して見えるもの…
・ 子供の教育は母親まかせ。父親不在の家庭。
・ 母親が教育熱心で、子供に過大な期待をかける家庭。
母親は、子どもが部屋で勉強しているようであれば、満足している。
・ 子供の悩みに気づかない親。
・ 一人っ子の家庭。あるいは、兄弟の歳が離れている家庭。
・ 母親が子どもべったりで、過保護な家庭。
・ 両親が共働きで、家の中にぬくもりのない家庭。
読売新聞
【心と体の健康情報 - 294】
~子育て心理学~「引きこもり」
私の身近にも、社会に出て間もなく引きこもってしまい、十年たった今もほとんど一日中部屋の中で過ごし、社会復帰できないでいる、
三十過ぎの青年がいる。
社会人になってしばらく会社勤めをしたが、人間関係がうまくいかなかったのか、突然会社を辞めてしまい、それ以来
「引きこもり」が続いているのです。
私がその家庭を訪ねた時も、部屋から出てくることはなかった。
一日中パソコンと向き合っているようなのです。
中流家庭で、何不自由なく育った二人兄弟の弟さんです。とりわけお母さんが教育熱心というわけではない。 幼いころからの育て方に何か問題があったとしたら、お兄ちゃんがずばぬけて頭がよく、勉強が出来て秀才だったことです。
当然、両親の期待も長男に集中…。何かにつけて、兄弟が比較される。
「お兄ちゃんを見習いなさい」「お兄ちゃんのように勉強すれば、成績が上る」いつの頃からか弟さんは、「僕は駄目な子なんだ」
「生まれてこなければ良かった…」と、一人殻の中に閉じこもるようになったのでしょう。
ご両親は、何とか一人前に育てようと、岐阜県の全寮制の男子高校に入れた。
スパルタ教育で有名な学校である。性格は内気で温和な弟さん、学校でいじめに合っていたようです。
ご両親には、これといった原因が見当たらない。本人に理由を尋ねても、具体的には何も話してくれない。
小学生のころはとても素直でいい子だったのに…。
引きこもりの原因と思われる問題点を幾つかを並べてみると…。
■環境的要因では
(1)ひとりっ子で、甘やかされて育った
(2)兄か弟が優秀で、何かにつけて比較され、差別されてきた
(3)親が教育熱心で、親の期待を一身に背負って育った
(4)小学・中学・高校、ずっといじめられていた
■引きこもりの子供に共通する特徴は
(1)親思いで、親を決して批判しない
(2)喜怒哀楽のような自然な感情を…中でも悲しみを閉じ込めてしまう
(3)相手に合わせようとする。
自分のことを自分で決められず、親や周りの意見に左右されやすい
(4)一所懸命生きているにもかかわらず、「もっと頑張れ」と、もう一人の自分がささやく。
(5)自分自身を誉めることができず、認めることができない。
人と争うことが嫌いな、心の優しい子が多いのです。
原因と思われるものは幾つか見える。しかし、決定的原因と決め付けるものがない。
また、子育ては夫婦共通の責任であるにもかかわらず、子どものしつけ・教育は妻に任せっぱなし…私がそうでした。それにも関わらず、
「お前の育て方が悪い」と、夫が妻を責めるのが日本の家庭。子を思う母は、ノイローゼになるくらい悩みを抱え込んでしまう…。
登校拒否の場合と同様、世間の常識に当てはめて、親の体面・立場から本人を厳しく叱ったり、優しくさとしたりして、 あれこれ試みてみるものの、何とかしようとすればするほど、状況は悪化するばかり。アリ地獄のよう…
子どもの将来を思う気持ちは皆同じ。 あせらずゆっくり、当面は子どものしたいようにさせて、 お子さんから話を切り出せる環境づくりに努め、話を聴いてあげるだけにするといった、我慢がいるようです。
腫れ物に触るような接し方をしていては、いつまでも問題が解決しないと思うのですが、当事者になってみないと、
この苦しみはわからないだろうし、両親が思い悩むだけでは、この問題は解決しそうにはありません。
いずれにせよ、現実は甘くないのです。
■ノーベル物理学賞の朝永振一郎博士
朝永博士は小学二年のころ、習字の先生に「下手な字だな…」と言われたのが原因で、朝になるとお腹が痛くなり、登校を嫌がったという。
やがて登校するようになったが、後年になって、家の中から当時の習字が出てきて、ハッとしたという。
ある時を境に、丸が沢山ついていたのです。
親が先生に不登校の原因を伝え、それで、先生は点をあげてくれたのでしょう。
お陰で、登校が苦痛でなくなった…。
後に京大へ進学。同じくノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士とは同級だった。
朝永博士の習字苦手意識は生涯取れず、色紙は勘弁してもらっていたという。
○以下朝永博士のことば…
「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です
よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の芽です
そうして 最後になぞがとける これが科学の芽です」
「鏡に映る世界は、なぜ上下が逆にならないのか」と、研究室仲間と議論をぶつけ合ったこともあるという。
【心と体の健康情報 - 293】
~子育て心理学~「学校に行きたくない-3」
全国に不登校の子供が13万9千人もいます。十年前の2倍、中学生39人に1人が不登校児童なのです。
私たちは、不登校の子供たちへの理解が出来ていると、確信できるでしょうか?
不登校問題の解決は、子供の将来を考えると、「子供をできるだけ早く学校へ復帰させるようにすべきだ」というのが、
大方の考え方でしょうか…。
もう少し、子供の立場になって考えれば、要は、一人前の社会人として自立してくれればいいのです。
学校に復帰させることにこだわらなくてもいいのです。
フリースペースや、塾や予備校、それで駄目ならインターネットなど、人間形成の場はいくらてもあるのです。
不登校の子供を無理やり学校へ行かせようとするのは、骨折れした子供を走らせるようなものです。又、子供が手首を切るのは、
大人への「脅迫」と取る人が多いのですが、そうではなく、「ふがいない自分に対する怒り」ではないでしょうか…。
不登校児童に対する周りの大人たちの誤解が、子供たちを更に追い込んでしまう。
戦後、民主主義が叫ばれ、教育の場でも「個性のある子を育てよう」と言ってきた。
ところが実際は、人とは違った個性を持っている子が、いじめの対象になる。日本人社会は、人と違った言動をすると「おかしな人」
と見られてしまう。
NHK・BSで、朝の連続ドラマ「さくら」が再放されている。アメリカ三世の"さくら"が、高山の学校で繰り広げる、 日本人とアメリカ人のモノの見方、考え方の違い。それが毎朝のドラマで騒動を繰り広げる…見ていて大変面白い。
人はみな違って当たり前。相手をわかろうとし、自分のことをわかってもらう努力がいる。
お互いの違いを認め合える社会にしていきたいものです。
前号468号で紹介した、福井県越前市の小学校教論・岩堀美雪先生は、それを学校で試み、成功した。
この世にたった一人しかいない"自分"。自分の中の、自分にしかない良いところを探し出し、それに関わる様々なモノを、
自分だけの手作りファイルに入れて残していく。
「未来への贈り物」という手作りの「パーソナル・ポートフォーリオ」。
生徒・先生・ご家族が一緒になって、作りあげていくのです。
お相撲さんは、マラソンランナーにはなれない。マラソンランナーはお相撲さんにはなれません。
ペーパーテストで高い点数を取った子が優れた子という、偏った価値観で優劣をつけ、人間を評価してしまう今の教育には疑問を感じます。
一人ひとりの持つ個性や持ち味を伸ばしていく…そんな教育が待たれます。
■講演とコンサートのご案内
目的とタイトル | "家族愛・故郷への愛を取り戻そう" 「みんな大好き!愛を歌おうコンサート」 |
---|---|
ゲスト | 歌手「ミネハハ」 プレゼンター 「岩堀美雪」 |
開催日時・場所 | 7月8日(日) PM 1:30~4:30 福井市ハーモニーホール 〒918-8152 福井市今市町40-1-1 TEL:0776-38-8280(代) |
入場料 | 2,000円(高校生以下無料) |
プログラム | 2:00~ 講演 岩堀美雪先生「未来への贈り物」 2:45~ コンサート(ご家族・お子さん同伴で参加ください) |
チケットのお申込み | 090-6276-7246 事務局 笠原園代まで |
【心と体の健康情報 - 292】
~子育て心理学~「自分の、自分にしかない良いところ探し」
「勉強は大事だ。でも、それだけが全てか?違う。通知表で表しきれないものだってある…」
20年近くこんな思いをずっと抱き続けた、小学校の先生がいた。
この世にたった一人しかいない"自分"。自分の中の、自分にしかない良いところを探し出し、それに関わる様々なモノを、
自分だけの手作りファイルに入れて残していく。
それを思いつき、実行し、工夫し、成功させ、大きな成果を手にした、小学校の先生にめぐり合った。福井県越前市の小学校教論・
岩堀美雪先生です。
川人正臣さんの紹介で知りました。
岩堀先生は、生徒と一緒に考えたネーミングで、「未来への贈り物」という、 手作りの
「パーソナル・ポートフォーリオ」をつくり始めた…
(1)自分のいいところを、5個・10個と見つけ出し、書いていく
(2)友達のいいところを書いて渡す
(3)教師が生徒のいいところを書いて渡す
(4)保護者に、子どもたちのいいところを書いてもらう
それをファイルしていく。友達からの手紙、思い出の写真、新聞の切り抜き、みんなで話し合った記録など、 自分だけの宝物を作っていく。
○二学期になって…
(1)クラスみんなで対話する
(2)先生と生徒が対話する
(3)自分のいいところについて、もう一度考え、続きを書き加える
○三学期になって…
(1)自分が成長したところについて書く
(2)先生が、子ども達の成長したところを書いて渡す
(3)保護者に、子ども達の成長したところを書いて渡す
子ども達に、自信・やる気・思いやりの心が育ってきた!
(1)自分のことをよく知るようになった
(2)自分の良さについて考えているうちに、自分が好きになった
(3)友達の良さについて考え、良いところを認め合うようになった
(4)友達と今まで以上に仲良くできるようになった
(5)自分をもっと、伸ばそうという気持ちが高まった
[事例1]
自分のいいところが二つしか見つからず、感想に「見つからなくて残念」と書いた生徒。
友達みんなから、自分が気づかない良いところ を言われて自信が付き、やる気になった。
その後、びっくりするほど成長した。
[事例2]
うちの子に、「私のいいところ書いて」と便箋を手渡されたとき、正直言って何も思いつかなかったんです。すると
「私のいいとこないんか~」って、子どもが泣き出した。
これではいけないと家族が集まった。
今までうるさい子、我がままな子と思っていたのに、友達は、明るい、 いつも元気、優しい…。そうか、
この子にもいいところがいっぱいあるんだと、家族みんなが気づいて、それぞれ言葉を書いて渡した。
家族みんなが子どもの良さを認め、文章にした。
子どもは認められたことで、心が落ち着き、親に反抗しなくなった。
東洋館出版社/服間小学校教論・岩堀美雪著
「心がぐん!
と育つ・パーソナルポートフォリオ」より抜粋
■地元の高校が目指すものは…
高校の頃を振り返ると、進路を決めた二年二学期以降は、進学予備校さながら。
みんな大学を目指し、わき目も振らずに勉強した。先生もまた、前年実績を下回るようなことがあってはと頑張る。
受験一色は、生徒や教師の心身を疲弊させる。
「もう一つの甲子園」を目指し、母校の名誉をかけ、北陸地区予選を戦っているようなものです…。
東大合格県内第二位の泉丘も、昨年から東大合格者が際立って増えた。
昨年は金大付属をも上回ってしまった。地元の金沢大学にも、毎年80人前後の合格者を送り込んでいる。
金沢大学を卒業した後、地元に就職する者、親の事業を継承する者など、地域の将来を担う者が多い。
一方、東大や京大など、エリート進学校にこだわると、付いていけない生徒が出て、かえって進学率を低下させることになるだろう。
また、卒業後東京や大阪に人材が吸い上げられ、故郷の将来を担う人材にはならない…。
【心と体の健康情報 - 291】
~子育て心理学~「進学率の高い学校が"いい学校"?」
地元月刊誌「アクタス5月号」の特集に、「東大合格者数、石川が富山を逆転、金大学付属は"意識改革"に成功。 富山県の東大進学御三家は"油断"」とあった。
富山県は、何かにつけて石川県をライバル視する。
根っこに、加賀百万石に対する劣等感が潜むという。
ともあれ、富山県民が子どもに注ぎ込む"教育費"は日本一とか…。
教育熱心な県として知られる。
富山県の東大合格者数は、過去石川県を下回ることはなかった。
それが07年の入試で崩れた。
アクタス5月号「盛り返した金大付属、半減した富山の御三家。両県の明暗を分けたのは何だったのか?」のサブタイトルで、
読者の興味を引く。
‘04 | ‘05 | ‘06 | ‘07 | |
金大付属 | 17 | 8 | 11 | 19 |
泉 が 丘 | 2 | 6 | 20 | 14 |
そ の 他 | 4 | 5 | 3 | 5 |
石 川 計 | 23 | 19 | 34 | 38 |
‘04 | ‘05 | ‘06 | ‘07 | |
富山中部 | 20 | 13 | 27 | 14 |
高 岡 | 19 | 15 | 21 | 8 |
富 山 | 2 | 4 | 7 | 2 |
そ の 他 | 3 | 2 | 6 | 2 |
富 山 計 | 44 | 34 | 61 | 26 |
「全国の県民性」を著した書籍が書店に多数並ぶ。
富山県人が"誇りに思うこと"に、「東大合格数北陸一番」がある。理由は…
(1)東大合格者数は、その県の教育水準のバロメーターを示す
(2)東大合格者を多数出した県は、その後、政治・経済の人脈で優位に立つ
石川県は反論する…
(1)石川県は関西圏に近く、東大より京大を志望する学生が圧倒的に多い。
結果、京大合格者数は富山県よりはるかに多く、一桁違う。
(2)金沢大学は、第四高等学校の歴史を受け継ぐエリート大学。
地方大学では、どこよりもその存在が大きい。
毎年必ず、富山県の高校と対比されてきた石川県の有名校。
最近の「県民性ブーム」と「学校区全県一区」への改革が、ライバル意識に火を付け、東大合格者に執着するようになった。
そしてついに、今年逆転したのです。
以下4月26日、中日新聞「中日春秋」から…
全国の小学校六年生と、中学校三年生を対象に、学力テストが実施された。 その根底にあるのは、「他所より成績のいい学校がいい学校」と決め付ける単一的モノの見方。 ある村の中学校に着任した校長先生。卒業生全員にもれなく優等賞 を渡した。 校長先生は、二晩三晩と考えたそうです。 校長先生は、様々な違った物差しを用意して、生徒が持つ良いところを評価し励ました。教育をする上で、
忘れてはならないことでしょう。 |
■地獄の食事風景、極楽の食事風景 仏教「三尺箸のたとえ」
大きな円卓を囲んで食事をしている。食卓には山のようにご馳走が盛られている。
皆、三尺(約90センチ)もある長い箸を持たされ、その長い箸で食事をしなければならない。
前世で、人の飲食をかすめ取った者や、人の持っているものを騙し取った者、
人に施すことを嫌い、自分のためにしかやらなかった者が、地獄に落とされてきた。
その地獄の食卓風景。ご馳走を前に、先を争って長い箸を使って食べようとしている。
しかし箸が長すぎて、どうあがいても口元に持ってくることが出来ない。
やがて隣同士争そい始め、いがみ合い、みんなご馳走を目の前にしながら、
空腹で目を血ばしらかせ、餓鬼になっている。
一方、極楽の住人たちは、三尺の箸先に摘んだ料理を、自分より先に、向かい合う相手の口元に運んでいる。
皆、互いに差し出すご馳走を食べて、お腹いっぱいになっている。
【心と体の健康情報 - 290】
~子育て心理学~「学校に行きたくない-2」
「不登校」が身近な社会問題になっている。
ちょっとした障害でも、勇気をもって乗り越えることの出来ない、元気のない子供が増えているという。 いろいろ原因があるようですが、
親の子供への接し方に、その原因が潜んでいるようです。
以下、石川 洋先生「美しい川の流れ」からの抜粋です。ある家庭の会話です。
どうして、人と人を比較して育てようとするのでしょうか。 |
日本だけでなく、韓国や中国でも、一番大切なものは「お金」。
「お金が沢山ある人が幸福」という考え方が共通した価値観でしょう。
お金が沢山もらえる人間になりたかったら、勉強しろと言う。
一生懸命勉強したらいい高校に入れる。いい高校に入れたら、いい大学に入れる。いい大学に入ったら一流会社に就職できる。
そうしたら給料がいっぱい貰え、幸福な人生が待っている…。
これが日本のお母さんの常識のようです。本当に一流企業に就職したら、親が望むような、幸福な人生が待っているのでしょうか?
子供は、本当の幸せを手にすることができるのでしょうか?
人を押しのけてでも手に入れなければならない価値観なのでしょうか?
誰もが目指さなければならない目標なのでしょうか?
今、日本には13万9千人もの不登校の子どもがいます。
「不登校、二十歳過ぎれば引きこもり」と言うように、成人しても部屋に引きこもったまま出てこない、
そういった子ども達が毎年増え続けているのです。
一点でも高い点数を取ることが良いこととされ、「低いよりも高い方がいい」「小さいより大きい方がいい」
「弱いより強い方がいい」「遅いより早い方がいい」といった価値観・考え方が常識になっている日本。
一番でも上がいいと言う。ちょっとでもクラスの上位を目指すため、我が子を塾へと駆り立てるのです。
そんな自己中心的教育をしていて、幸せになれるのでしょうか?
人を押しのけ、自分さえよければいいというのでしょうか?
大きな家にピカピカの車、「物やお金が人間を幸せにする」といった考え方。
戦後アメリカからもたらされた幸福観が、不登校や引きこもりを生み出している。
そんな、病んだ社会のひずみの中から生まれた、犠牲者ではないでしょうか。
吉村外喜雄です。
エジプトで、40年間古代遺跡の発掘を続けてきたことで知られる、吉村作治博士。(サイバー大学学長)
小学校3年の頃、運動能力が劣っているといじめられて、いつも図書室で一人本を読んでいた。
そんなおとなしい、いじめられっ子だったのです。
【心と体の健康情報 - 289】
~子育て心理学~ 「学校に行きたくない」
ざ・ぼんぢわーく工房/第29集は、村尾靖子さんの「出会いふれ合い巡り合い」。その中から、不登校体験のところを抜粋しました。
小学校2年の時のことです。私はしょっちゅう、いじめられていました。
その日は、男の子に喧嘩では勝ったのですが、男の子は負けた悔しさで、私に「お前の足は気持ち悪い、学校に来るな」と、
しつこく言ったのです。
懸命に我慢して家に帰って、母の優しい顔を見たら、涙がわぁ~っと溢れてきました。
しばらく母にすがって泣いていたと思います。
母は私の顔を覗き 込んで、いつもいつも「私が火傷をさせてしまって申し訳ない」という母に、「火傷があるからいじめられたのよ」とは、
言えませんでした。
次の日目が覚めたら、"学校へ行きたくない"と、初めて思いました。
玄関を一歩も出られなかったのです。その日、お腹が痛いか、頭が痛いか忘れましたけれど、嘘をついて学校を休みました。
普通のお母さんなら、「学校に行きなさい。仮病でしょう!」と言うのでしょうが、仮病は承知で、「そんなに具合が悪いのだったら、
寝てなさい」と母は言った。
その日は「しめしめ」と思って、一日寝ていました。仮病をつかって休んだのですから、ご飯を二杯食べたくても、
一杯でやめなければなりません。
退屈して"次の日は学校に行くぞ"と決意して寝るんですが、次の日の朝になると、
みんな、私が仮病で休んだことを見抜いているに違いないと思い、余計に行きづらくなり、3日が経ち、5日が経ち、
だんだん学校に行くきっかけをなくし、ずるずると休み続けました。
何日か経った日、先生がやって来ました。
私に会う前に、庭先で母と長い間、何かを話していました。
先生が来られて、
「靖子ちゃん、すごく面白い本が手に入ったのよ。先生が明日から皆に読んであげようと思うから、その本を読む時だけお母さんと一緒に、
教室の入り口までいらっしゃい…」
母に連れられて教室に着くと、入り口の扉が半分くらい開けてありました。
母の後ろに隠れて、みんなと目を合わさないようにしていると、先生が「靖子ちゃん、丁度いいところに来たわね、先生が本を読むから、
聞いて帰ってね」
先生は「丁度いいところに来たわね」と、声をかけてくださったのです。
母と打ち合わせ済みなのに、知らん顔して声をかけてくれたのです。 素敵な先生でした。
千一夜物語でした。アラビアンナイトの王子様とお姫様のお話で、ドキドキするところで、先生、「ハイ、今日はここまで、
この続きを聞きにまた明日も来るのよ」と声を掛けてくださるのです。
そうやって3日か4日経った頃、先生が「教室の入り口まで入ってみない?外よりもよく聞こえるわよ。」
気持ちがほぐれ始めていましたから、入ってみようかという気になり、入口まで入ることができました。
こうして、だいぶ教室に慣れてきた頃、「先生は今日、風邪をひいて大きな声が出ないから、
靖子ちゃん自分の席に座って聞いてくれる?」
言われるまま席に座って、一生懸命聞きました。
そして、さあ帰ろうと思い、後を振り返ると、母の姿はありませんでした。
先生と母の打ち合わせがあったようです。
それからの私は、学校は楽しいところと思えるようになりました…。
■舞台人の心構え
舞台人の心構えに、
「稽古は大根役者と思え。幕が上れば千両役者と思え」
というのがある。
まだ下手だ、まだ足りないとひたむきに稽古し、いざ本番となれば一転、揺るがぬ自信を胸に、舞台をつとめよ…と。
上がり症を克服しようと思ったら、本番に備え、何度も繰り返し練習するしかない。
先々週の土曜日、世界フィギュアで安藤が逆転の「金」。
SPでまさかの5位に終わった真央ちゃんが、「銀」という快挙をやってのけた。
本番前の順番待ちで襲ってくる、「うまくいかなかったらどうしよう…」という、抑えようのない不安感。それを振り払うため、
浅田真央は、舞台裏で1人瞑想した。
「精一杯やるだけやったんだから、例え本番で失敗しても悔いはない」と、開き直って臨んだことが好結果を生んだ。
翌日、日曜の午前、民法TV「波乱万丈」で…(震度4の地震が襲ってきた直後)「納得いくまで練習を積むと、
自らの演技を早く観客に見せたくて、ウズウズしてくる…」。
舞台俳優40年のプロ、"西岡徳馬"の言葉です。
【心と体の健康情報 - 287】
~子育て心理学~ 「日本の受験戦争は素晴らしい(2)」
仕事がない…。税理士から「会社をたたんだら…」と言われ、苦しくて眠れない日々が続く。死ぬ気になって原点に戻り、
成功をつかみとっていった。
「理念と経営3月号」に出でくる、埼玉県日高市に本社がある、(株)ミヤザキ山之内道廣社長の体験記である。
山之内氏は、5人兄弟の末っ子。家は貧しく、兄弟みな中学を出て働きに出た。
自分も中学を出たら左官になろうと、中学3年の夏休みに、1週間ほど見習いに行った。そのとき、
仕事が終わって職人たちが焼酎を飲んで酔う姿を見て、これが将来の自分の姿かと失望した。
高校へ行き、勉強したいと母に相談した。母は借金をして入学金を作ってくれた。高校卒業後、品川の樹脂の販売会社に就職。 人と接する仕事がしたいと、営業に出る。お客様の評判もよく、先輩に負けない売上を上げるようになった。
22歳のとき、アパートの一室に中古のボール盤を一台置いて、独立。
何度となく訪れる経営危機をその都度乗り越え、いまや、特注品の樹脂加工の分野では、他者の追随を許さない高い技術を誇る、
トップ企業に成長した。
山之内氏とは以前、一年近く一緒に机を並べ、勉強したことがある。
その人柄は一級品。貧しかった幼年期と、若い時に重ねた苦労が、氏を大きな器に磨き上げたのでしょう…。
春は選抜高校野球と共にやってきた。
先月23日から始まった甲子園での熱戦も、今日が決勝戦。
県予選での戦い、いくら練習を積んできても、敗戦とともに次がないことを、過去何度となく思い知らされている。
そこを勝ち残ってきた球児たちに、更なる試練が甲子園で待ち受けている。
トーナメントなので、どんなに強いチームでも、ちょっとしたミスで負ければ、次のチャンスはない。そこが良いのだ。
何しろ戦っているのは高校生である。 日頃から「うまくいかなくて当たり前、何も焦ることはない」などと、言われ続けている世代だ。
今が一番伸びるという時、負ける悔しさを体験することは大事である。
若いうちに、明日なき戦いを経験しておくことが、後に生きてくる。
受験も同じである。一発勝負と心得て、徹底的に勉強すべきだ。
「受験に失敗したって、どうってことはない」などと、ここで変な励まし方をしない方がいい。負けたら終わりだという気持ちで、
必死に取り組ませるのも、立派な教育である。
叩きのめされても、若い時だからこそ…。若い時だから、再び立ち上がることができる、明日なき戦いを経験させておく。受験こそ、
その絶好のチャンスなのだから…。
必死で戦って、結果負けてしまったとしても、「それはいずれ大人になって、財産になるであろう」などと、教える必要はない。
いずれ分かることなのだから…。
■中日新聞「つれあいにモノ申す」より
◆「共働き…私も疲れているのに」
「あ~疲れた!」とあなた。いいわよねェ~、仕事が終わって…。
座ったら、お茶碗にご飯よそってもらって、お風呂に入って寝られて…。
悪いけど、私もあなたと同じ仕事してるやん!
家事も育児も雑用も全部引き受けてるやん!
私はサイボーグじやないよ~だ!
◆「今に、作動しなくなるから…」
美容院から帰ると、夫が珍しく「どこへ行っていた」と聞くので、
頭を指すと、「頭、おかしいのか」と言う。
「見て何か感じない」と言うと、「ちょっと薄くなったな…」
私が何をしようが、どんな格好をしようが、全く興味がない。
そのくせ、身の回りのことはすべて私の仕事。私は家事をする機械?
今にあなたのためには作動しなくなるから…覚悟してね。
【心と体の健康情報 - 286】
~子育て心理学~ 「日本の受験戦争は素晴らしい」
米国在住25年、松尾 和先生の講演から。
先進国の中では、日本は奇跡的に社会のモラルが保たれている国です。
未婚の母は1%しかいません。先進国で、これほど家庭を大切にし、これほど親が子供に関わっている国は見当たりません。子供の幸せは、
親子関係がどれだけ良好かによって決まります。
日本の受験戦争は素晴らしい!
米国にはありません。親子が共に苦労するのがいいのです。
以前、「幸せ家族計画」という、お茶の間TV番組があった。まず、家族一人ひとりが、300万円分の欲しい品物を選ぶ。そして、
その300万円を獲得するために、父親が一週間、世の中で絶対役に立たないことにチャレンジするのです。
動機は不純ですが、父親は懸命に、繰り返し繰り返し練習に励む。
奥さん・子供さん・家族みんながアイデアを出し、協力し、父親を応援し、励まします。
そういった「家族愛」の姿をドキュメンタリーに、お茶の間で一喜一憂を共有するのです。
成功しても、失敗しても、感動が伴い「家族の絆が育つ」。そんな番組でした。
受験戦争では、今度は我が子が「世の中に出ても、ほとんど役に立たないことにチャレンジ」するのです。「目指す大学に合格する」。
その一点の目的のために、懸命に努力し、苦労させるのです。目標を達成しようと、苦しむことに意義があるのです。
苦しんだ内容は忘れても、苦しんで手にした喜び、達成感は一生忘れません。
「バンジージャンプ」は、オセアニアの大人になるための儀式。一見無駄に思われることでも、それを通り抜けていくところに、
意義があるのです。
子供の成長期の最も大切な時期に、受験戦争の苦しみを味あわせることは、知識や技術では得られない、
人間として生きていく上での大切なものを、身に付けさせることができるのです。
子供を自由に、伸び伸びと、個性豊かに育てていくだけでは、立派な人間にはならない。
苦しみを体験させ、限界に挑戦し、懸命に努力させる。
自らの手で掴み取ることの大切さを、どこかで学ばせる必要があるのです。
今の日本の男子を、凛々しく、礼儀正しく、国を愛する立派でたくましい男子に育て上げるのに、最も効果があるのは、 18歳になったら一年間自衛隊に入隊させ、厳しい訓練を受けさせることではないでしょうか。マザコンを無くすためにも…。
■ブルネイ王国ってどこにあるの?
ブルネイ王国という国はどこにあるの?…人口どれくらいの、どんな国かご存知でしょうか?お芋のような形をしたボルネオ島を、 縦に真二つに割って、北半分はマレーシア。南半分はインドネシア。
ブルネイは、北側マレーシアの中ほどにある、三重県ほどの小さな国で、人口は36万人。石油産出で潤うイスラム教の国です。
日本から近く、アジアの国なのに、この国のことを知っている人は少ない。
所得水準が極めて低い、田舎のマレーシアに隣接して、富豪の王様と、豊かな暮らしの国民が住むブルネイ。国民は無税で、
医療費もほとんど国が負担する。
ブルネイを知ったのは10年前。スキューバーダイビングで、ブルネイ空港で、大型ジェットから、40人乗りのプロペラ機に乗り継ぎ、 ボルネオ北端マレーシアのコナキタバルへ飛んだ。その時、ブルネイという国の存在を知ったのです。
【心と体の健康情報 - 275】
~子育て心理学~
「世界地図が分らない若者たち」
必修科目を教えていなかったことが、隣県富山県の高校に端を発し、全国に大きな波紋となって広がっていったことは、記憶に新しい。 世界史や地理、音楽の授業が「受験至上」の名のもとに、教科から除外されたのです。
2000年の国連加盟国総数は189ケ国。2002年にスイスが加盟し、インドネシアから独立した東ティモールも加盟した。 今年2006年に、モンテネグロが加盟して、現在国連加盟国は192ケ国になった。
日本は、原油の99,6%を輸入に頼っている。アメリカに次ぐ世界第2位の輸入大国である。国別では、サウジアラビア26%、
UAE(アラブ首長国連邦)25%、イラン15%と、中東からは、総輸入量のほぼ90%を依存している。
こうした国々と仲良くしない限り、日本の将来の繁栄はないのです。
そして、日本人が消費する食料品の60%は、世界各国に依存している。
もし、石油が止まり、食料品の輸入が止まったら、日本はどうなるでしょう?
終戦直後、食料自給が悪く、芋のツルやイナゴで飢えをしのいできた私には、心おだやかな話でありません。
なのに、地理や歴史を教えない学校。食料は、日本人の胃袋を支え、石油は日本の繁栄を支える。 そういった日本を支えてくれる国々を知ろうとせず、無関心のままでは、相手国に失礼…だけでは済まされません。
日本地理学会が2005年、大学生三千八百人と、高校生千人を対象に、世界地図の上でアメリカやイラク、
北朝鮮がどこにあるかを尋ねた。
その正解率は驚くべきものだった。
大学生 | 高校生 | |
アメリカ | 96.9 | 92.8 |
ブラジル | 92.8 | 87.1 |
ギリシャ | 76.5 | 59.4 |
インド | 96.8 | 92.0 |
北朝鮮 | 90.3 | 76.1 |
イラク | 56.5 | 54.1 |
一昨年オリンピックが開かれたギリシャや、自衛隊派遣や拉致で毎日のようにニュースに登場している、イラクや北朝鮮。 高校生では、五人に二人が、大学生でも約三人に一人が、どこにあるのか知らない。最も正解率の高かったアメリカですら、大学生の3%、 高校生の7%が間違った答えを出している。
近ごろ、都道府県の場所や、県庁所在地を知らない学生が増加しているという。
日本がアメリカと戦争したことも、原爆が落とされたことも知らない若者が増えているのです。学校で、
地理や歴史を軽んじてきたことの現れなのです。
孔子は、門下生に「仁」や「礼」教えたが、中でも「歴史学」を重視したそうです。
「温故知新」"故きを温ねて新しきを知る"。 古い時代のことを学び、そこから今の時代につながる知恵を学ぶ…いつの時代も、
大変大切なことです。
今年のメルマガ通信は、今日までです。
ありがとうございました よいお年を…
12月1日、京都へ論語の勉強に出かけた折、円山公園から、ねねの道、高台寺を散策。今年最後の紅葉を楽しんだ。
高台寺・圓徳院の 桃山時代を代表する庭園の紅葉 |
今月出産する二人目の外孫の安産祈願にと、八坂神社にも立ち寄った。
今日は、月初めの一日、本殿はお参りする人でにぎわっていた。その本殿をぐるりと取りまいて、お稲荷さんやミニ神社があり、 お参りしている。
そこで私も、由来を記した立て札を読みながら、一つ一つお参りして歩いた。
商売繁盛の「蛭子社」、「大黒福の神」。舞妓さんがお参りする「美の神神社」。
伊勢神宮・天照大御神をお祀りした、「神宮社」。
そして「疫払い神社」など、数えたら12ケ所もあった。
【心と体の健康情報 - 273】
~子育て心理学~
「大学を出ることの意味/今どきの若ものは…」
古代アッシリアの遺跡で発見された文字。解読したら「今どきの若いものは実に困ったものだ」と書かれていた…。 よく知られている逸話です。
生きてきた時代が違えば、育った環境も違う。当然両者の意見は、かみ合わなくなる。若い人から逆に年配者を見れば、
「考えが古くてついていけない…」と言うだろう。
例を挙げれば、私たちの世代、子どもの頃はいつもお腹を空かせ、何もかも貧しかった。懸命に働いて欲しいものを一つひとつ手に入れ、
幸せを実感しながら、人生を歩んできた。「もったいない精神」が体全体に刷り込まれた世代である。
私の息子の世代になると、生まれた時から衣食住満ち足り、なに不自由なく育った。この当時、日本人一人当たりのGDPは、
アメリカに次いで世界第二位、世界一・ニの豊かな国になっていたのです。
戦後の発展を支え、豊かさのシンボルだった家電ブームが去って、家の中は消費財で溢れ、売るものも買うものもない時代になった。 生活に余裕が出た私たち庶民は、土地や株を買いあさって、にわか成金が続出。高級車や貴金属、毛皮が売れ、円高を背景に、海外ブームに沸いた。
肉体労働が嫌われるようになり、ホワイトカラーがもてはやされるようになった。
バブルがはじけ、経済が低迷している時、雇用を守るため、国は休日を国民に奨励。週休二日が広がっていった。日本人から「勤勉」
というふた文字が消えていったのです。
怠惰になった日本人は、かってのように若者を育成し、企業の最前線に駆り立てる必要を感じなくなった。
若者を必要としなくなったのでしょう…。
安価な労働力、つまり、パートやフリーター、外国人労働者で間に合わせ、あふれた若者は、深夜のコンビニのレジ係、
ファーストフードの店員、風俗業や、サラ金などといった職業へ…。このような仕事は、資格もいらなければ、高等教育も不要である。
ところが、親や教師は、「大学へ進学しなければ駄目だ」という。将来何になりたいかはともかく、大学だけは出ておけと言う。 こんな時代だから、一流企業を目標に、エリートの座をつかめというのだろうか?
私たちと、その親の世代にとって「学歴」は、絶対的な価値を生み出すものと考えられてきた。富めるものはその富を守り、
社会的評価を高める手段として、貧しいものは、貧しさから抜け出す手段として、「学歴」の持つ価値は絶対的だった。
その一つが、結婚式での仲人の新郎新婦紹介…親の見栄・世間体が、我が子を一流校へと駆り立てる。
そういった社会の風潮を背景に、いつの頃からか、教育そのものが金儲けを目的としたものに変質していった…? 少しでも良い学校へ進学させたい親の弱みを突いて?学習塾が繁盛し、何箇所も受験させたあげく、私立の高校・大学は入学金をせしめる。 その金策に、親は頭を悩ませることになる…。
なのに子どもは、どれだけ親に感謝し、将来恩を返えそうと思っているだろうか?
将来どうあれ、資格を取ることを目的とした専門学校がやたらと増えている。
宅建主任や、情報・ビジネス専修学校など、資格を取ったからと、直ぐ良い職にありつくことができ、食べられるわけではない。
どうなるものでもないのです…。
12/10夜9時のNHKスペシャル「ワーキングプア」。"働けど働けど暮らし楽にならず"、そんな暮らしをしている家庭が、 全国に400万世帯はあるという。
二人の子どもを抱える母親。一流大卒なのに、子どもを抱える母子家庭ということで、働き口がない。日に4~5時間の睡眠で、
三つの勤め先でパート。
夜中まで働き、収入は合わせて18万円。必死に頑張り、何とかしのいで生活している…。
そんな環境から抜け出そうと、会社の求めに応じ、国家資格を取得した。
が、付いた資格手当はわずか10円、時給650円が660円になっただけ…
達成感のない努力を強いておきながら、「それが教育」とうそぶく…。
今の時代の若者たちに、無力感を植え付けたのは、明らかに一つ前の世代の古い価値観?を若者に押し付けている、 私たちではないでしょうか?
■金沢の「小路」
「路地」のことを金沢では、小路(こうじ)という。私が生まれ育った、武家屋敷のある長町の小路。その小路に沿って、
古都金沢の趣きただよう用水が流れる。
ひがしや、にしの茶屋街、東山や寺町を一歩入ると、どの小路も曲がりくねって、自動車がやっと通れるくらいの細い道が続く。
百万石城下町は、狭い小路や袋小路が到るところ迷路のよう…。加賀藩が戦略目的で造ったという。
戦いになれば、敵兵を"袋小路"へ誘い込もうというのです。
時折、百間堀や白鳥路、出羽町、本多町かいわいを、愛犬ヘブンと散歩する。
しっとりたたずむ城下町の、日頃気づかないない情緒に触れることができる…。
某新聞社が、「日本の美しい街並み」をアンケートで尋ねたところ、当然「京都」が一番。以下、「倉敷」「奈良」「金沢」「高山」の順で続く…。
【心と体の健康情報 - 271】
~子育て心理学~
「福祉が充実すると、社会が乱れる?」
米国で2005年に生まれた子どもの36.8%がシングルマザーの出産と、米国疾病対策センターが11/24公にした。 (11/ 25 読売新聞より)
米国在住25年、松尾 和先生の講演から。
松尾先生は米国在住25年のピアニスト。日本でも演奏活動を行っている。
十六・七年前から、アメリカの後追いをしている日本の教育の現状を憂え、全国各地の保育所を廻り、園児のお父さんやお母さんに、
21世紀の子育てのあり方について講演、啓蒙活動を行っている。
米国の男性の三人に一人は、子供が生まれても何もしません。 家庭を持ち、子供を育て、暖かい家庭を築いていくことが幸せにつながる。そんな空気が無くなったのです。 人類が命をつないできたのは、「幸せは夫婦を中心とした家庭にある」と信じ、 事実そのようにして幸せを手にしてきたから、人間社会が存続しえたのです。 それが先進国と言われる国で、ド~ッと崩れ始めたのです。福祉国家と言われるスウエーデンでは、50%
が未婚の母。英国、フランス、オーストラリア、いずれも三人に一人が未婚の母です。 ここで、問題に気づかなければならない。福祉が充実するのと比例して、未婚の母や幼児虐待が増えるということを… 。安心して子供が生める環境を整備することが、真の幸せ社会になると信じて疑わない人たちがいることに、 問題があるのです。 |
安心して子供が生める環境を整備することは、気楽に子供が生める環境づくり、気楽に離婚ができる環境づくりにつながっていく…。
母子家庭が増えてきたからと、完全保育の施設を充実させるのはいい。
が、一方で、未婚の母親が生活できる生活環境を整えなければならなくなる。
保育所が充実するということは、子育てに困らなくなるということです。益々気楽に子供を生むことができる社会になり、 気楽に子供を産んで、益々福祉の充実が叫ばれるようになるのです。そして、子供を自らの手で育てることをしなくなるのです。 それが福祉先進国、北欧の現状なのです。
同じ現象が、年寄りに対する家族の接し方にも見られる。病院の施設が充実すると、年寄りを病院に預けて、見舞いにも行かない。
体の良い厄介払いである。
本人は、家族と一緒に自宅療養を望んでいるというのに…。
それを見て育った孫たちは、そうするのが当たり前のことのように思ってしまう。
大分前のことだが、市内の老人養護施設へ慰問に訪れたことがある。
寝たきり老人のベッドの周りは、オシッコの臭気が漂い、ベッド下のPタイルがフヤけてまくれ上っている。タイルを取り去って、
ヘラで床の汚れを取り、ノリを付けて新しいPタイルを貼る…。
その作業の間ずっと、聞くに耐えない騒音悪口を、私に投げかけてくる。
頭はもうろくしていても、口だけは衰えを知らないようです…。
オムツを取り替えている看護師に聞くと、体が不自由で、家族にも会えず、ストレスが溜まっているせいだという。
このような風景は日常茶飯事なのです。
今の満ち足りた生活と、その環境を維持したいがために、あるいは、仕事を続けたくて、手のかかる子供や年寄りを、
人まかせにしようとする。
いずれ同じようにして、それを見て育った我が子に、見捨てられてしまうかもしれないのに…。そのことに気づかない。
今、家庭という一つの宇宙が崩壊しつつある。一度崩れてしまうと、元に戻ることがないから始末が悪い。家庭の崩壊は、 地域社会の崩壊につながり、急な坂をころげ落ちるように、どんどん崩れていく。私達は今、そのことに気づかなければならない…。
■親を敬う心
韓国ドラマに、しばしば親を敬うシーンが出てくる。親がわが子を叱るとき、
子は黙って頭を下げ、親に口答えしない。
庶民の中に、儒教思想が浸透している現れでしょうか…。
NHK「世界遺産の旅」を見ていたら、ルーマニアの子どもたちに、教会の古い
壁画を見せて、どうしたら天国へ行けるか、悪いことをしたら地獄へ落ちると、
両親が教えていた。
今の日本の子どもたちに、教会でもなく、家庭でもなく、学校でもないとしたら、
どこで倫理・道徳を身につけさせるのか?
私の子どもの頃は、家庭が教育の場だった。親に口答えは許されず、
家には守るべき憲法があった。父親は絶対的で、怖い存在だった。
【心と体の健康情報 - 269】
~子育て心理学~
「進駐軍がもたらした戦後教育の功罪 」
9月中旬、民放2時間ドラマ「僕たちの戦争」は、見ごたえがあり、面白かった。
昭和19年神風特攻隊の飛行訓練中に、突然タイムスリップして現代社会に…。
「俺たちは、お国の為に喜んで死ぬ覚悟でいた。だが、こんな堕落した日本になるんだったら、国に命を捧げる意味がないじゃないか!」と、街を歩きながら驚愕して吐いたセリフ…、「ウン~」と、心にうずいた。
今、子育てをしいてるのは、私の息子や娘の世代…。その世代を育てた私達の責任は重い…。私達は、先祖や両親を敬い、大切にすることを教わらなかった。
だから我が子に、「何れ、親の面倒を見るんだよ…」とは、教えてこなかった。
そんな子育てをしてきて、今になってそれが、わが身に降りかかってこようとは…今更慌ても遅い。子ども達は、年老いた両親の世話をすることなど思いも 因らない。年寄りの面倒は、自治体や民間の施設・病院に任せばよいと、思っている。
息子や娘たちは、戦争を知らない。貧乏を知らない。神仏を敬うことを知らない。苦労の経験もない。そんな息子や娘が、何れ、今の私たちの年代になって、うまくやっていけるのだろうか?
貧しい暮らしから、豊かな社会を築き上げた私達の世代は、みんな幸せだ。
今の若い人たちは、豊かな時代に生まれ育った。これからは、徐々に暮し辛い世の中になっていくだろう…大丈夫だろうか?心配になってくる。
私達が受けた教育は、進駐軍が持ち込んだ戦後教育。占領国アメリカの日本人教育の基本方針が、今の日本を動かしているのです。
日本が二度と戦争を起さなため、日本人の精神的基盤、戦前、日本人のアイデンティティを育んだ、道徳や倫理、歴史教育を、教育の現場から徹底的に排除してしまった。
日本人から大和魂を抜き取り、日本人を骨抜きにすることを、教育の根幹に据えた。「国家のために命を投げ出す」「国を愛する」といった、愛国教育は一切排除され、国を愛することを知らない、国に忠誠をつくすことを拒否する国民を育んでしまった。こんな国、世界広しといえども見当たらないだろう。
日本人が古くから受け継いできた生き方・倫理・道徳。これらの一切を排除し、代わりに、アメリカから拝金主義を持ち込み、金儲けと豊かさを追求することにしか興味を示さない国民に、堕落させることに成功したのです。
アメリカをマーケットにモノを売り、アメリカからモノを買って、豊かな国になった。日本が奇跡の復興を遂げたのはアメリカのお陰。恩あるアメリカに逆らってはならない…。
アメリカに都合のいい、アメリカの国策に沿った、日本と日本人をつくりあげたのです。
当初、占領国の政策がそうであっても、その政策を受け入れた日本人が、<アメリカの思惑以上に平和にこだわり、第九条を盾に、戦前までの良き日本の思想や教育の全てを排除してしまったのです。
終戦直後、米国の思惑で作った平和憲法。日本は60年間ひたすら守り通し、<日本民族のための自主憲法制定をタブー視して、現在の国家と社会を創り上げていったのです。
社会のモラルが低下しつつある今こそ、日本人としてのあり方、生き方、モノの見方・考え方を、国家再生に向け、根本から見直す必用があるようです。
それには、日本の教育に欠けている、以下の「三つ」から手をつけていく必要があると、元松下政経塾副塾長"上甲晃"氏は語る。
第一は
「信仰心を教える」
どんな宗教を信ずるか?
ということではなく、「人間を超える偉大な存在に対
する畏敬(いけい)の念」のことをいいます。
「誰が見ていなくても、神様が見ている」と、神の恐れを知らなければならない。
今の世の中、「人が見ていないから…」と、倫理観が欠如した、あきれ返る事件が余りにも多すぎます。
第二は
「人の道(道徳)を教える」
私達の子供の頃、
左派系教員の影響もあって、倫理・道徳教育は皆無に近かった。今、その世代が日本を動かし、世の中を騒がせているのです。
第三は 「正しい歴史教育を行う」
戦後の歴史教育で、
日本人は侵略行為によつて、東南アジア諸国に悪いことをした国と教えられてきた。ために、罪の意識が強く、日本人であることに誇りを持てない…。正しい歴史教育が急がれるのです。
安倍内閣が発足して、最初に重要政策として取り組んでいるのが「教育基本法の改正」。国会で反対する野党の意見もしっかり聴いて、私達はその是非を問わなければならない。日本の未来がかかっているのです…。
一昨年、塩野七生著「ローマ人の物語」を読んでから、古代ローマとその周辺諸国、ギリシャやカルタゴの歴史、戦争、人物、 栄枯盛衰に強い関心を持つようになった。
10月、絶対見逃せないすごい美術品が、ルーブルから京都市美術館にやってきた。
ルーブル美術館が大改修されることになり、古代ギリシャの彫刻と宝飾品、史上空前のギリシャの芸術・神々の遺産が134点も、 世界で初めて国外に持ち出され、身近な京都で見る機会を得た。(~11/5まで)
コレクションのほとんどが門外不出の名品。
ルーブル美術館でも、これだけ多くの点数をまとめて、テーマに沿って展示した例はないという。
古代ギリシャの神々や、英雄たちの、等身大の大理石の立像の前に立ち、その美しさに、時間のたつのも忘れて見入った。
【心と体の健康情報 - 266】
~子育て心理学~
「回復不可能な米国社会の乱れ」
私が生きてきた戦後日本。世界に例を見ない、繁栄と平和を謳歌する国になっ
た。国が豊かになるにつれて社会が病み始め、堕落していっているようで、
心が痛む。このままでは、日本がダメになってしまう…そんな思いにかられる
のは私だけでしょうか?
そんな時、メルマガを始めるきっかけとなった"松尾 和"先生の講演テープを
聞いた。松尾先生は米国在住25年のピアニスト。日本でも演奏活動を行って
いる。
十五年ほど前から、アメリカの後追いをしている日本の教育の現状を憂え、
全国各地の保育所を廻り、園児のお父さんやお母さんに、21世紀の子育ての
あり方について講演。啓蒙活動を行うようになった。
今米国は、回復不可能なくらい病んでいる。米国で生まれてくる子供の三人に
一人は、未婚の母。母親の三人に一人は、女手一つで育てていかなければな
らない。三人に一人は父親がいないのです。
当然しつけ、子育てがうまくいかず、社会問題と化している。幼児虐待が問題
になっているのです。親たちの多くが、自分で子供を育てる意思をなくしている
のです。
そういった環境に育った子供の二十人に一人は、いずれ刑務所に入ります。
子供が十八歳になるまでに、40%の親が離婚してしまいます。子供たちの
六割の家庭は、父親がいません。そんな事実を統計が物語っているのです。
十五・六歳前後に子供を生む少女が沢山います。性モラルの欠如と見られがち
ですが、多くは、子供を生みたくて妊娠しているのです。家庭が荒み、愛に餓え
た少女が、愛を求め、子供に夢を託すのです。
暖かい家庭にあこがれて、子供を生んでしまうのです。結婚が家庭の始まりで
はなく、子供を生むことが家庭の始まりなのです。
子育てが始まると、直ぐに夢はハジケてしまいます。子育ては大変です。
まだ大人になりきっていない少女…、我慢をする"基礎的忍耐力"が育っていな
い。幼児虐待に走ってしまうのです。そして、いつしか虐待することに、快感
を覚えるようになるのです。
米国の悲劇は、そういった社会現象が、既に数世代にわたって繰り替えされて
いることにあります。日本においても、痛ましい幼児虐待が次々とマスコミで
報道されるようになり、社会問題になろうとしている。
今の日本は、間違いなく福祉先進国の米国や、北欧諸国の後追いをしている
のです。
新たに発足した、安倍内閣が掲げる重点政策は「教育の再生」。
「美しい国」を造る基盤は教育です。「志ある国民を育て、品格ある国家、社会
をつくっていかなければ、明日の日本はない」と総理は言う。従来の教育行政
を見直そうと、「教育再生会議」がスタートした。
■ヘレンケラーとサリバン先生
ヘレンケラーは、一歳の時重病にかかり、
幸い命は助かったものの、口は利けず、
目は見えず、耳も聞こえず、生きるだけの、三重苦を背負って生きていくことに
なった。
ヘレンの家庭教師に、サリバン先生がやってきた。その日から不屈の挑戦が始ま
った。「水」の一字を教えるために、井戸端に行って手に水をかけ、水を飲ませ、
手に"水"と書いて教える。こうして一字一語覚えていった。発声練習も必死にやった。
8歳の時ボストンの盲学校に入学。休暇で家に帰ったとき、「お母さま、ただいま」
と言ったのには、皆、飛び上がるほど驚き、母は喜びのあまり抱きしめた。
その後猛勉強して、大学に入学。勿論サリバン先生も一緒。ヘレンの手のひらに
先生の講義を書き続ける、サリバン先生の底知れない忍耐が二十数年に及ぶ。
24歳の時、優等生で卒業。それからの生涯、世界の平和と救済のために働き続
けた。日本にも三度来日している。
サリバン先生との出会いがなかったら、後のヘレンケラーは存在しなかっただろう。
【心と体の健康情報 - 265】
~子育て心理学~
「人は一つの使命を持って、この世に生まれてくる」
「♪ぞうさん ぞうさん おはなが ながいのね…」
九十六歳になる詩人、まど・みちおさんの作品「ぞうさん」です。単に母と子の、
なかよし童謡ではなく、象の子が「お鼻がながい…」と、からかわれる歌です。
でも、象の子は「そうだよ、ぼくの一番好きなかあさんも、長いのよ」と、誇ら
しげに答える。そんな歌だと、まどさんは言う。「象が、象に生まれたことを
誇りにしているのです」 9/20 中日新聞「中日春秋」
私の子どもの頃も「いじめ」はあった。中学1年のクラスに、韓国系の女の子が
転校してきた。「朝鮮、朝鮮とパカにするな…」と囃したてられ、泣かされてい
た。可愛そうに思ったが、私も、クラスの生徒も、いじめの矛先が自分に向け
られるのが怖くて、見て見ぬ振りをしていた。
あの子は今どうしているだろうか…?心の傷は癒えただろうか…?
五十年経った今も、思い出すと心がうずく。
人は、この世に生まれてくるとき、神様から一つの"使命"を与えられ、
一通の手紙を持って生まれてくる。誰よりも足が速かったり…、誰よりも体が
大きく力持ちだったり…。早く走る能力を持って生まれた子は、それを生かし
て人生を歩んでいけばいい…。
ところが、それに気づかず、「自分は何でこんなにチビなんだろう。どうして
力がないんだろう」と、自分にないものを求め、憧れ、うらやみ、ねたみ、
悩む。そんな子が、いじめっ子になったり、いじめられっ子になったりする。
小学生の頃の私は、運動会が大嫌いだった。原因は、幼稚園の親子遠足。
白山姫神社の境内での恥ずかしい体験が、私をかけっこ嫌いにしてしまった。
園児が5~6人並ばされ、顔に紙袋をかぶせられた。
ヨ~イドンの掛け声で、お母さんの声のする方へ駆けていく。そうやって順位
を競う、楽しい親子リクレーション。
袋をかぶせられ前が見えない私、お母さんの声はすれど、どっちへ行っていい
か分らない。気ばかり焦る。その内に、よそのお母さんの声がしなくなった。
私の母親の「こっちよ!こっち!」と叫ぶ声だけが、聞こえる。
ようやくゴールにたどり着き、紙袋を取ったら、周りの視線が私に集中してい
た。みんな私を見て笑っていた…。その時の恥ずかしかった屈辱感が、心の底
の傷となって残った。そして私は、運動会のかけっこが大嫌いになった。
「マラソンランナーは相撲取りになれない。相撲取りはマラソンランナーに
なれない」
生まれながら、小さくきゃしゃな子供に、「あなたが持って生まれたその"力"
で、世の中のお役に立ちなさい」と、神様は言わない…。だから、力持ちに
なろうなどと思わなくていい。誰からも期待されないことに劣等感を持つなど
、まったく無意味です。
ほとんどの人は、神様から託された一通の手紙を開封することなく、自らの
価値に気づかず、一生を終えていく…。
一歳半の孫、大人のやることを見ていて、上手に真似る。 「学ぶ」の語源は「まねぶ」。つまり"真似ぶ"ことから始まる…
・毎朝、みんなと一緒に長い柄のホウキを引きずって、掃除の真似事…。
・お客様が入ってくると駆け寄り、満面の笑顔でおじぎする。
・パソコンのキーを触り、受話器を耳に当て、意味不明のことをしゃべる。
・商品を手に取り、「どうじょ!」と持ってくる。
・やたらとペンを持ちたがり、目の前に紙があれば、書きなぐる。
誰が傍に来ても人見知りしない。誰にでも笑顔を振りまき、可愛がられる。
会社で大人たちがやっていることを上手に真似る。日々成長する姿を見て、
その吸収力・学習力には感嘆する。子どもの持つ能力は無限…。
子は親のコピー…、癖までそっくり似てくる。
真似されてもいいよう、良いお手本を示さなければならない…
【心と体の健康情報 - 263】
~子育て心理学~
「子どもの適正と人生」
私は男四人・女二人の、六人兄弟の三番目。家に居座わられては困ると、
"外喜雄"と名づけられた。
長兄は、兄弟の中ではずば抜けて頭が良かった。(後に息子さん早稲田へ)
高校はインターハイで活躍。大学へ行きたかったが、当時、満州から引き揚げ
てきた叔父家族が同居。13人の大家族が一つ屋根の下で暮していた。
家は貧しく、毎日食べるだけで精一杯。長男を大学へ出す余裕などない。
兄は父から「商人に大学は無用」と、大学を諦めさせられた。店を継ぐまで、
しばらく他所の空気を吸ってくるようにと、高校卒業後、大手銀行に就職した。
次男の私は四つ年下。その頃になると少し家計に余裕が出て、大学受験OK。
ところが、肝心の私は病気療養中で、家族の厄介者…。
家族会議が持たれ、将来の見込みが立たない私を家に残し、長男が家を出る
ことになった。私は両親の元でじっくり療養し、いずれ、私が母屋と家業を継ぐ
ことで、兄は了承した。長男と次男の立場が入れ替わったのです。
その後兄夫婦は、全国を転勤して歩く人生。能力を評価されながら、学歴高卒
が災いして、支店長にはなれなかった。始めから家を出るとわかっていれば、
無理をしてでも大学へ行っただろうに…。兄には申し訳ないことをした。
しかし長兄は、商人には向かない事務屋タイプのおっとり性格(銀行マンが
お似合い)。しかも多趣味。何をやっても私より上手い。銀行で出世できなかっ
た代わりに、植木等ではないが、気楽なサラリーマン稼業を満喫できたと思う。
右肩上がりの良き時代に人生を過ごし、バブル崩壊後、窓際に追いやられる
こともなく、つつがなく65歳の定年を迎えた。
兄は、私と入れ替わって良かったのでは、と思う。
もし、兄が家業を継いでいたら…長兄としての責任と義務感(几帳面な性格)
から、家業を守り通そうとしただろう。
(私はそれが希薄だった。家業を親から受け継いだが、父親が亡くなった後、
一生続ける気がないと廃業し、自分の好きな道へ…)
その後、商いを続けるには難しい世の中になった。兄が店を継いで幸せになれ
たかは疑問です…。
一つ下の弟の三男は、勉強嫌いで、生まれながらの"鉄"。
そこで父は、中学を出ると直ぐ、東京のハンドバックメーカーに住み込ませた。
学問のない弟の将来を考え、手に職を持たせようとしたのです。
15歳で親元を離れ、腕を磨き、手に職を付けた弟。三十代に独立、所沢に
土地を求め、家を建てた。腕のいい職人…と、発注元の信頼も厚く、知らない
土地で幸せに暮している。
一番下の弟は、金沢美大に約5倍の難関を突破、まさかの合格。その喜びが、
人生を迷わせることになろうとは…。"鉄"の能力しかないのに、自らを"金"と
思い込んでしまった…?
社会人になってからの弟は、プライドが高く、芸術家気取り。努力したが報わ
れず、運やチャンスにも恵まれないまま、"天命を知る"歳になってしまった。
兄弟の中でただ一人大学を出ながら、幸せには縁遠い…。
戦後教育の大きな問題は、大学を選択せず、商業や工業系の高校に進む生徒を、
一段低く見てしまうことです。
ヤンキース松井選手の出身校、星陵高校。私の長男も世話になった。
当時は、大学進学を目指す学生の、滑り止め高校だった。志望高を落ちた生徒
が、已むなく入る学校だったのです。
入学式に参列した母親の中に、我が子の将来を悲観し、人目もはばからず嗚咽
を漏らす人がいて、何とも暗い入学式だったと、帰ってきた妻が言った。
我が子を、技術系の専門学校に入れるのを、世間体が悪いいとか、恥ずかしい
といった、親の偏った社会観・職業観。それを改めない限り、子どもを能力に
合った人生の選択など、してやれないでしょう。
更には、社会の偏見も改めていかないと、どうにもならないでしょう…。
■ヤマ勘も才能のうち?
吉村の"ヤマ勘"。一番の思い出は高校卒業の時。病気療養中で、学校から
就職の斡旋がない。無断で、学校推薦なしで、一箇所だけ就職試験を受けた。
一回こっきりのチャンス。一発採用に賭けた。注目を引くために…まず、市販
の履歴書を使わず、和紙に"一字一魂"筆書き! 巻紙にたたんで提出した。
次いで、面接での質問を想定して、事前に予習。作文も苦手だった。
そこで、出題に山を張った。浮かんできたのは「実社会に出るにあたって」。
4百字詰め原稿用紙二枚分、前もって作っておいて、試験場に臨んだ。
試験会場の商工会議所別館は、高卒2名採用に、75名の学生で溢れかえった。
就職難の時代だった。当日は一次試験。学科試験と作文、面接は五人まとめて
行われた。
学科試験の後、いよいよ作文。奇跡が起きた…。試験官がやおら黒板に
「実社会に出るにあたって」と書いた…。その瞬間を忘れない。数日後、
二次面接の通知が届いた。三次面接も無事通過。採用通知が届いた…。
「運」という字は"ワ冠に車"、それに動きを表す"しんにゅう"が付いている。
つまり、一所懸命走り回らないと、"運"は掴めないということです。
【心と体の健康情報 - 263】
~子育て心理学~
「勉強のできない我が子、両親はどう導く?(2)」
豊田商事事件に関わり、元日弁連の会長で、弁護士の憧れの的"中坊公平"氏。
幼少の頃神童と思いきや、成績は"丙"ばかり。落ちこぼれの生徒だったのです。
公平少年、幼い頃から寝小便が直らず、16歳まで続いた。ところが、母親に
叱られたという記憶がない。「お母ちゃん、またお布団が濡れた…」と言えば、
母親は何時であろうと起きてきて、笑って、新しい布団に変えてくれた。
公平少年が、社会の評価を初めて受けたのは、昭和17年。公立の中学の
入学試験を落第した。試験当日父親は、息子が泣きじゃくって帰ってくることを
察知して、布団を敷いて寝ていた。
布団に抱き込んだ父親、
「公平、心配せんでもえェ、おまえにはお父ちゃんとお母ちゃんが付いてる」
続けて母親が、「公平、今は戦時中です。何れ平和になる。その時は公平の
時代ですよ!必ず公平が活躍できる時代になる」と、公平に希望を持たせた。
中学二年の一学期の中間試験の時、突然クラスで一番の成績になった。
「お母ちゃん、僕一番や!」と母に言ったら、「公平、あんたは天才や!
いいかい、秀才は徐々に成るもんやが、天才は一夜にして成るもんや…」。
いつの間に自分は天才になったんやろう…?良かったなァ~、と喜んだ。
ところが、一学期の期末試験では、25番に落ちた。
「お母ちゃん、やっぱりあかんかった…」と言ったら、母親は「何言うてんの、
世の中25番が一番ええのや。"中庸は徳の致すところ"とあるやないの…」
(中庸…儒教の教典。四書…「大学」「中庸」「論語」「孟子」)
入学試験に落第した時は、「公平が悪いんやない、世の中が悪いんや…」
と母親。どんな状況であっても、プラス思考でいることを教えてくれた。
両親は、我が子に何を与えようとしたのでしょう…。
「安堵感」を与えようとしていたのです。「安堵感」
を人に与える人間になること、
それは社会人になった後に特に必要なことです。人生落ち込んだ時、
「安堵感」を持つことで、「意欲」が湧いてくるものなのです。
自分には鉄の才能しかない。しかし、クラスメートには負けたくない…。
そこで、どうしたらいいか?知恵を働かせた。中坊少年は、ヤマ勘を働かせる
ことが大得意だった。先生は、「採点しやすい問題」を出題してくることに気付
いた。そこにヤマを張った。
この特技が幸いして、京大に受かり、弁護士になった。自分は誰より頭か悪
い人間、"鉄"の人間と自覚していたからこそ、しっかり地に足を付けて人生を
歩み、人生の階段を上り詰める処までいったのです。
私(吉村)も人並みに勉強した。が、所詮は"鉄"。頭の良い、IQの高い生徒
には敵わない。人と同じことをしていてはダメと、いつの頃からか、試験問題
に山を張るようになった。"第六勘"がよく当たるのです。思わぬ才能に気づき、
ヤマを張ることを得意とするようになった。
中学二年の一学期、クラスの成績順位が30番以下だった私。それまで、親から
「勉強しろ!」と言われたことがなかった。それが、三年の二学期末には3番に
なっていた。ヤマ勘の威力はすごい!
そのコツは、いたって簡単…
(1)どんな問題を出題するか、出題する先生の立場に立ってヤマを張る。
(2)毎日の授業の進め方に注意。先生が1ページに費やした時間の長さを、
ページの頭に書き込んでおき、先生が多く時間をかけた箇所を、重点的に
復習。
十代のとき病気になり、10年近く長期療養。隔離病棟に入っていた時期もある。
病気を早く治したいと思うなら、おとなしく寝ているしかない。
退屈な日々、暇にあかせて読んだ経営書の中に、「蟹変(ぜいへん)の哲学」
というのがあった…。後に、それが私の"生き方信条"になった。
「蟹変の哲学」とは、蟹は自らの成長に合わせて脱皮を繰り返す。同じように、
「人は成長するにつれ、身の丈に合った脱皮をしなければならない」という教えで
す。
人生、脱皮をしなければならない時が必ず来る。いつまでも同じ甲羅に安んじて
いては、それ以上の成長は望めない。今の平穏に満足することなく、さらに大き
な飛躍を求め、自ら脱皮し、一歩足を踏み出す…。
更には、「必要以上に不釣合いな甲羅を求めたりせず、大きすぎず、小さすぎず、
己の身の丈に合った甲羅を身にまとうべし」、という戒めの意味も込められている
…。
【心と体の健康情報 - 262】
~子育て心理学~
「勉強のできない我が子、両親はどう導く?」
森永ヒ素ミルク事件、豊田商事事件等に関わったことで有名な、元日弁連の会
長で、弁護士の憧れの的"中坊公平"氏。幼少の頃、さぞや頭のいい神童と思
いきや、成績は"丙"ばかりの、勉強のできない落第生だったのです。
公平少年、小学校三年生の頃、あまり成績が悪いので、担任の先生、父親を
教員室に呼んで、言った。
「ご両親共、過去に十数年も小学校の教員をしておられたのですから、ご家庭
でお子さんを教えたらどうですか? そうすれば、学校の成績も良くなると思う
のですが…」
『先生、どうか気にしないでうちの子に"丙"を付けてください。私たち夫婦は、
小学校の教師の経験があり、子どもを教育することは、何でもありません。
しかし、私が思うに、息子に補習を施せば、おっしゃる通り少しはマシになる
でしょう。しかし、それは何を意味するのでしょうか?
所詮は"鉄に金メッキ"を施しているに過ぎないと思うのです。
残念ながら先生
のおっしゃる通り、息子は金の才能を持ち合わせておりません。鉄の才能しか
持たない人間として、この世に生まれてきたのです。補習をすれば成績は上る
でしょう。
でも、鉄は鉄。鉄に金メッキを施したところで、社会人になって後、メッキと
いうものは必ずはがれてくる。その時こそ、この子にとって、問題なのです。
それよりも息子が、自分は"鉄"の才能しかない人間であることを自覚した上で、
鉄としての人生をどう生きていくのか、
それを息子に教えることの方が、
学校の成績を良くすることよりも、大事だと思うのです』
自分が鉄の人間であることを自覚した公平少年。その後、自分の頭の悪さを
補うためと、素晴らしい処世術を見つけ出した…。
この続きは次号10/3
■ことば遊び 「どっこいしょ」
の語源
夏山シーズンが終わった。富士山に登る時「六根清浄
(しょうじょう) 」を唱える。
ところで「どっこいしょ」の語源は? たどると「六根清浄」に到る。
その言葉の意味は…
「六根」とは、以下の六つの生命の識別器官のことを言う。
「眼(視覚)・耳(聴覚)・鼻
(嗅覚)・舌(味覚)・身(触覚)・意(心)」
「六根清浄」は、
六根に具わる煩悩の汚れが、清浄となる功徳をいいます。
その罪障とは…
『眼は不浄のものを見、耳は不浄の音を聞き、鼻は不浄の匂いをかぎ、
舌は不浄のものを食い、身は不浄のことを思うことである』
今の日本に生きていれば、いや応なしにそうならざるを得ない。
そこで、それらのものを見ず、聞かず、かがず、食わず、さわらず、思わず、
身も心も清浄無垢になることを、「六根清浄」という。
神聖な神が宿る山に登るとき、そうなりたいと願う祈りの言葉が、自然と口から
湧いて出る。仏教語では、この六根清浄を略して「六根浄」という。
そこで六根浄、六根浄、六根浄と、何度も繰り返していると、「どっこいしょ」に
なる…。
【心と体の健康情報 - 260】
~子育て心理学~
「大学を出ることの意味(2)」
中国は、日本や韓国より受験戦争が激しい。人口が多い上、一人っ子政策が
後押しする。親は、たった一人の我が子を、良い学校へ入れようと必死になる。
今や、一般家庭の支出の中で、教育費は住宅費に次ぐ…。
日本や韓国も、親は自分の資産を我が子に投資する。足りないとローンを組み、
自分の親にも援助を仰ぐ。子供の大半は塾に通っている。日韓の親は、教育熱
心なわけを、「いい大学に進学できれば、いい会社に就職できるから」と、口を
そろえて言う。
ただ、それで社会人として成功するかは別の話し…。"その確率が高くなる"と
いうだけである。
以下、英国デーリー・テレグラフ紙の特派員C・ジョイス氏の、大学受験に対する
英国人の考え方です。
「英国では、何がなんでも我が子をいい大学へ行かせようと思っている親は少ない。子供に強いプレッシャーをかけるのは、
精神的に良くないし、無理に有名大学に入れようとして失敗したら、子供には大きな障害になると考える。
日本では、いい大学に入って、いい会社に就職できないと、人生の敗残者のように世間は見る。英国や米国では、 そんな考え方をしない。自分なりのいい生活を見つけて、人生を楽しむことの方が、よほど大事である。
子供に能力があれば、大学に進学させればいい。ものごとを沢山学ぶことは、人生を面白くするからだ。
本来、勉強は楽しいもの。ところが日本の学生は、勉強を「義務」と考えている。目的もなしに大学へ行く。
大学に行くことが義務になっている。受験制度と、学歴社会がなせる問題だろう…。
日本の学生は、沢山の情報を詰め込むけれども、そうすることの意味を考える学生は少ない。
こんなことを言うと失礼になるが、日本の大学生と話しをしていると、質の低さを感じる。
頭はいい。でも、「私はこう思う」と主張するところがない。
議論ができない。自分でものを考える習慣が出来ていないからだろう…。」
週2回のメルマガを配信して4年、今日で400回になる。
課題を文章にまとめる過程で、過去の出来事・記憶がよみがえってくる。
そのとき、過去の出来事が整理されないまま、記憶として、
頭の中の引き出しに、たくさん仕舞い込まれていることに気づき、驚く。
この8月、何と50年ぶり、卒業後初めて、中学の学年同窓会に出席した。
昔話しに花が咲き、50年も昔のことがよみがえってくる。
話題が野球の話になった。現在長野県在住の秀才Y君、野球部員でもないのに、
当時のピッチャー、サード、選手のポジション・名前、ライバル中学との試合の
勝ち負けあれこれ、すごい記憶力。
学校近くの兼六園球場での巨人・中日戦、午後の授業をサボって見にいった。
その時のリリーフピッチャーまで、昨日のことのように記憶している。
そんなY君に、皆、感心することしきり…。
聞くと、当時の野球のことなら何でも、マニアックに覚えているという。
秘訣は、折に触れ話題にして、当時の記憶を呼び覚ますこと…。
ほおっておくと、引き出しの奥に仕舞い込まれ、取り出せなくなってしまう。
【心と体の健康情報 - 259】
~子育て心理学~
「大学を出ることの意味」
イギリスのブレア政権は、高等教育を受けられる子供の数を、五割に引き上
げようという数値目標を掲げた。多くの大学では、この方針に従い定員を増
やした。結果は、学生の質を悪くしただけだった。
日本はどうか? 政府の統計によると、18歳になった青年は、1992年は
205万人、97年は168万人(20%減)、2010年は120万人(40%減)に
なり、以後減ることはあっても、増えることはないという。
今年の就職戦線。内定通知を出しても、更に優良な企業を求めて企業訪問を
繰り返し、断ってくる学生が後を絶たず、予定した新卒者が確保出来なくて
困っているという。
2005年を境にして日本の人口減が鮮明となり、現在の人余りから、人手不足
の時代へと、日本の雇用構造がガラリと変わっていくことが予測される。
そうした少子化の中、4~5年後には大学の生徒不足から、現在の"高校全入"
から、誰でも大学に進学できる"大学全入"が当たり前になるだろう。その結果
大学を出ても、高卒並みの仕事しか与えられなくなり、良い会社に就職し、良い
仕事にありつくには、「大学院」を出なければ、ということになってくる。
そのような現象は、大学出という「学歴」に価値を求める、社会構造に責任があ
るのであって、大卒者が優秀な人材であることを、証明しているわけではない。
世の中、大卒や大学院卒だけで動いているわけではないだけに、「一人ひとり
が持つ能力や特性を伸ばしていく」、そんな教育環境づくりが急がれる…。
日本の大手企業のほとんどは、能力評価システムによる年俸制を導入している。
過去、日本の社会の職場環境と組織は、年功序列によって守り、維持されてきた。
それが、アメリカ式経営手法、能力優先の導入によって、社風を全く違ったものに
変えてしまい、それが、モラールの低下を招く原因になっている。
会社で「自分は一体どのような能力を生かして、お役に立てるのか?」。
一人ひとりの能力が求められ、比較される時代になった。ところが今の教育界、
大同小異、同じ顔をした同質の人間しか送り出せなくなっている…?
例えは、学生に何かテーマーを与えると、全員が ホームページを開き、写し
出されたデーターを答えにしてくる。全員がほぼ同じ答えになってしまい、
自分を際立たせることにまで、思考が及ばない。友人の大学教授から伝え
聞いた話しです。
病院の診療費を払わない人が増え、病院経営に支障が出始めているという。
子どもの給食費を払わない家庭も増えてきている。赤字になって支障をきたし、
困った教師たちが自腹を切って、補っているという。
給食費を払わない家庭の子も、他の子どもと同じように給食を食べている…。
生活が貧しくて、給食費を滞ったのは、50年も前の、私の子どもの頃の話。
今は、払えるのに払わない…。先生が家庭訪問して督促すると、「新車を買った
ばかりだから」「海外旅行に行って、お金がない」など、ちゃんとした理由はある。
石川・富山の両県で、高速道路料金所のETC不正通過が468件も発生。
道路法違反及び、器物損壊罪の対象なのに、摘発はゼロ。(8/6北国新聞)
NHKの受信料未払いも、自分勝手な理屈がまかり通り、払わなくても、払った
人と同じ。罰せられることがない。この奇妙な社会の優しさ…、何なんでしょう?
このような身勝手・甘えを放置したら、モラルの荒廃を助長するだけ…。
「正直者がバカを見る」世の中にはしたくない。石川県は、医療費の支払いに
応じない人に、裁判所の督促を開始した。
【心と体の健康情報 - 257】
~子育て心理学~
「日本の若者の意識」
上場企業の20~30歳代の正社員の75%が、「現在の仕事に無気力である」
と野村総研が発表した。その4割以上が転職を希望しているという。
仕事での成長が感じられず、自分の仕事の社会的意義も感じられない。
自分に合わないからと、容易に転職を考えてしまう。環境に自分を順応させよ
うとする、努力の姿勢が見られない。そんな、今どきの若者の姿が浮き彫りに
なってくる。
家庭も先生も…、モノ心がつかない子どもの頃から、ひたすら良い学校、良い
大学を目指し、一部上場の一流企業に就職することが、人生幸せの道と教え
てきた。念願叶って大企業に就職。人生の幸せを手に入れたはずなのに…。
何で、こうなるの?
以下、川人正臣氏が編集出版した、衆議院議員・小野晋也「日本人の使命」から
の抜粋です。
戦後六十年、焼け跡のどん底から、ひたすら豊かさを求めて頑張ってきた日本
人。お陰で日本は豊かになった。家も手に入れた。お金も生活に困らない程度
に蓄えた。今に満足し、何不自由ない日々の暮し。
それ故「将来どうなりたいのか?」、将来への方向が見い出せないでいる。
「今が楽しければいい」と、将来のことを考えようとしない、そんな若者が多く
なってきている。
以下、2002年に日本・アメリカ・中国の高校生を対象にした、調査結果です。
■日本の高校生が三国の中で最も高かったものは…
[自分にはあまり誇れるものがない]
日本 52.7% アメリカ 23.8% 中国 22.9%
[自分はダメな人間だと思うことがある]
日本 73% アメリカ 48.3% 中国 36.9%
[成功するためには、
努力より運のほうが重要である]
日本 38.9%
中国 27.8% アメリカ 20.8%
■日本の高校生が三国の中で最低になっているものは…
[適正のあるなしに関係なく、
やればできると信じている]
アメリカ 91.2%
中国 81.1% 日本 75%
[計画を立てるときは、
それをやり遂げる自信がある]
アメリカ 86.3%
中国 73.5% 日本 38%
日本の青年は、各国と比較する中で、自分自身の責任で「志」を立て、
生きていこうという気持ちが、非常に弱いことが数字に表れている。
(一) 自信がなく、元気がない。自己否定的傾向が強い。
(二) 現状に甘んじ、今を楽しもうとする傾向が強い。
将来の夢に向かって、積極的にチャレンジしようとする意識が弱い。
(三) 自分で計画を練り、責任を負うという自立的生き方よりも、
運に任せた、依存的生き方を思考する。
(四) 職業の選択は、組織によって守られる他律的・安定志向が強く、
人の上に立って、自らの状況を動かしていこうとする意欲に欠ける。
学校の成績を比べるなら、日本の子供はやはり学業優秀です。なのに、困難な
状態や問題に遭遇すると、直ぐ腰砕けになってしまう。お坊ちゃん、お嬢さんに
育てられて、何不自由なく育った家庭環境。自立心に欠け、志がない。
「人生とは…」とか、「どう生きるか…」といったことを、きちんと教えてこなか
った、私たち親や学校教育に問題があるようです。
将来を見出せないでいる若者たちに、致知出版社から、五木寛之先生と稲盛和
夫先生の共著による、「何のために生きるか」が出版された。大きな反響を呼び、ベストセラーになっている。
動物園の猿山の猿を見ていると、飽きることがない。猿山には一匹のボス猿が
いて、ピラミット状の組織を束ね、にらみを利かせている。猿たちは、仲良く蚤を
取り合ったり、じゃれ合ったり、スキンシップに余念がない。
子猿は遊びを通して、猿社会での秩序を身に付けていく。若いメス猿は、お母さ
ん猿を見て子育てを学習する。ところがまれに、子どもを生んで、我が子を放置
してしまう母猿がいる。
仕方なく飼育係は、生まれたばかりの子猿に哺乳瓶をあてがい、24時間付きっ
きりで、お母さん猿の代役をする。一人歩き出きるようになったら、一日でも早く
野性の群れに戻さなければならない。猿社会に入れてもらえなくなるからです。
群れに解き放たれた子猿。喜び勇んで一目散に群れの中に飛び込み、餌に飛び
つく。ボス猿が飛んできて歯をむき、小猿を群れの外へ追っ払う。子猿は、何とか
群れに入れてもらおうと、群れの周りをうろつくき、近づこうとするが、群れに威嚇
される。仕方なくすごすごと、飼育係のところへ戻ってくる。
群れの序列やルールを、子猿たちの遊びの中で学ばなかったからです。
有名な幼稚園から進学した小学生。土曜と日曜、午後1時から8時 まで、二日間に14時間も"塾"に行っている。 知人が母親に「大変ですね」と声をかけると、「子どもが勉強しない で、何をすることがありますか?」との返事…。 |
このようなやりとりを聞いて、誰も不自然には思わない。このような勉強一本
やりの環境に閉じ込められている子どもが、多いのでないでしょうか?
そうした子ども達、自分が勉強していることの意味を正しく理解して、塾へ通
っているだろうか…?
この母親は、子どもの成長に"遊びが大切"だとは思っていない。 |
私の子どもの頃は、大きい子、小さい子みんな一緒に、一日中路地で遊んだ。
意見や感情がぶつかり合い、よく喧嘩をした。感情を抑えきれず、相手と殴り合っ
たりしたが、「手かげん」することを知っていた。今の若者のように、感情を
抑えきれずに、相手を殴り殺してしまう、などとということにはならなかった。
子どもの間のもめ事…。親に言いつけることもなかったし、親が子どもの喧嘩に、
しゃしゃり出ることもなかった。
そうやって、遊びという集団の中で体験したことが、人との交わり方、距離の
置き方、上下関係など…、遊びを通して、社会性を身に付けていったのです。
近頃は、こうした経験を踏まないまま、親に従順であることがよい子と躾けら
れ、反抗期を経験しないまま、社会人に巣立っていく。
社会に出て初めて、自分とは異なる様々な考え方の人に従わなければならな
いことに戸惑う。そんな時、子どもの頃の体験がものをいう。社会性を身につ
けていないと、人間関係がわずらわしく、問題が解決出来ず、ストレスを抱え
込んでしまう…。
親に尋ねれば、「いい歳をして、そんなことも分からないの…」と一喝されそう。
社会人になって、理由もなく会社を辞め、部屋に閉じこもってしまうのは、
そうした理由からでしょうか…?
「人より勉強が出来ると良い子」といった価値観で育った、彼らの 思春期の子どもの凶悪事件が、連日のようにマスコミに報道される。 幼児期から少年期にかけて、子ども達が身に着けなければならない |
九年前のこと。武装ゲリラが占拠を続ける、ペルー日本大使館人質事件取材
のために、首都リマに出張した新聞記者。
国は貧しく、赤信号で車が止まると、子どもが駆け寄ってくる。
車の窓ガラスを拭いて、わずかばかりのお金を貰うためである。
取材班に現地の運転手が付いた。穏やかで働き者の彼の労をねぎらおうと、
食事に誘った。大きな体なのに半分以上食べ残した。包んでもらって店を出た。
家族に持って帰るのだろうと思っていたら、彼は食事の包みを、道端の子ども
達にそっと差し出した。「お腹が空いていたようだから」と、はにかむように言う。
飽食の国から来た記者、「ハッ」として、黙ってうなずくだけだった…。
「中日春秋」より
【心と体の健康情報 - 255】
~子育て心理学~
「戦後教育における課題とニーズ」
子殺し、親殺しなど、些細な理由で安易に人命を奪ってしまう、今の世の中。
そんな殺伐な事件が頻発している。社会のモラルの低下は、今や憂うべき状態です。どうしてこんなに荒んだ世の中になってしまったのだろう?
理由を求めれば、戦後教育のあり方に問題があるように思うのです。
少し前の、私の親の世代は、礼儀正しく親切で、公徳心が高く、真っ正直な人が多かったように思う。今のように「知らない人に声をかけられたら逃げなさい」などと、子供たちに注意を呼びかける、そんな物騒な世の中ではなかった。
以下、(株)ベンチャー・リンク 「いま教育に求められているニーズ」から、戦後子ども達の教育環境が、どのように変化していったのかを、振り返って見たいと思います。
戦後の政府の教育政策に、マスコミの批判が集まった、最初の大きな問題は、1960年代、団塊の世代の成長とともに、急速に加熱した「受験戦争」だった。
学歴社会、競争社会の弊害が声高に叫ばれ、受験のプレッシャーによる「自殺の増加」や、詰め込み教育についていけない「落ちこぼれ」 などが、問題視されるようになった。
母子で受験勉強に邁進する様を揶揄する、「教育ママゴン」という流行語が生まれ、70年代まで長く続いた。これを重くみた文部省は、到達度別クラス編成などの試行を経て、1977年「ゆとり教育」を打ち出し、それが現在まで続いている。
文部省は、知的能力学習に偏重していた過去を反省して、
(1) 授業時間の削減
(2) ゆとりの時間を設け、児童生徒の「個性」に応じた教育指導を行う
といった内容の改善を試みたが、「家庭内暴力」「校内暴力」「登校拒否」
「いじめ」など、更に問題が広がっいった。そしてそのどれもが、現在も明確な解決策を見出せないままでいる…。
この頃マスコミでは、「日本がアメリカと戦争したことを知らない高校生」 「分数ができない大学生」などが話題になった。この傾向はその後も続き、近年では、「円周率=3」や「天動説を信じる子供たち」が、大きく報道された。
バブル崩壊後、国全体のモラル低下を映し出す鏡のように、「伝言ダイヤル」に始まる「援助交際」の増加や、「少年犯罪の凶悪化と低年齢化」
といった問題から、「人を殺してはいけない」「性を売り物にすべきではない」という、最低限の規範さえ持たない、少年少女の存在がグロースアップされ、社会に衝撃を与えた。
こういったことは、現在も改善されることなく、「学級崩壊」「引きこもり」なども、 いっこうに減らない。このような状況のもと、親たちが学校に期待することは、 「基礎学力の充実」の一位は変わらないとして、ほぼ同数の保護者が「道徳などの人格教育」を、学校に求めている。
2002年の学習指導要綱改訂では、「総合学習」が登場。同時に学習内容がさらに削減されて、「週休二日制」が実現された。
空いた「土曜日の時間」に対する受け皿として、学習塾に通う子どもが増え、子ども達にゆとりが感じられない状態が続いている…。
勉強の出来る頭の良い子に育てようと、躍起になっているお母さん…。
我が子の幸福を願うとき、社会のお役に立てる、弱い者に慈しみの目を向けることが出来る、そんな優しい心の人間になることの方が、大切だと思いませんか?
ちょっとグズれば、近くの誰かが「どうチたの…?」と覗き込む。
毎日、孫の顔が見られるのは嬉しい。が、困ったことに、誰かがそばにいて構ってやらないと、ご機嫌斜め…。
大人を見れば「抱っこ…」と両手を上げ、擦り寄ってくる。思うようにならないと、知恵を働らかせ、わざと悪さをして関心を引こうとする…。
【心と体の健康情報 - 254】
~子育て心理学~
「西欧の子育て」
アルファ通信に書かれていた、田中彩子さんの「西欧の子育て」を紹介します。
ドイツでは、妊娠と同時に、おめでたを喜ぶ家族みんなが協力して、生まれてくる赤ちゃんのために、可愛い部屋の準備を始めます。
ベビーベットより何より重要なのは、赤ちゃん専用の個室を用意することです。
生まれて直ぐ、たった一人個室に寝かせるのは、ドイツをはじめ、欧米ではごく当たり前のこと。"一人"に慣れさせるため、まだ物心つかないうちから個室に入れて、しつけていくのです。最初の頃ぐずっていても、いつかはくたびれて、眠るコツを体得する。
泣くたびに、親か傍にやってきて、あやしていると、赤ちゃんはそれを学習して、親の手をわずらわすようになる。なだめに来たり、添い寝をしてくれないことを知れば、あきらめて、泣きやめることを体得し、自然に眠る癖がつくのです。
ただ、この場合注意しなければならないのは、親は必ず、赤ちゃんの泣き声がおさまり、眠りに付くまで、部屋の外で聞き届けることです。そのうちに、赤ちゃんの泣き声が、ただぐずっているだけか、それとも、どこか身体の具合が悪いのか、聞き分けることが出来るようになるのです。
子育ての考え方の根底にあるのは、自己の自立を重視する「個人主義」の徹底。
自立心を養うため、日本のように親子が"川の字"になって、一つの部屋で寝るなどということは、以っての外である。幼少の頃から、何でも一人でやれる人間になるために、個室に寝かせるのは、子育ての絶対条件なのです。
それとよく聞く話ですが、子ども達とドライブをした時、両親がアイスクリームを食べたくて、コンビニに立ち寄る。その時、子ども達には、「車の中で待つように」言いつけ、夫婦がコンビ内で、自分たちだけアイスクリームをなめる…。
レストランの入り口で、「何名様ですか?」
『大人3人に、子ども2人。そして犬一匹です』
言いにくそうに、「残念ですが、犬は構いませんが、子どもは入れません…」
こんな会話が繰り広げられる。
レストランに犬は入れるが、子どもはダメなのです。日本でこんな断り方をし
たら、大変なことになる。断わる理由はただ一つ"騒ぐ"から…。大人社会では、
落ち着いた静かな雰囲気で食事を楽しみたい。だから「子どもはお断り」なの
です。
西欧諸国では、公共の場で大人たちに迷惑をかける子どもがいると、だれ彼なく叱る。日本では、親ですら気付かない振り…。ましてや他人は、見てみぬ振り…。人の子を叱る大人がいない。ここが、日本と西欧の子育ての大きく違うところです。
西欧社会では、たとえ子どもといえども、「他人の権利を侵害してはいけない」という考えが、社会の中に根付いているのです。
■「いただきます」の意味
ご飯を食べるとき、手を合わせて「いただきます」という。
ご膳に乗っている様々なメニュー、ご飯やカレイの煮付、焼肉などに手を合わせ
る。そのわけは、私たちは沢山の動物や植物の命を頂いて生きていることにある。
私たちは、命のあるものから命を頂いている。そのお陰で、生命を維持すること
ができるのです。ですから、「いただきます」と言う前に、「いのちをいただきます」
と心の中で唱え、手を合わせ、その後に「…いただきます」と、声を出して言うの
です。
日ごろ、何気なく牛や豚を食べている西欧人は、こんな優しい日本人の心を知っ
て、今まで気づかなかったことに気づかされるという。
【心と体の健康情報 - 251】
~子育て心理学~
「早寝・早起き・朝ご飯(3) 朝食を摂らないと~」
就学前の子どもの"4割"が、夜型の生活リズムになっていると、2/24付け
の北国新聞社会面に大きく載っていた。
夜型の子どもは、日中体温が上らず、元気がない。夜になっても体温が下が
らないため眠くならず、夜更かしをするという悪循環が始まる。
「夜型の子ども」は、常に「時差ボケの状態」。勉強に身が入らず、友達と遊ぶ
のもおっくうになり、人間関係もつまずきやすく、いじめられる側の子になりや
すい。そういったことが重なって、社会生活への順応が遅れ、不登校の原因に
なる。
幼児期の生活の乱れが、将来の不登校につながるのです。原因を、学校の
いじめなどに求めがちですが、家庭で、早寝、早起きの習慣を付けることの
方が大事なのです。
人間の体温は、朝の起床時から上昇し、夕方に最も高くなり、就寝前に低下す
るというリズムを刻む。
乳児は体温のリズムが発達していないため、夜泣きもするが、日中に日光を
浴びたり、早寝、早起きの習慣を付けたりすることで、二歳頃までには、正し
いリズムが身に付く。
夜型で朝食をとらない独身女性が多いのも気になる。これも原因の一つでしょ
うか? 結婚後もその習慣が続く…。読売新聞の世論調査によると、二十代の
55%、三十代の35%と、半数近くが朝食抜きの生活をしているのです。
石川県の小中学生を対象とした基礎学力調査では、
(1)睡眠時間は八時間前後 (2)朝食を必ず摂る (3)読書量が多い
この三つが揃った家庭の子どもの"正答率"は、そうでない家庭の子どもより
高いという。勉強が出来る子の家庭、出来ない子の家庭、どんな生活習慣
なのか、おおよそ想像がつく。
医学的見地からも証明できる。人間には140億個をはるかに超える神経細胞
がある。この接合部で、情報の伝達物質をやり取りするのに、大きなエネルギ
ーを使う。
私たちの脳は、ほんの一部しか使われていないのに、体重の2%の重さの脳が、
食物から得るエネルギーの"20%"近くを消費する。夜寝ている間も、脳は
エネルギーを消費し続けます。ですから、朝になったらエネルギーを補給して
やらなければならないのです。
大人が夜更かしするのは構わない。が、「子どもは夜9時に寝ないと駄目」と、
大人の生活と、子どもとは違うことを、厳しく躾けておかなければなりません。
子どもが大人と一緒に夜遅くまで起きていると、子どもの脳の発達に大きく影
響することが、医学的に実証されている。
健康的で利発な子どもを望むなら、子どもに夜更かしをさせないことです。
富山県内の高校生の半数が、食事の際に「いただきます」や、「ごちそうさま」を
言わないことが、19日の県の調査で分かった。
小学校から中学校と、年齢を重ねるごとに挨拶をしなくなる傾向にあるという。
家庭内で、毎日美味しく食事をいただけることへの感謝の心を教えることが、
「食育」の第一歩。小さいときに食事のマナーを教え、習慣化させておく。
大人になってからでは遅いのです。 6/20 北国新聞
■森信三・修身教授録から 「しつけ三原則」
一.朝、
必ず親に挨拶をする子にすること
二.親に呼ばれたら必ず、「はい!」とハッキリ返事のできる子にすること
三.履物を脱いだら、必ずそろえ、
席を立ったら、必ず椅子を片付ける子にすること
【心と体の健康情報 - 250】
~子育て心理学~
「早寝・早起き・朝ご飯(2)」
家庭に朝型と夜型があるとしたら、ほとんどの家庭が、何となくテレビを見て
、夜12時頃まで起きていて、眠くなったから寝る…という夜型だろう。
そういった家庭では、子どもの夜更かしも放任状態。夜更かしをすれば、
その分朝寝坊する。そして、朝食抜きという悪循環に陥る。
文部科学省は今年の四月、こうした生活のリズムを改善し、バランスのとれた
朝食や、早起きの大切さを知ってもらおうと、「早寝・早起き・朝ごはん運動」
を始めた。
以下6/20北国新聞、金大大学院教授 木村留美子「子育て」記事から…
初めて一年生を担任した知り合いの先生の話では、三ヶ月を過ぎた そして、「食べることにも、眠ることにも関心のない、生きていること 先生は、そうした子ども達を見て、ある共通点に気づいたそうです。 ところが、父兄懇談会の席では、最初に親たちの口をついて出てく 家庭での躾けといっても、そんな大げさなことではない。親と子が 毎日勝手気ままに生活し、わずかばかりの子育ての義務をも、 |
「勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし」
「たまたま勝つことはあっても、
たまたま負けることはありえない。
負けるには負けるだけの原因があるのだ」
財政窮乏の藩政改革を成し遂げ、名君と名高い平戸藩九代藩主"松浦静山"
(まつらせいざん 1760~1841)の言葉です。
「理念と経営五月号」企業事例、(株)ニソールの書き出しは、この言葉で始まって
いる。6/14読売新聞「編集手帳」も、この静山の言葉で始まり、プロ野球楽天の
野村克也監督も日頃、この言葉を口癖のように語っているという。
4年前のワールドカップで、世界ランキング下位の韓国が、世界の強豪を次々
倒して準決勝まで勝ち上った。「不思議の勝ち」だけではベスト4には入れない。
実力に裏づけされた快挙でしょう。
日曜夜は、ジーコジャパンの第二戦に続いて、ブラジル/オーストラリア戦、
韓国/フランス戦も観戦していたら、夜が明けてしまった。
【心と体の健康情報 - 249】
~子育て心理学~
「早寝・早起き・朝ご飯」
子どもの夜更かしを放任する家庭が多くなっている。
テレビを見るなど夜更かしをしては、朝寝坊、朝食抜きという悪循環に陥る。
そんな家庭の子どもが増えているという。夜更かしの習慣は、暗くなったら眠
り、夜が明けたら起きるという、睡眠のリズムを壊してしまう。
文部科学省は今年、こうした生活のリズムを改善し、バランスのとれた朝食や
早起きの大切さを知ってもらおうと、「早寝・早起き・朝ごはん運動」を始めた。
四月には、活動を推進するための全国協議会が設立され、各地で啓蒙活動が
開始された。
6/13「たけしの本当は怖い家庭の医学」で、「夜更かしの習慣を放っておく
と、恐ろしい病気になりますよ!」を取り上げていた。
夜更かしの影響は、小学校の教室にも現れ、睡眠不足や空腹で、授業に集中
できない子ども達が目立つようになってきた。
夜更かしを続けていると、体内時計と実際の時間との間にずれが生じ、寝る時
間になっても寝つかれず、時差ぼけのような状態になる。そうなると益々眠れな
くなり、体調が崩れ、意欲が低下し、大人は仕事に、子どもは授業に集中でき
なくなる。
朝起きて直ぐは、胃の活動はまだ鈍く食欲がわかない。私のように、少し早く
起きて犬を散歩させた後の朝ご飯は美味しい。朝日を浴びることで、時計の
ずれが解消され、気分がさわやかになるからです。
データーによれば、「朝食」をきちんと食べてくる小学生は、全くか、ほとんど
朝食をとらない小学生より、テストの平均得点が、すべての科目で10%以上
高かったという。
子どもに「勉強しなさい!」「塾へ行きなさい!」と言う前に、「宿題したら早く
寝なさい!」と、やかましく言った方が、子どもの成績が良くなるのです。
世のお母さん方自ら、夜更かしを慎み、早起きをして、ご主人やお子さんに
暖かいお味噌汁にご飯といった、朝食を作ることから改めていきます。
ここの処が大事なのです。朝ご飯を食べてこない子どもの家庭は、共働きが多
く、お母さんはぎりぎりまで寝ていて、朝食を作らない。前日に、パンと牛乳が
テーブルに置いてある。子どもは、それに目もくれず、友達とコンビで買い食
いをいする…。
東京都の葛飾区の早起き推進協議会では、「小学5、6年生の半数」を目標に、
「10時までに寝る」運動を展開し始めた。
子どもの躾けをあれこれ言う前に、夜遅くまでダラダラ起きている、親の生活
習慣を改めることです。
6/2 読売新聞「くらし・学び」より
今、世界で四千万人の人が武力紛争で家を追われ、難民生活をしている。
医療施設があれば防げる病気で亡くなる五歳以下の子供は一日三万人。年間で一千百万人。
小さな子供が労働に従事している数は、世界各国、合わせて二億五千万人もいる。
学校に行きたくても行けない子供は一億二千万人。世界あちこち、貧困に苦しむ人がいることを忘れてはならない。
ガソリンや灯油の価格が倍近くに高騰している。近い将来、世界規模の食料不足時代がやってくるだろう。それに乗じて、小麦や大豆などの生産国は、政治の道具、戦略手段に利用して、日本を悩ますだろう。
食料の約6割を輸入に依存している日本。この先大丈夫だろうか…?
贅沢をつつしみ、無駄をはぶき、つつましやかな生活を心がけなければならない。
【心と体の健康情報 - 246】
~子育て心理学~
「日本は悪い国?」
24日、「教育基本法」改正案の今国会成立を目指し、国会討論が始まった。
自民党の町村議員の質問に、小泉首相が答弁に立ち、終戦直後、国民のすべてが貧しい暮らしを強いられたことを回顧し、日本を愛する心を忘れてはならないと答弁した。
改正案で野党が猛反対するのが、現行法で規定のない、国民の「愛国心」をめぐる条文の明記。
私は13歳まで芋粥で育った。貧しい暮らしから、豊かな社会に変革していく中を生きてきた。もし今また、貧しい暮らしを余儀なくされたら、それに耐えるだけの自信はある…。
心配なのは子供や孫たち。"貧しさ"がどういうものなのかを知らない。
貧しい暮しに直面したとき、耐えぬくことができるだろうか?
今の日本は豊かだ。この後、10年20年と進む中で、世界一の少子高齢化社会、人口の減少、地球環境の悪化など、厳しく辛い生活を強いられることになるかも…。そうした生活に耐えるだけの心構えを、今のうちから養っておくことだろう。
以下、曽野綾子「日本は悪い国なのか?」から…
世界の多くの国の人々は、お金がなければ、医療行為は受けられない。救急車も、急患の家族がお金を用意できなければ、血を流している怪我人や、痛みにのたうち回っている病人がいても、そこに置き去りにして行ってしまうのが普通だ…。 日本でお金を持たないホームレスが、真冬道に倒れていれば、救急車は必ず収容するだろう。そんな国が世界中にあると思ったら、<大間違いだ!年金が国民の問題になっているが、何とか生活出来るだけの年金が、老後に支給される国が、世界にどれだけあるというのか? ジャワ島で又も地震が起きて、四千数百人が犠牲になった。被災地では、発生後三日経っても、誰も救援に来てくれないと、TVで報道していた。しかし日本では、越後地震や、豪雪の被災者を何日も放置することはない。 税関の役人が、空港を通過する人に、公然と金品をねだる国旅行者に「マネーマネー」と、子どもがまとわり付く国は、世界中至る所にある。 アメリカの警官は、同じ市民の黒人を街中で引っぱたく。 貧困ゆえに、物乞いや、ゴミ場あさりが日課となり、学校へ行けない、そんな子供もいない。そんな豊かな国日本。不満を言う前に、もっと世界の実情を知らなければならない。 そして子ども達に教えなければならない…。「日本人に生まれたことに感謝しよう」「お金を大切にしよう」「贅沢を慎もう」「欲しいものも我慢しよう」。毎日美味しくご飯をいただけることを感謝する国民になろう…。 |
国を愛し、国を大切に思う心は、日本人であることの感謝の心から芽生えてくるものでなければならない。
ある機関の調査で、「他国に攻め込まれ、殺されそうになったらどうする?」と、<高校男子生徒に問いかけたら、何と70%の生徒が「恐いから逃げる…」と答えたという。
君が代のように、国民に愛国心を強制・強要するのもどうかと思うが、世界の国々で、今の日本人のごとく、国を愛する心を忘れてしまった国民など、どこにもいないだろう…。
「人々にしてほしいと、あなたが望むことを、
人々にもその通りにせよ」
(新約聖書ルカ6章31節)
「私があなた方を愛したように、
あなた方も互いに愛し合いなさい」
(新約聖書ヨハネ13章34節)
このようにキリストは私たちを導く。
弱者に愛の手を差し伸べ、愛をもって応えることを…。
【心と体の健康情報 - 243】
~子育て心理学~
「0歳の超能力」
私たちの周りに、"笑顔"のとっても素敵な人がいる。
その人は、笑顔が素敵なだけでなく、優しさや思いやりも人一倍強いようです。
以下中日新聞、音楽評論家 湯川れい子「言いたい放談」より…
いつだったか、アメリカの週刊誌が特集していた「0歳の超能力」
赤ちゃんが生まれて三ヶ月の頃、周囲の人々が笑顔を降り注ぐほど、 笑顔の素敵な人は、その人が0歳の頃に、母親や周囲の人たちから、 0歳の、生まれてまだ数ヶ月の間に、知性が芽生え、社会性を身に |
保育所が充実し、企業のお産休暇が一般化するなど、女性が外で安心して働け
る環境が整うようになった。それに反比例して、子ども達を取り巻く環境が荒ん
でいく。
青木和雄・吉富多美著「ハッピーバースデー」が、ベストセラーになった。
「ああ、あすかなんて、産まなきゃよかった」。できの悪い娘"あすか"に容赦な
い言葉を浴びせる母親。あすかの母は子どもの頃、親に冷たくされ、手をつな
いでもらった記憶がない…。
愛を与えられなかった子どもは、大人になって、人から愛を与えられても、
心は閉じたまま…。人に愛を与えることを知らない。
物語に、転校したクラスでの"いじめ"がある。いじめられっ子の机には、
「死ね!」「ぶっ殺す!」「消えろ!」…。
子どもの"命と心"を守るという、教育の基本を忘れ、見て見ぬふりの担任の
先生…。いじめを放置したと、学校に抗議する両親…。わが子に限ってと、
子どもがやったことの重要性に気づかず、認めようとしないいじめっ子の母親。
"いじめ"問題を解決するため、授業参観のホームルームが開かれた。
生徒も、先生も、父兄も、みんなで"いじめの意味"について、
"生きる喜び"
とは何かについて考え、そして話し合った。
話し合っているうちに、一人ひとりが、自らに問題があることに気づき始めた。
人を思いやる心に欠けている自分に、気づいたのです…。
そんな優しい心が、先生にも、生徒にも、父兄にも、欠けていたのです。
■「みんな持っている…」
子供がゲーム器など、モノを欲しがるとき、「みんな持っている…」と言う。
親はこの言葉に弱い。一番気をつけなければならない言葉でしょう。
その時、お父さんはどう対応する? 「よそは良くても、うちはダメ!」と
言い切って、子どもを承服させることができるでしょうか?
お母さんは、そう言うお父さんに従って、子どもをなだめ、我慢させることが
できるでしょうか? 家庭内に、それだけの力を持たない父親が多いのです。
日ごろ、両親の"言行"が一致しない家庭の子どもは、いくらお父さんが
「ダメ!」と言っても、おとなしく言うことを聞きません。
子供をしつけるには、親がまず率先垂範、模範を示さなければなりません。
口先だけで道徳を説き、従わせようとしても、躾にはならないのです。
【心と体の健康情報 - 235】
~子育て心理学~
「駄目なものはダメ!」
ライブトアの堀江社長、民主党永田議員のお騒がせ騒動を見ていて、
今の日本人、何か大切なものが欠けているようです…
■会津藩の教え
会津藩には「日新館」という藩校がありました。ここで、あの白虎隊も教えを
受けた。藩校には「什の掟」というのがあり、七つの掟が定められている。
その中の五つです…
一つ. 年長者の言うことに背いてはなりませぬ
二つ. 年長者にお辞儀をしなければなりませぬ
三つ. 虚言を言うことはなりませぬ
四つ. 卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ
五つ. 弱いものをいじめてはなりませぬ
この掟の最後には、「ならぬことはならぬものです」と、結ばれている。
いわゆる"問答無用"、「駄目なものはダメ!」、理屈ぬきなのです。
守らなければならない大切なことは、親や先生が幼いうちから、頭ごなしに
押し付けてでも、強制してでも、身に付けさせなければならないのです。
子どもは反発するかもしれません。それはそれでいいのです。初めに何か善
悪の基準を与えないと、子どもの内面から、正しい価値観が育ってこないので
す。
いじめを本当に減らしたいのなら、「大勢で一人をやっつけるのは、理屈ぬき
に卑怯である」ということを、幼いうちに叩き込んでおくことです。人の道の
精神にのっとって、「卑怯な行い」はダメと、教えなければならないのです。
たとえ、いじめている側の子ども達が、清く正しくて、いじめられている側が
性格のひん曲がった、大嘘つきだったとしても…です。
「そんな奴ならみんなで制裁すればいいじゃないか」というのは理屈、卑怯!
理屈抜きで「駄目なものはダメ!」「いじめをするような卑怯者は、人間の屑」
と、叩き込んでおくことです。
例えば「人を殺してはいけない」ということだって、理屈では片付けられない。
日教組の研修会で、傍聴していた高校生が、「先生、なんで人を殺しちゃいけ
ないんですか?」と質問した。そこにいた先生たち、誰一人それを論理的に
説明出来なかったという。
びっくりした文部省。人を殺してはいけない理由をパンフレツトにして、配布
することにしたという。そのようなバンフレット、何の役に立つのでしょう?
人を殺してはいけない理由を理論的に…なんて? 何一つないはず…。
反対に「人を殺しても良い理由」も、探せばいくらでもある…。
「駄目なものはダメ!」、ただそのことに尽きる。
韓国ドラマで、子が親を敬うシーンがある。韓国の若者にとって、子が親を敬
うのは理屈ぬき。当たり前のこと…。良し悪しの理屈などあるはずがない。
ライブドアの堀江社長や、民主党の永田議員。会津藩の「日新館」の教えを
叩き込まれていたら…、世間を騒がせ、迷惑をかけるようなことはなかった
でしょう。
あるTV局が、某団地の家庭を一軒一軒訪問して、「ぬか床」の有無を聞いて歩い
た。自家製のぬか床で漬物を漬けて、食卓に出している家庭は、十軒に三軒くら
い。大概の家庭は、買ってきたものを食卓に並べていた。
お母さんといえば、ヌカ床に手を入れ、漬物を漬けているイメージがある。
核家族化が進み、女性が社会進出するようになって、母親から娘へ、姑から嫁へ
と、代々受け継がれてきた"お袋の味"が途絶えてしまった。
受け継がれてきた、家庭内の慣習・しきたり・伝統の味、そういった「家族文化」が
継承されなくなったのです。
【心と体の健康情報 - 233】
~子育て心理学~
「ユー キャン ドゥ イット(3)」
人の悪口はいくらでも言える。なのに、人を誉めるのは意外と難しい。
人を誉める習慣がないと、何をどう誉めていいか、分からない…。
小学校5年生のA君。学校では、引っ込み思案で、自信がなさそう…。
道徳の時間に、先生から出された問題は、「二人一組になって、自分の優れて
いるところ三つと、お友達の優れているところを三つ、書き出しなさい…」
「おれ、うまくないもん…。何でこんなの書くんや!」と、大声でA君が叫んだ。
彼「ドッジボールがうまくなった」と書いたK子に、怒ったのです。
先生はA君をなだめつつ、パートナーのK子に「本当にそう思って書いたの?」
と聞くと「ハイ!」。
先生、クラスのみんなにも聞いてみた。「うま~い!」と大きな声。
「先生もうまくなったと思うよ。自信持ってね!」
「ハイ…」と、A君はうなづいた。
A君は、自分のいいところが二つしか見つからず、「残念」と書いていた。
体育は苦手な方だったが、5年生になってスポーツ少年団に入り、
体力がついてきた。ドッジボールでも、皆が「おおっ!」というプレーを連発。
K子は、そのことを見ていて書いたのだが、今まで体育で認められたことが
なかったため、みんなからの誉め言葉を、素直に喜べなかったのです。
この時以来、A君は変わった。縄跳びや5分間走などの体力づくりにも、熱心
に取り組むようになった。そして、6年の体育の持久走で、学年2位になった
のだ!
中学に進学したA君の引き出しには、友達K子が書いた「A君のいいところ」
が、大切に仕舞われている…。
1/30読売新聞 子どもの心「自信を持つと伸びる」より
小出監督が、高橋尚子さんに言った「君ならできる」「ユーキャン ドゥ イット」
この言葉は魔法の言葉ですね…。
企業犯罪が世間を騒がせ、混迷を深める今日こそ、不易の倫理観、時代に即した新たな規範や改革が、強く求められる。
自由には 責任が伴わなければならない
地位には 義務がある
繁栄には 共存と共栄が伴い
安全には それ相応の対価がいる
貧富には 自愛の心がなければならない
稲盛和夫
【心と体の健康情報 - 232】
~子育て心理学~
「社会に役立つ"志"を持て」
以下、1/28読売新聞 太平洋セメント相談役 諸井虔(もろいけん)氏
「ライブドア事件を語る」からの抜粋です。硬い文章ですが、教育のあり方に
言及しています。
近頃の、手っ取り早く金儲けをしようとする新興企業の姿勢に、実に危険な
ものを感じる。企業倫理などどこえやら、「金儲けなんて簡単なものだ」と、
平気でうそぶく。
そもそも会社とは、社会のためにある。社会のニーズがどこにあるかをくみ取
り、自社の技術や特徴などを生かしながら、社会のニーズを満たしていくべき
ものだ。
ビジョンをうち立て、事業プランを組み立て、様々に知恵を絞り、人材を集め、
教育していかなければならない。ライバル企業との競争もある。それに打ち勝
っていく中で、時間をかけて、営々とに築き上げていくのが会社だ。
ライブドアは、証券市場を活性化し、企業の資本調達を容易にする為に、新た
につくられた法律を巧みに組み合わせ、悪用することで、短期間に事業規模を
拡大していった。
本来「性善説」でつくられた、こうした新法。その抜け穴を巧みに突き、ずる賢し
こく悪用し、自社を利するために、幹部は知恵を絞った。
時間のかかることは飛ばして、短期間で株式の時価総額を増やすことに、会社
の総力をあげた。そんなやり方は、日本の経済全体を危うくしてしまう。
常に、自分の会社が「社会の役に立っているか、社会に害を与えていないか」
自省することだ。自分たちの行為に明確な「志」と「理念」がなければならない。
ライブドアを生み出した原因は、やはり戦後の教育にあると思う。
今の若い人たちは、努力を重ねることをせず、「どうすればうまく金を儲けら
れるか」の一点に目を向けがち…。
教育の出発点は「家庭教育」だが、今の家庭は、自分の子どもさえよければ
いいという母親や、家庭教育に参加しようとしない父親が目立つ。今更ながら、
家庭教育のあり方が問われるのです。
学校教育の場でも、なるべく負担がかからないように、保護者から文句を言わ
れないように、責任が問われないようと、腐心する教師が多い。
子どもは、大人の姿を見ながら、自らを鍛えていく。今の親や教師の姿を見て、
子ども達がいい大人に育つと思うだろうか? 思うとしたら、それは奇跡だ!
働きもせず、株取引に夢中になっている大人。これとて「自分さえよければ」と
いう、教育によるところが大きい。社会の、沢山の人たちに支えられている
自分に、気づいていない。
「額に汗して働き、世の中のお役に立つ人間になるんだよ」
「何かを他人にして貰ったら、必ずお返しするんだよ」
という、きちんとした家庭教育に支えられて育った人は、やはりきちんと働いて
いる。
昔は、寺子屋で子ども達はみな"論語"を読んだ。四書五経には、
社会生活を
営むに必要な真理が多く含まれている。昔の子どもは、それらを一所懸命理解
しようとした。
若者は、何か夢を持って勉強し、努力するものだ。それで立派になっていく。
ところが、今の若い人はかわいそうだ。閉そくした今の世の中では、若い人が、
自分の生きる道を見つけられないでいる。
堀江氏をもてはやすのは、夢を持てなくなった若者のストレスからくるものだ
ろう…。そうした不満を解消するため、若い人に夢を持たせ、夢をかなえる
社会の在り方が問われるのです。
■人生を丁寧に生きる
した方が良いこと、しなければならないこと、
しない方が良いこと、してはならないこと、
この違いを学びに、この世に生まれて来た。
人生の後半に来たら、人生の前半で積んだ様々な欲や、
他人への罪や、悲しみのもとの荷を、降ろす作業に入るほうがいい…。
借り物の服はちゃんと洗い、シミはできる限り落とし、破れは小さくして、神に返したい。
してはならないことをすると、人の魂は傷つき、人の人生を狂わせる。
人の人生を狂わせると、必ず自分の人生も狂ってくる。
自分勝手な生き方は、信を失う。
人生は一度だけ。丁寧に生きなければならない。
致知2月号 北川八郎「三農七陶」より
【心と体の健康情報 - 230】
~子育て心理学~
「ユー キャン ドゥ イット」
昨年暮れ、みごと復活優勝を果たした高橋尚子さん。「君ならできる」という、
小出監督の言葉をポケットに入れて走ったという。
「君ならできる」
というこの言葉。誰にも可能性があり、その可能性を伸ばす
ために、師弟は厳しいトレーニングを積み重ねてきたという。
「君ならできる…」。実にいい言葉です。我が子に接するとき、部下を育成する
とき、そういう思いを強く持って、事に当りたいものです。
竹中平蔵総務大臣。内閣の経済政策の中核を担い、景気回復政策の中心的役割
を果たした。昨年NHKで、氏の生い立ちを語る番組があり、感銘を受けた。
「自分は和歌山市の小さな下駄屋の息子に生まれた。 |
私(吉村)の母もそうでした。家族9人の三度の食事を、朝早く起きて作り、
父の商いを手伝い、夜遅くまで身を粉にして働いた。
食事中に、店にお客が入ってくると、箸を置いて店に出るのは、いつも母…。
祖母の世話をし、家のため、夫のため、子供のため、働きずめの人生…。
そうやって、戦後の食料難の時代、兄や姉、私や弟、そして妹の6人兄弟を育
てたのです。毎日三度の食事をキチッと作って食べさせた。母は、ただの一度
も手を抜くことはしなかった。
家庭での、こんな当たり前に思うことが、今は崩れてしまっている。都会の
小学校では、朝食を抜いてくる子供が3/1はいる。ひどい所では、半分くら
いいるという。大抵の場合は、お母さんが働きに出るため、パンと牛乳が
テーブルに置かれる。子供はそんな物を食べず、途中で友達と買い食いするの
だという。
家族揃っての食事と会話が、家族文化を育てていく。お母さんの心のこもった
手作り料理が、親子の会話と、愛のある家庭を育む。
調理済みの、出来あいの料理を食卓に並べる家庭の子どもは、大人になって、
同じことをするようになる…。
そんな家庭に、親子のふれ合いが育まれるとは思わない。手間ひまかけた
「おふくろの味」が、家族文化を育てるのです。
話を戻して、竹中さんが悪さをして、叱られそうになったとき、母親は、
「あなたはそんなことをする子じゃないわ。何かの拍子でそうしたんでしょう。
私は信じている…」
そういう言い方をした。そう言われると、竹中少年は、二度と悪いことが出来
なかったと言う。「何て子なの! 何でそんなことするの!」と、叱られるより、
ずっと身にしみるのです。
この竹中さんが一橋大学を出て、ハーバード大学に留学した時のこと…。
ボストンで、初めてマラソンを見た。沿道で、みんなが「ユー キャン ドゥ
イット」「あなたは ちゃんと できる」と、声をかけている。
そこで初めて、子供の頃、母親に言われたことに気づいた。
「あなたなら正しいことができる…、あなたは間違ったことをしたりしないわ…」
小出監督の「君ならできる」も、「ユー キャン ドゥ イット」。
竹中さんのお母さんは、「この子はいい子なんだから、きっといいことをする
ようになるだろう…あなたなら出来る」と、いつも信じていてくれたのです…。
■森信三・修身教授録から 「しつけ三原則」
一.朝、必ず親に挨拶をする子にすること
二.親に呼ばれたら必ず、「はい!」とハッキリ返事のできる子にすること
三.履物を脱いだら、必ずそろえ、
席を立ったら、必ず椅子を片付ける子にすること
石川TVPM8時、細木数子が学校の教室で、子供をしつける番組をやっていた。
その体育の授業で、"脱いだ服をたたんだ子"は、半分もいなかった。
今の子ども達、こんな当たり前のことが、家庭でしつけられていない。
「親をしつけるのが目的でした」と、番組の最後に細木数子は本音を語った。
「しつけの始まりは、まず母親自らが、ご主人への朝の挨拶をハキハキし、ご主人に呼ばれたときも、必ず『はい!』と、はっきり返事をすることです」と、森信三の修身教授録にある。
細木数子も又、お母さん方がご主人と向き合うときの姿勢を、諭している。
子は、親の後ろ姿を見て育つのです。
【心と体の健康情報 - 229】
~子育て心理学~
「思いやりの心は、"流汗悟道"から…」
「勉強だ、塾だ」と、子どもにうるさく言う母親は多い。
が、家事を手伝わせ、お使いを"義務づける"親は、どれだけいるのだろうか?
逆に、何でも欲しがるものを買い与える親の方が多いのでは?
子どもの将来のためにはならないと思う。
以下、元松下政経塾副塾長、上甲 晃氏の講演から…
「流汗悟道」の伝統を守る"北海道児童支援施設"(旧、北海道家庭学校)。
この学校の授業は午前中のみ。午後は作業服に着替えて、自分達の生活に必要なもので、自分達で作れるものは、すべて自分達の手作業で作るという教育方針。
必要なものは買ってくるのが普通…。便利だけれど、それでは大切なことに気づかない。この施設では、味噌もバターも、野菜も、机も椅子も作業服も、あらゆるものを可能な限り、自分達で作る。
学校を訪れ、教室に入るとき、こうした施設だから、机も椅子もぼろぼろだろうと思った。ところが、実にみごとにきれいに使われている…。
「どうしてですか?」と尋ねたら、『自分達で作るからですよ…』との答え。
自分で作れば、机を作る人の苦労が分かるのです。
苦労がわかると、大切にしようという心が、生まれてくるのです。
子供の心を育てようと思うなら、まず"やらせてみる"ことです。
実際に自分で体験させることです。
娘が、お母さん「食事を作るって、本当に大変ね!」って、食事を作ってみて初めてわかることです。経験して、初めてお母さんの苦労が分かるのです。
これが「流汗悟道」の教育です。可能な限り自分で体験する。
体験すれば、人の苦労が分かる。
人の苦労が分かれば、他人に対する思いやりの心が生まれてくる。
「流汗悟道」が家庭学校の教育の基本になったのは、三代目の校長の時。
支給した制服。生徒にどんなにやかましく言っても粗末にし、汚してしまう。
困り果てた末、生地を買ってきて、近所の洋服屋さんを先生に、子ども達に自分の制服を作らせた。ピタッと汚さなくなった。
自分で制服を作って、作るのが大変なことがわかると、制服を大事にしようという心が生まれてくる。これは、鍵山秀三郎の「お掃除」でも言えることです。
牛の出産にも、子ども達を立ち会わせた。牛のお産は難産なことが多い。
母牛のお腹から半分、子牛の体が出かかったところで、お産が止まってしまった。子供たちが力を合わせて、子牛を引っ張った。最初は恐くて、そろりそろりと引っ張っていたら、先生に「そんなことでは駄目だ!」と、怒鳴られた。
皆で思いっきり引っ張ったら、子牛がドサッど生まれ落ちた。
あまりにも難産だったので、生まれた子牛は息をしていなかった。
「みんな、交代で鼻を吸え!」と、先生の怒鳴り声。交代で懸命に鼻を吸った。
そのお陰で子牛の命が助かった。
その瞬間、一人の子供が「ワ~」と泣き出した。ものすごい声で泣いた。
母親が子供を産むということが、こんなにも辛くて、こんなにも命がけで、こんなにも大変なことを…。少年は初めて知ったのです。
僕の母ちゃん、こんな辛い思いをして、僕を生んでくれたのだ。それなのに僕はずう~ッと母ちゃんを悲しませてきた。親不幸をしてきたんだ…。
「母ちゃんゴメン、母ちゃんゴメン」と、涙が止まらなかったと、日記に書いている。
経験して初めて他人の苦労がわかり、他人への思いやりの心が生まれてくる。
「流汗悟道」である。野菜を作るのも、"大変"がわかってこそ、米一粒でも残したりしてはいけないという心が育つのです。
人が作ったものを買ってきて、間に合わせようとするから、作った人の心が分からず、買ってきたものを粗末にしてしまうのです。
■「流汗悟道」
"汗を流して働けば、人の苦労や親の苦労が分かる"という意味です。
これは、大正時代に「北海道家庭学校」を設立した"留岡幸助"の言葉です。
現在は不良行為、又は生活指導を必要とする子供たちの施設として運営されている。
留岡氏の理念「人が人に与える影響以上に、自然が人に与える影響は大きい」
との考えで、広大な敷地には、農作業用の畑と、いくつかの寮、古い礼拝堂がある。
礼拝堂の正面の講壇の頭上には、「難有」
と書かれてある。
"難が有る"、反対から読むと「ありがとう」になる。
困難なことに出会うのは、人間として"有り難い"ことなのです。
昨日、真っ青に晴れ上がったセイモアスキー場で、今年の初滑りを楽しんだ。
一週間前の正月休みは、「♪ここは串本向かいは大島」紀伊大島で、スキュー
バーダイビング。木枯らし吹く中、延べ6時間6本潜った。どちらも気分は最高!
明治23年9月、トルコ軍艦が台風に見舞われ、紀伊大島の灯台沖で座礁沈没。
艦長以下581名の尊い生命が海に消えた。生存者はわずか69名、海運史に
残る大惨事だった。その歴史ある海に潜った。 (詳しくは、メルマガNo244)
【心と体の健康情報 - 227】
~子育て心理学~
「勉強は人のためにするもの」
以下、小松市民病院、上野良樹小児科部長「勉強は人のためにするもの」からの
抜粋です。
不登校の子ども達、その数はまだまた減少する気配を見せない。
小中学校の生徒数は減っているから、比率としては増えているのかもしれない。
不登校の原因は、時代とともに変化していく。「勉強への不安」「クラスでの
いじめ」などで、どうしても登校できない。何とか登校できても、教室に入る
ことができず、保健室で一日過ごすしかない子供、そんな子供が今も沢山いる。
ところが最近は、学校や勉強に"意味"を見出せない、あるいは勉強そのものを
否定する子供が増えてきているのです。
先生「学校へは、やっぱし行きたないか…」 子供『行ってもしかたないし…』
先生「そうかなァ~、勉強したり、友達と話したりしたくないんか?」
生徒『学校の勉強なんか役に立たんし、パソコンでゲーム作って儲けた方がい
い…』
先生「そうか…。じャ、勉強は何のためにするんや?」
生徒は、うんざりした顔で…、『自分のためやろがいね…』
先生「違うやろ。勉強は人のためにするもんやろが…」
子供は、初めて聞くみたいに、びっくりした顔になった。
先生「今、自分のためと言うたけど、自分の"何のために"勉強するがや?」
生徒『いい大学に入って、いい会社に就職して、いい生活するためやろがいね…』
先生「そうかなァ~ 自分のためだけやったら、別に働かんでもいいがいね…。
フリーターでもいいし…」 子供『………』
先生「勉強は自分じゃない、人のためにするんや。ゲームだって世界の歴史や
地理を知っとって、人の気持ちが分からにゃ、ほんまのいいもんは作れん
わいね。人から必要とされて初めて、価値が生まれるんやないかな…」
こんな会話のやり取りの後、子供は学校へ戻って行った。
小さい頃、耳にタコが出来るほど、「人の役に立つ人間になるんやぞ!」と、
親に言われて育った。昔はそれが普通だった。
病気で苦しんでいる人たちを助けたい、貧乏で病んでいく子供たちの力になり
たい。そんな思いは、どれほどのエネルギーを生み出すか…。
シュバイツァーやマザー・テレサの例をひくまでもないことです。
それが、いったいいつの頃から、人は自分の為にのみ勉強し、自分の為だけ
に生きようとするようになったのだろうか? そこからは、何のエネルギーも
生まれては来ない。それどころか、世の中の為にならないことに、エネルギー
を費やそうとする…。
「人の役に立つ」「自分が必要とされる」ことを自覚したときの喜びは、娯楽など
から得られる喜びなどとは、比べようもありません。
■賀状で思うこと…
元旦、ご無沙汰している友人から届けられる賀状。一枚一枚手に取り、その
文面から、お元気な様子を思い、新しい年を祝う…。
●高校卒業以来、全国各地を転勤して歩き、一度も会ったことのない学友。
その学友から、46年間毎年賀状が届いた。転勤した土地で、元気に暮らして
いると知らせてきた。
学友が定年になり、ようやく金沢に戻ってきた。これからの人生、自分の為に
使いたいと言っていた矢先… 亡くなられたとの知らせ…。
●夜逃げを経験した友人の話
正月、賀状が一枚も来ない。そのことは分かってはいるが、過去の人間関係
がすべて失われたようで、孤独感にさいなまれ、むなしい正月になったという。
例年のごとく賀状が出せるのは、何事もなく無事、幸せに暮らしてきたお陰…
この一年に感謝! 皆様も、よいお年をお迎えください。
【心と体の健康情報 - 226】
~子育て心理学~
「家族文化の崩壊(2)」
「家族文化」の崩壊は、「地域文化」の崩壊につながっていく。
最近の子供は、気に入らないことがあるとムカついたり、
キレたりします。
学校内での子供のいじめ、暴力行為は増える一方です。
拒食症や過食症が問題になり、肥満児童が増加し、子供の成人病が増えてきて
います。性モラルの低下、援助交際、自殺、閉じこもりなどは、人ごとでは済
まされないほど、身近な問題になりつつあります。
道徳心が欠落していたり、精神的に問題があるような、病んでいる子供も増え
てきている。
こうした現象は、今の時代を反映し、両親の生活態度が子供にそのまま写し出
される。そういった病んだ社会を立ち直らせる鍵は、家庭における父親の存在
…。子育てに、父親が積極的に関わることです。
ところが、読売の調査によれば、肝心の父親に、父親としての責任意識がない。
回答者の42%がそう思っていて、前回96年の調査に比べ、10ポイントも
増加している。若い父親に、子育てへの"自覚"がなくなってきているのです。
■理想の父親像(読売新聞/複数回答)
・必要なときに、子供をきちんと叱れる 73.9%
・子供に、生き方人生観を語って聞かせる 53.9%
・仕事に懸命に取り組む姿を見せる 52.2%
・父親としての威厳があり、尊敬されている 48.5%
・子供の考えを尊重してくれる 43.4%
・家事や育児に積極的に参加する 29.9%
・子供と友達のように接する 12.7%
しつけの中に、今まで忘れていた「哲学・宗教・道徳的要素」を取り入れること
です。「何をすべきか?」、 前々号でお話したように、「意味を問う」
ことです。
「なぜ勉強しなければならないのか?」「なぜお年寄りを大切にするのか?」…。
子供の学業成績だけを追い求める、視野の狭い偏った子育てでは、人として生
きていくのに欠かせない、「心」や「魂」
が育ちません。
「命の尊厳の意味」「この世に生を受けたことの意味」「人を愛することの意味」
などを教えるのは、お母さんの役割でしょうか…。
お父さんは、「やって善いことと悪いこと」「我慢をすること」「正しく生きる人間
になること」などを教えます。親子キャンプをするなど、子供と一緒に何かを
して、体験を通して教えるようにします。
幼少の頃、家事を手伝ってきた子供は、人との交わりの中で、よく気がつく人
間になるという。子供の頃、いろんな経験をさせることが、大人になってから
活きるのです。
勉強ができる、親の自慢の子であっても、家のお手伝いを何一つしない子は、
社会に出て、人の役に立つ人間になれるとは思えません。
仕事ができても、自分さえ良ければいいという、姉歯さんのような人…、
脳裏に浮かんでくる…。
大関に昇進した琴欧州、今後の活躍が楽しみである。
幕の内19場所という最短距離で大関に昇進した。番付を駆け上がるのに何よ
り重要なのは、「逆境にくじけず、それを自らの力に変える意思の強さ」だという。
琴欧州にはそれがあった。「横綱」を目指すというひたむきな心と、固い意志が、
成長を支えた。
師匠の琴桜も、戦後の貧しさの中から這い上がって横綱になった。日本人力士の
不甲斐なさが目立つが、今の豊かな日本の暮しの中で育った若者と、何とか貧し
さから脱出しようと、日本にやってきた琴欧州などの外国人力士とは、スタート地
点での精神的心構えが全く違うのです。 11/29 中日新聞
琴欧州は、レスリング欧州選手権で個人優勝した。ところが、体重制限オーバー
で、オリンピック出場資格を失った。その挫折が相撲の世界へと導き、日本に行
く決断をさせた。「万事塞翁が馬…」である。
【心と体の健康情報 - 225】
~子育て心理学~
「意味を問うことの大切さ/宗教的教育」
今の日本は、家庭でも学校でも、「宗教的な物語」が語られることがなくなった。
戦前の国家神道への反省から、戦後の日本は厳密な政経分離策を取り、結果と
して、公立校での「宗教教育」はタブー視されてきた。
先進国で政経分離をとるのは、フランス・米国など少数で、とりわけ日本のそれ
は、「無神論に偏った政経分離」となっている。
この十年の統計を見ても、少年のかかわった凶悪事件が、著しい増加を見せて
いる。そこで問題になるのが、そういった事件を引き起こす社会構造、社会の
病理を追求しようとする動き。そして、このような非社会的犯罪を犯す人間は、
精神医学的に「異常」と断定できない、ごく普通の人間に近いということです。
私達人間の心には、「善と悪」が共存している。素晴らしい可能性を秘めている
と同時に、親鸞が語ったように、時に"縁と環境"が整えば、残虐な犯罪を犯す
存在でもあるのです。
子供のころを振り返ってみると、悪へ傾斜しかかったとき、歯止めをかけるもの
があった。それは、もの心つくかつかない頃に語って聞かされた「宗教的物語」
であることは間違いない。 読売新聞「論壇」より
私の祖母が子供の頃に語ってくれた、「仏様が見ている」「誰も見ていなくても、
お天道さまが見ている」「悪いことをすると、閻魔様に舌を抜かれる」「悪いこと
をした人間は地獄へ落ちて、針の山や血の海を歩かされる」といったことが、
その後の人生で、悪への傾斜を食い止める歯止めになっている。
思えば、かなりきわどい悪さをしながら、一歩踏みとどまれたのは、心の底で、
何かわからない「畏(おそ)れ」を感じていたからではないでしょうか…
犯罪を犯した少年には、「生命の重み」がわかっていないのでは…。
「善いことと悪いこと」のけじめがつけられないのでは…。
事件が起きるたびに言われる言葉。今の子供たち、悪への傾斜を食い止める、
心の歯止めになるものが、何もないのでしょう…。
学校で「命を大切にしましょう」、「悪いことをしてはいけません」と教えられても、
それだけでは単なるお題目にしか過ぎず、真の意味が理解されないでしょう…。
私の世代を、戦後教育の洗礼を受けて育った一次世代とするなら、私達に育て
られた子供たちは二次世代。そして今、その二次世代が親となり、子育てを始
めている。
戦後教育の影響から、親から子へと受け継がれる「家族文化」が薄れていく。
それが子育ての貧困を招き、社会の秩序、公徳心を軽ろんじる風潮が、世代を
追うごとに加速している。
乱れていく社会の秩序を取り戻すために、学校教育の場で、あるいは家庭に
おいて、昔、私たちがおばあちゃんから聞かされたような、"宗教的見地"から、
「善と悪」「人としての道」など、子供たちに「物語」
を通して、語って聞かさなけ
ればならない時が来ているようです。
12/5読売新聞に、「父親像」に関する全国調査が載った。若い父親に対して
「しつけができない」「尊敬もされていない」など、"頼りない父親"のイメージが浮き
彫りになった。
理想的な父親像としては、「必要なときに、子供をきちんとしかれる」が、74%を
占めた。
戦後教育の柱は「子供の自主性を重んじる」であった。だが、家庭や学校で様々な
問題が噴出する中、「友達親子」では駄目で、父親に厳しさを求めようとする考え
方が多くなってきている。"地殻変動"が起きているのです。
調査では、今の子供たちがおかしくなっているのは、"父親に原因がある"との
見方が多数意見…。
一方、若い女性は、学校教育の影響で「男女に区別はない」と、家庭内で厳しくす
るのは夫婦どちらでもいいと思っている。優しいだけの夫であっても、それで良い
と思っている。
【心と体の健康情報 - 224】
~子育て心理学~
「家族文化の崩壊」
私達の親の世代に家庭内で厳然と守られてきた「家族文化」
。いま親となってい
る私達は、そういった過去培われてきた「家族文化」をきれいさっぱり忘れ去り、
放棄し、過去のものにしてしまっている。「家族文化」が消滅してしまったのです。
そのことが何を意味するのか、気づかないままに…。
子供の頃の我が家にも、家長(父親)を中心とした「家族文化」があった。
今の私の家庭にはないものです。
(1)家族の中での父親は、家族を養い家族を守り、家長として絶対的権威でもっ
て子供たちに恐れられた。
(当時の男性は、国に命を捧げる覚悟があり、近寄りがたい威厳があった)
普段無口で何も言わない父親。が、ここぞという時の一言には、家族全員従わ
ざるを得ない、き然としたものがあった。
(2)母は、子供たちが父親を敬い、父親を尊敬するよう振舞い、教育した。
朝・昼・晩、決められた時間に、家族全員揃って食事をするのが我が家のしき
たり。
全員食卓についても、父親が箸をつけるまで、誰も箸を取ることは許されなかっ
た。ご飯は父親からよそい、子供たちを先に食べさせることははしなかった。
父親のごはん茶碗は一回り大きく、お頭の付いたお魚は、
父親の前に置かれた。
(3)父親が子供を叱ったとき、母は子供を目の前でかばようなうことはなかった。
後になって、子供に叱られたわけを言ってきかせ、お父さんに謝るよう諭すの
が、母の役目だった。
子供が母親に背いたとき、「お父さんに言いつけるからね」とか、「お父さん
が許してくれたらね!」とか、家庭内における父親の存在は大きかった。
(4)嘘をついたり、言いつけを守らないと、夕ご飯を食べさせてもらえなかった。
(5)子供たちには何らかの家事の分担があり、責任を負わされた。
(6)「起きた時、寝る時の挨拶」「脱いだ衣類は必ず畳む」などは母親…。
戦後の食べるのがやっとの中、私自身、しつけらしい躾をされた記憶がない。
しかし、家族全員に対しては、あるいは、家族が揃った食事どきなどは、
「いただきます・ご馳走さまの挨拶励行」「贅沢を慎むこと」「一粒のご飯でも粗末
にしないこと」など、やかましく言われたものです。
厳しい父親と、優しい母。身を粉にして働く両親の後姿を見て育った。現在の私
の生き方、モノの見方考え方は、両親から受け継いだもの。今は昔と時代が違
う。今さら父親の権威を回復させたいと思っているわけではない。
我が子を育てていく上で、父親にしか出来ない大切な役割があることに、気づ
かなければならない。仕事にかまけて、我が子のしつけを母親まかせにしていて
は、子どもを一人前に育てることはできません。
読売新聞の調査で、子供の頃父親が「雷おやじ」だったという人は、全体で39
%。特に40代以上の男性では、半数を超えている。
また、「父親が雷おやじ」と答えた人の92%が、「父親を尊敬している」だった。
「家族文化」が復活して初めて、新たな「地域文化」が芽生え、昔のような住みよ
い社会が、よみがえってくるのではないでしょうか。
各家庭から出る排水がきれいになれば、地域社会という川の水が澄み、近隣愛
に満ちた、美しい社会が戻ってくるように思うのです。
この一週間、西村代議士事件と、姉歯建築設計事務所事件で大騒ぎ。
自己保身と嘘と、責任のなすり合い。モラルのカケラもない…。
お金儲けと成功のためなら…、現在置かれている地位と幸せを守るためなら…、
「バレることはないだろう…」、悪いと知りながら、つい人の道に外れたことをや
ってしまう。社会人として守らなければならない大切なものが、欠落してしまって
いる。
運悪く?事件が発覚し、マスコミにさらされる…。世間を騒がせる反社会的行為
をしておきながら、悪びれる様子もなく、罪の意識も感じられない。
私たちがこうした事件と同じ状況に置かれた時、「私は、そうした欲望に惑わ
されない!過ちを犯したりしない!」と、言い切ることができるでしょうか?
こうした心の貧しさは、私たち世代に共通したもののようです。
【心と体の健康情報 - 223】
~子育て心理学~
「意味を問うことの大切さ」
11月の初め、高校一年の女子生徒が、母親を劇物で殺害しようとした事件が
あった。今の社会、親の子殺し、子の親殺しは取り立てて珍しいことではなく
なった。女子生徒が「尊敬する人」は、少年期に義母を毒殺した"ヤング"とい
う実在人物で、そのヤングの殺人手法を真似たのだという。
女子生徒の学業成績はトップクラスで、科学の知識も並外れて豊富。東大の
教授らの間で「すごい子がいる」と評判になったくらいです。それだけの才能が
あるのに、正しい方向に導くことが出来なかったのは、大人たちに責任がある
のではないでしょうか。
戦後の日本の教育界は、二度と戦争を起こさないという考え方が基本にある。
私達が学生の頃は、「哲学・道徳・修身」などは軍国主義につながると、一切
教育の現場から排除され、教えられることはなかった。
結果、高い能力の生徒を育てることが教育の目的になり、詰め込み教育一本や
りで、IQや偏差値の高い子供、テストの成績の良い生徒が、将来有望で優秀な
人材として評価され、ひたすら良い高校、良い大学を目指し、学校内で順位を競
ってきた。
そんな教育についていけない子供たちは、落ちこぼれと言われ、社会の片隅に
置き去りにされ、見捨てられてきたのです。
人を育てることよりも、産業界に役立ち貢献できる人材を育てることに偏ったの
です。「知識・技術」が優先され、「哲学・宗教・道徳」などの、人間を育てる教科
は、片隅に追いやられ、軽視されてきたのです。
哲学・宗教が教育にないということは、「意味を問う」ことがないということです。
「幸福とは何だろう」「人生とは…」「命とは…」「いじめとは…」といった意味
を問い、意味を考える機会を、私たちは与えられることがなかったのです。
人間を作っていかなければならない十代に、「家族とは」「親を敬うとは」「先祖
とは」といったことの意味の大切さを、学ぶことも、問うこともなく、ひたすら
「大きいことはいいことだ」「強いことはいいことだ」と、経済的豊かさを追い求め、
周りとの競争に打ち克つことのみを価値観とする、そんな人生を突っ走ってきた
のです。
人を育てる上で、私達は大切なものをどこかに置き忘れ、その重要性に気づ
くことなく、可愛さだけで子育てをしてきたのではないでしょうか。
生まれた時から豊かな環境に育ち、我慢を知らない子供たち。
大人になりきれない、"おども"を育ててしまったようです。
私が通った高校は普通高校。大学に進学し、将来建築士になることを夢見ていた。
ところが病気になり、大学受験をあきらめた。この選択が、その後の人生に大き
く影響した。学歴がなければ、大きな会社へ就職しても、出世は望めない。建築
士や教師になる道も遠のいた。
病気が完治し、元気に働けるようになったのは、昭和44年28歳…。主治医は
「次に再発したら、もう薬は効かない」と言った。無理が利かない体。自営業で身
を立てよう…。商売なら学歴不要、休みたいときに休めばいい…。
いつ再発するか分からない爆弾を抱え、技術も資格も何もない私。何で暮しを立
てればいいのか? その前に、基礎から社会修行やり直そうと勤めに出た。
人生再スタートの年でした。
【心と体の健康情報 - 222】
~子育て心理学~
「戦後教育の問題点」
以下、致知出版 渡辺昇一著「運命を高めて生きる」からの抜粋をからめて、
戦後教育の問題点を探ってみたいと思う…。
戦後教育の最大の問題は、個々の適正を伸ばす環境がなくなってしまったこと
にある。向学心があろうがなかろうが、高等学校全入にしてしまつたことです。
更にいえば、実業高校や商業高校をあたかも下に見て、子供たちを普通高校
進学一本やりで推し進めたことに、問題があった。
普通高校に進学することが、子供たちの将来にとって最善の選択と、先生や
親たちが勝手に決めつけ、子供たちの進路指導をしてきたことに問題がある。
実際のところ、普通科の授業に向かない子どもは多い。高等学校の授業は相当
高度である。当然授業に付いていけなくなり、多くが中退してしまうことになる。
中学の英語もよくわからないのに、あるいは因数分解が出来ないのに、高等学
校の英語や数学の授業についていけるわけがない。
そうした子供たちは、手足を動かす実技に向いているのかもしれない。実業高
校に進んでいれば、その適性を伸ばせたかもしれない。
猫も杓子も普通科高校に進ませるのは、悲劇と言わざるをえない。
このような現象を招いてしまつたのは、良い高校に入り、良い大学、そして、上
場している一流企業に就職することが一生涯安泰で、幸せになれるという、
"画一的"な考え方。そのことに、何の疑問も抱かず、一人ひとりの子供が持つ
適正に目を向けてこなかった戦後教育のあり方に、大きな問題があるようです。
世の中は学歴社会。わが子の幸せを願うあまり、多くの親は、実業高校に子供
を進ませることに、世間体を思うと恥ずかしいことと思う。そういった虚栄心を捨
てなければならない。
子供の適正を見出し、その適正を伸ばしてやるのが、親に課せられた役割では
ないでしょうか。
スポーツ、芸能の世界で活躍している人に、最近とみに目立つのが、まだもの
心つかない幼い頃に、我が子の天性を見出し、特訓英才教育を施し、才能を
開花させた事例が多いことです。
大リーガーのイチロウ選手、卓球の愛ちゃん、ゴルフの宮里 藍ちゃんなどは
、その最たるものでしょう。
我が子にどんな道を歩ませれば、将来幸せになれるのか、その子にしかない
"特性や個性"をいち早く見つけ出し、伸ばしてやるのが親の勤めでしょう…。
子供の能力を考えずに、親の果たしえなかった夢を、子供に託したり、世間体
や見栄で、子供の将来を見誤るようなことがあってはならないのです。
昨年の「新穂高ロープーウェイ・スキー場」の廃止に続き、立山山麓「らいちょう 白山麓のスキー場も何ヶ所か廃止の憂き目に…。スキーを愛好する一人として、 |
【心と体の健康情報 - 220】
~子育て心理学~
「フインランドに学ぶ、理想教育」
日本の中学・高校の教育、進学予備校のごとく、詰め込み一本やり、知識を
吸収させることに偏った教育の在り方に、以前から疑問を持ち続けてきた私。
メルマガを発信するきっかけにもなっている。
以下、10月23日の朝日新聞の記事より…
昨年12月に公表された「国際学力調査」で、クローズアップされた日本の
"学力低下"問題。その調査で、世界ランキング上位にランクされたフィンラン
ド。どんな教育をしているのだろうか? その要因を探ってみる…。
担任の先生は、児童の理解状況に応じて、もう少し必要と思う教科を、弾力的
にはめ込んでいく。日本のように、決められた時間割表にしばられたりしない。
「明日は、英語を3時間連続でやることにします」と、担任の先生…。
フィンランドでは、子どもの学力、理解度に合わせ、先生独自の判断で、授業
科目と、授業時間を自由に割り振ることができるのです。
学力調査の中で、特に日本が振るわなかったのが「読解力」。
フィンランドは「読解力」で一位。大学に進学するのに、必修の国語試験で課
せられるのは、2本の"小論文"。
その他、数学や一般教養の問題でも、知識だけを問うのではなく、自分の考え
をまとめ、表現する能力が求められる。
先生が作るテスト、日本のような"穴埋め問題"はほとんどなく、記述式の問題
が大半だ。「児童は、書くことをおっくうがるが、どれだけ理解したかを知る
には、書くことが一番」と、先生は言う。
月に一度は、生徒を近くの図書館へ連れて行く。
「読むこと、
書くことがすべての教科の基礎。創造的な内容や、理論的な
文章を、繰り返し書かせている」という。
日本に目を向けると、活字が苦手で、本を読まない若者が多くなってきた。
学校教育の在り方をとやかく言う前に、幼児期から、読み書きに触れさせ、
興味を抱かせる、そんな家庭環境を育てていくことが大事でしょう。
■日本にしかない風習
・「富士やま芸者」。一昔前の日本を象徴する、外国人から見た日本のイメージ
である。芸者は、日本が生み出した、日本にしかない風俗です。
・開花した桜の下でお弁当を開いて、花見を楽しむ風習も、日本独自のもの。
・忘年会も、日本にしかない風習とか…。
・コオロギの音に耳を傾け、鈴虫を飼って音色を楽しむという風習も、西欧人に
はない。雑音にしか聞こえないのです。
・同じ"虫"でも「水虫」、外国人で「水虫」に悩んでいる人は、あまり聞いたことが
ない。国民的悩みになっているのは日本だけ…。
【心と体の健康情報 - 219】
~子育て心理学~
「欧米の教育、日本の教育」
教育の仕方では、学校での先生の教え方に、日本と西欧では、考え方に根本的
な違いがあるようです。
例えば、20問の試験問題が出されたとき、日本の子どもたちは、考えないと
解けない問題は後に回し、解ける問題から先に片付けていこうとする。
試験の結果先生が求めるのは、何問解けたかを見ること。高い点数を取った生
徒ほど、優秀な生徒ということになる。
一方、西欧の子ども達は、一番難解な問題から懸命に解こうとする。そのため
時間を使いきって、低い点数に終わったとしても、あまり気にならない様子。
先生も、試験の点数の良し悪しは、あまり問題ではないらしい。試験が終わった
後、先生は生徒一人ひとりに、「どの問題が難しかったか」を尋ねる。そして、
出来なかった問題を「必ず解いてくるように」と言う。それでも解けない生徒
は先生の所へ来るように、「先生と一緒に考えよう」と…。
解ける問題の数より、解けない問題を解くことの方が大切なことを、子ども達
は知っている。だから、難しい問題から先に解こうとするのです。
日本の学校では、どんな解き方をしたかは問われない。答えが間違っていれば
×である。
私が中学生の頃の得意科目は、幾何・物理・化学・社会。国語や英語は苦手だっ
た。中学二年の期末試験、科学の試験で一問だけ間違って、95点に終わった
ことがある。その時先生が、
「吉村君! お前"ボルト"と答えなならんのに、"ベルト"と書いてしもたやろ…、
惜しかったな!」
正しい答えを知りながら、勘違いして書いたことを、からかわれたのです。
欧米の教育は「問題をどのようにとらまえ、答えに結び付けようとしたか…」、
その"プロセス"を大事にする。だから、考え方が正しければ、答えが間違って
いても、○がもらえることがあるのです。
ノエビアは毎年、全国上位にランクした優績支店のスタッフを全員、アメリカや
ヨーロッパの研修旅行に招待している。
昨年はラスベガスだった。出発の時から研修が始まる。一人ひとりにロスまで
の航空券が渡される。到着後のラスベガスまでの移動は、各自の自由。
二人一組で、レンタカーや長距離バスなど、何らかの手段で、指定日時までに
目的地に集合しなければならない。支店スタッフ揃っての移動は認められない。
全員到着後、どんなルートを、どんな交通手段で移動したか? いくら掛かっ
たか? 何故その手段を選んだのか? その方法は最善だったか?
意思の伝達はうまくいったか? 何が障害となったか? …自分達の行動を
振り返ることから研修が始まる…
【心と体の健康情報 - 209】
~子育て心理学~
「教育とは…」
8/10NHK朝の連続ドラマの1シーン。小学校の男の子、夏休みにプール
で泳ぎを習っている。ある朝突然、プールへ行きたくないと、タダをこねた。
母親やお姉ちゃん、諭したり叱ったりしたが、ガンとして言うことを聞かない。
ついに父親が「バカなことを言ってないで、行きなさい!」と、怒鳴りつけてし
まった。少年は一人部屋に閉じこもってしまった。
しばらくして母親が部屋に行き、「何で行きたくないの? わけを聞かせて…」
と、親の考えを押し付けないようにして、訳を聴くことに終始した。
理由は「3mしか泳げないから…」だった。
そこでお母さん、「3mも泳げるなんて偉いじゃん! お母さんなんか、小学
生のとき、全然泳げなかったんだから… もう少し続けたら、もっと泳げるよ
うになるかもね! そうしたらお母さん嬉しい…」と、ほおづりした。
少年は水着を手に取り、喜び勇んで家を飛び出していった。
教育とは、与えるものではない。手取り足とり親切丁寧に教えようとしても、
本人にその気がなければ、無駄骨に終わってしまう。勉強部屋をあてがい、
沢山の参考書を買い与え、塾に高いお金を払って、環境を整えて子どもに
勉強させようとしても、学ぶ気がなければそれまでである。
どんなに恵まれた環境にあっても、自らの意思で、自ら体験し、自ら学び、自ら
努力して習得したものでなければ、身には付かないだろう。
本当の教育は、
「不便・不自由・不親切」でなければならないと思う。
学生たち
に不便と不自由と不親切を与えると、大変苦労する。その苦労が人間を育てる
のです。苦労することが、感動を呼び起こすのです。
このような教育こそ、今の子どもたちに必要なのです。何でも欲しいものを買い
与えるのは、子どもの為にはなりません。親のかまい過ぎは、子どもから、自ら
考える知恵を奪ってしまう。
成人した後も、親に依存し、自ら行動しようとしない、言われたことしかしない、
周りへの気配りが出来ず、社会集団に溶け込めない人間になってしまう。
松下政経塾の副塾長をしていた上甲 晃氏。今は、志ネットワーク「青年塾」の
塾長。後継経営者の育成に当たっている。その入塾方法がユニークで、常識を
外れている。
「青年塾」の入塾場所、交通の便利な駅前の一流ホテルで、空調の整った快適
で学びやすい環境と思いきや、岐阜県の山奥、交通の不便な片田舎。集合日時
は、郵送されてきた一枚の案内封筒のみ。時間厳守とある。
どこをどう行ったらいいものか? まず、親から事務局に電話が入ってくる。
「どうやって行ったらいいでしょうか? 地図をFAXして下さい」「前泊すると
したら、旅館を手配して下さい」
『送付した案内書にすべて書いてあります。方法は自分で考えて来て下さい。
時間厳守です』。事務局員はそれだけ応えて電話を切る。
息子さん、立派に成人しているのに、どうして親が心配し、構うのだろうか?
いつまでも子離れできない親。受講する本人が聞いてくるのならまだいい。
親離れできていない受講生が、研修にやってくる。
研修場の設営は受講生にやらせる。廃校を利用したため、教室の形になる
のに二日間かかった。草ぼうぼうで、分らなくなっていた学校への長い石段
も、見違えるほどきれいになった。皆でひたいに汗してようやく、研修所らしく
なってきた。生徒たちは、そこで最初の感動を体験するのです。
苦労が多ければ多いほど、学びも大きくなる。そのモデルが、つい最近まで
あちこちの小学校に立っていた二宮金次郎であり、近江商人の「てんびんの
詩」なのではないでしょうか。
子どもに苦労させるには、子育てに対する信念がいります。親も我慢し、子ど
もと共に辛い思いを共有する気がなければ、本物の教育にはならないと思う。
青年塾の合言葉は、「一番苦労した人が一番感動する」。
やっているときは、苦労を背負わされた人が一番損をしたように思う。しかし、
一番得するのは、苦労した人なのです。そのことを、身をもって学ぶのです。
■言葉遊び「回文」。左から読んでも、右から読んでも、同じ言葉になる。
今日は現代版です。
「煮ろ釜でマカロニ」
「ニワトリと小鳥とワニ」「留守に何する」
「ロダンてさっきの喫茶店だろ」「台風ふうふう吹いた」
「くどくど口説く」
・プロ野球からは、「吉井の意思よ!
」 「いつまで待つか、勝つまで松井」
「やい、清原!ほら、早よ来いや」
「いつまで打つのっ!打て、松井!」
・相撲では
「力士、塩なめ直し、仕切り」
・K-1では
「今、曙のボケ!甘い」
・
芸能人 「飯島愛…あ、まじイイ…
」
・我が家の家業は「袋物屋(鞄屋)」。二代目の私、家業を継いだ後、
将来性が乏しいと、店をたたんでしまった…
「かばん屋、いやんバカ!」
「2×(172+231)
=13×62=26×31=(132+271)×2」
これも回文、
「ママの意のまま」
よね!
【心と体の健康情報 - 208】
~子育て心理学~
「今、忘れ去られてしまったしつけ」
NHK金曜時代劇を見ていて、ふと思うのは、豊かになり、欲しいものが何で
も手に入る、幸せな世の中になって、日本の先人たちが大切に守り、受け継
いできた”何か”が失われ、消えてしまったように思うのです。
今の子供たちと、私たちの子供の頃との違いは、「家事を手伝わせる」という
ことがなくなったことです。私の小さい頃は、兄弟すべて、何らかの家事を分担
して生活していた。
私の家は、姑に両親、六人兄弟、合わせて九人家族でした。一時、満州から
引き上げてきた伯父家族四人を入れて13人の時があった。母は毎朝五時に
起き、台所に立ち、夜遅くまで店を手伝い、家事に追われ、一日中働き通しだ
った。
私の小学時代は、毎朝ひっついさん(かまど)に薪をくべて、2升釜でご飯を炊
くのが役割でした。「初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣くともふた取るな」。
ご飯炊きは上手いものでした。八百屋へお使いに行く、配膳の手伝いをする、
庭掃きをする。何でもやらされました。
姉は、下の子の子守をする。妹は、板の間の雑巾がけをする。兄は、私や弟
たちの頭をバリカンで丸刈りにする。俵に入っている炭もよく切りました。兄弟
それぞれが家事を分担し、家族が助け合って生活していた。嫌だと思ったこと
はありませんでした。
オモチャを買ってもらったこともなく、うどん屋に入った記憶もない。一度だけ、
兄と姉と母親と私の四人で、芝垣へ海水浴に行ったことを覚えている。
私が高校のとき、大学へ行きたくても行けない同級生が何人もいた。修学旅行
は、家庭の事情に合わせて、九州組、東京組、自習組に分かれ、クラス全員
九州という訳にはいかなかった時代です。すべてが貧しかったのです。
食事づくりや、掃除・洗濯などの家事の手伝いを通して、知らず知らずのうち
に「気配り」や「人を思いやる」といった、人間として大切なものを身につけて
いったのでしょう。自分で体験したこと、身につけたことは、忘れないものです。
今の子供たち、勉強と部活がすべて。塾へ行き、おりこうに宿題をして、良い
通知簿をもらってくれば、親は大満足。家のことは何もしなくていい。そうや
って大人になっていく。
知識の詰め込みだけで育った子どもに、残るものは何もない。家の中のことは
何もわからない。親にはあれこれ要求するが、自分本位で、家のことは何一つ
手伝おうとしない。部屋は散らかしっぱなし…、でも、いっこうに気にならない。
そんな「大人になりきれない大人」になっていく。
そんな育て方をしておきながら、自らの子育てに疑問を抱くこともなく、我が
子の不始末を歎いている親が多いのではないでしょうか。
私の子どもの頃にあって、今は希薄になってしまったもの…。 「親子の絆」
「親や先祖を大切に思う心」「人に迷惑をかけない優しい心」などがそうだろう
か…。
■森信三 修身教授録「しつけ三原則」
より
(1896~1992) 近代日本を代表する哲学者・教育者
一.朝、必ず親に挨拶をする子にすること
二.親に呼ばれたら必ず、「はい!」とハッキリ返事のできる子にすること
三.履物を脱いだら、必ずそろえ、
席を立ったら、必ず椅子を片付ける子にすること
更に、以下のように森先生は付け加えている。
このしつけのコツは、まず母親自身が、ご主人への毎朝の挨拶をハキハキし、
ご主人に呼ばれたときも、必ず「はい!」とはっきり返事をすることです。
そんな親の後ろ姿を見て、子は育つのです。
今の子どもたち、こんなごく当たり前のことが出来ていない。
三歳の頃までに躾ければ、その子は、一生「礼儀正しい」人間になれる。
【心と体の健康情報 - 206】
~子育て心理学~
「人間は教育されて人間になる」
昨年までの五千円札の肖像であり、「武士道」で有名な新渡戸稲造博士が、
49歳のとき(1911年)に「修養」という本を出版し、ベストセラーになった。
その「修養」の中の一節…
アメリカを旅行したときに訪ねた、ある有名な精神病院。そこには千人近くの病人がいたが、
その中の十人くらいは極めて利口な子供であった。 院長は「二十数年間、そういった子供たちに接して研究してきたけれども、 道徳観念と知識との間に接点はなく、全く関係がないことがわかった」と言うのである。 |
私は大変幸福な人間である。
というのは、日本人に生まれ、石川の金沢の地に、成人するまで両親の愛に
育まれ、しかも、最も平和で豊かな時代に、人生を歩むことができたことです。
(世界が100人の村ならばを思い出す)
わずか5~60年前の祖父が生きてきた時代を思うと、何千年と歴史を刻んで
きた中で、最も幸せな時代に生まれてきたことを感謝し、喜ばなければならない
のです。
前号で、インドの片田舎で、狼に育てられた二人の少女の話をした。1920年の
ことである。その後牧師夫妻に引き取られ、育てられたが、日中は暗い部屋の
隅で眠り、夜になると動きまわり、遠吠えをする。
二本足で立とうとせず、狼のように走り回る。人間が近づくと歯をむきだし、
威嚇した。物を食べるのは手を使わず、口で直接食べた。
牧師夫婦は、何とか人間に引き戻そうと努力したが、無駄だった。
二人の少女は二歳と八歳ぐらいでした。二歳の妹は間もなく死んでしまい、
姉はその後九年間生きた。
十数年前、オランウータンに育てられた子供が見つかった。狼に育てられた
少女同様、人間の世界に連れ戻すことができず、死んでいった。
このように、人間は育った環境によって、狼にもなれば、オランウータンにも
なれるのです。
高度な頭脳を持った人間にのみ起こりうることで、人間は教育しだいで、何に
でもなれる。そして、最も大切なことは、1~3歳頃までに受けた環境と、教育が、
その人間の脳にマイクロチップのように埋め込まれ、その後の一生の考え方、
行動を支配するようになるのです。
すなわち、「人は教育されて人間になるのです」。
昔でいえば、武家の子は武家らしく、百姓の子は百姓らしく育っていく。
商家に生まれた私は、商売に励む両親のうしろ姿を見て、知らないうちに、
商売の面白さに引かれるようになった。
人間は、環境や教育の影響を受けて育ち、人生が定まっていくのです.。
■私の好きな言葉 詩人 坂村真民
だまされて善くなり 悪くなってしまっては駄目
いじめられて強くなり いじけてしまっては駄目
踏まれて立ち上がり 倒れてしまっては駄目
いつも心は燃えていよう 消えてしまっては駄目
いつも瞳は澄んでいよう にごってしまっては駄目
人は困難に出会って初めて人間としての真価が問われる。
又、苦労を重ねた人間でなければ、人の苦しみや悲しみは理解できない。
うまくいっている時、すなわち順風満帆の時は、その人の本当の姿は現れ
てこない。人間の価値は、困難に出会った時、初めて試される…。
坂村氏のプロフィール等はこちらのサイトで紹介されています。
◆坂村真民の世界 http://homepage2.nifty.com/tanpopodou/
【心と体の健康情報 - 205】
~子育て心理学~
「神様と人間と動物の違い」
現代日本を代表する哲学者、芳村思風先生の”感性論哲学の世界”から…
「神様と人間と動物の違いは何か?」を考え、人間とは何かを考えてみます。
■まず
「神様と人間の違いは何か?」
神様は完全である。ゆえに嘘をついたり、物を盗んだりはしない。一方人間は
神ではない、不完全な生き物である。完全な人間など一人もいない。人は過ち
をおかし、間違いを犯す。だから人間は皆、不完全なのです。だからこそ、過
ちを犯した人を許す心がなければならない。
不完全な人間が、自分の不完全さを棚に上げて、相手の不完全さをとがめる
のは、傍から見てこっけいである。自分がどれだけ正しいと思っても、それは
完全とはいえない。自らの不完全性を認めたとき、「謙虚」になれるのです。
不完全性を自覚せず、「傲慢」になったとき、
人間は人間であることを失格する
のです。
■ならば
「人間と動物の違いは?」
人間は間違いを犯したとき、その間違いに気づき、改めようとします。
しかし、動物は間違いに気づかず、間違いを改めたりはしません。
「お猿軍団」のお猿が、調教師の膝に手を付いて、「反省!」のしぐさをするの
は可笑しい。いくら知恵が発達したチンパンジーでも、失敗を反省したりしない
ことを、観客は知っているからです。
人間には「夢」や「志」がある。そして、その「夢」や「志」を目指して生きようと
する。しかし動物は、今を生きることしか知らない。
「夢」や「目標」を持ち、より以上を求めて生きる。それは人間にしか出来ず、
人間的魅力の源泉であり、生きがいある人生の基本である。
今、あなたに「夢」や「志」がなく、今を生きることしか考えていないとしたら、
あなたは人間であることを忘れてしまっていることに、気づかなければならな
い。
■人間は教育によって人間になる。
少し前の話になるが、インドで狼に育てられた狼少年が話題になったことがあ
る。生後間もなく狼にさらわれ、狼に育てられた人間の子どもは、成長して四
つ足で走り、前足で食物を押さえて、口でむしり取るようにして食べる。
もちろん言葉もなく、ただ吠えるだけである。人間社会にもどされた後も、狼の
習性は変わることがなかった。
その事実によって、高度な知能を持つ人間は、「人間の中で生活することに
よって人間になる」ことが実証された。人間に生まれたら、放っておいても人
間になるというのは錯覚である。
逆に、生まれて直ぐ人間の家族と生活を共にした犬が、二本足で立って歩き、
スプーンで食事をするということはない。犬や猫は、教育を施しても犬や猫以外
のものにはならない。
しかし人間は、環境によって人間以外のものになれる。教育がいかに大切か、
ご理解いただけたでしょう。高度な知能を持つ人間ゆえに、与えられた環境の
中で、限りない能力の可能性を有するのです。
「青汁」キューサイの、「まず~い!もう一杯!」のTVコマーシャルは、ユニーク
で面白い。長谷川社長、脳血栓で倒れたとき飲んだ「青汁」。効き目に驚き、
「これはいい」と、商品化することにした。
問題は、このまず~い飲み物、どうやって売るか? 売れるだろうか? いくら
商品が良くても、売れなければそれまで…。 社長は、考え抜いたあげく、悪役
で有名な俳優に、飲んだイメージそのまま「まず~い!」と言わせることにした。
役員会に諮ったら、「そんなコマーシャル、売れるものも売れなくなる」と猛反対
された。 ところが、奇をてらったこのコマーシャル、皆の思惑に反して大成功。
「キューサイの青汁」の名を全国に知らしめた。今では、年商50億円の主力商
品になっている。 社員に向って社長は言った…
「いくら考えていてもダメ! やってみなければ分からない。
やれば、失敗もある。失敗を恐れていては何もできない」
【心と体の健康情報 - 203】
~子育て心理学~
「かけがえのない命」
なんともやりきれないのが、際限なく繰り返し報じられる殺人事件。
若い青年が、お金に困って強盗に入って、見つかったからと簡単に殺したり、
若い夫婦が我が子を虐待し、果てに殺害したり、そうかと思うと、小学校の
女の子が同級生をカッターナイフで殺してしまったり…。この国はいよいよ
おかしくなってきたようです…。
一昔前までは、こんな不可解な殺人はあまり聞かれなかった。昔は殺人といえ
ば大罪、滅多なことで人を殺したりはしなかった。どうしてこんな簡単に人が殺
せるのだろうか?
学校の教育が悪いとか、子どもたちが殺人ゲームに熱中して、敵対するものを
殺すことに罪の意識がないなど、事件が起きるたびにいろいろ言われる。
こんな説もある。(3/13中日新聞「時代を読む」より)
いわゆるキレる少年や、教育の現場での混乱の原因が、母親の体内 こういった科学物質も怖いが、問題の本質は子どもたちそのものに |
東京のリフォーム業者と社員が、年寄りをだました罪で逮捕されたのは、つい
十日ほど前のこと。オレオレ詐欺で捕まった人同様、罪の意識がまったくない。
生きることの尊さや人間の尊厳、善悪を、親が我が子に教え、学校で教えて
いれば、老人、子ども、女性などの、社会的弱者をだましたり、いじめたり、
無差別殺人などは、簡単にできないはずです。
教育の中で大切なのは、「やって良いこと」と「やってはいけないこと」を、
4~5歳の頃までにしっかり躾けることです。
ところが”勉強さえ出来ればいい”といった偏った考え方の親、我が子が
賢い子であればそれで満足、という親に問題がある…。
自我が芽生えた中学の反抗期になって、厳しくしつけようとしても、もう言う
ことを聞いてはくれない。学業成績がいくら優秀でも、ここのところが欠落し
ていては、立派な社会人にはなれない。不幸な人生を背負い込むことになり
かねない。
我が子の幸せを願わない親はいない。だからこそ、自分の子どもの教育を、
間違えないようにしたいものです。「自らの幸せを願う前に人の幸せを願う」
そんな優しさを備えた人間に育てたいものです。
今のままでは、日本の将来が心配です。内側から崩壊してしまうのではない
でしょうか…
私は今、月一回「論語」を学んでいる。学習時間は六時間。
ところで、学習したことがどれだけ身についたかというと、何とも心もとない。
受講後、記録したノートは閉じられたまま。翌月の講義の日になって、
「ああ、先月こんなことを学んだんだっけ…」と思い出す程度。それでは、
学んでいる意味がない。いくら熱心に受講し、記録を取っても、その後
たっぷり時間を掛けて、反復復習をしなければ、何一つ身につかないだろう。
頭の勉強をいくらしても、それ自体まったく意味をなさないし、身につかない。
先月5/27の経営研究会全国大会のメインテーマは”二宮金次郎”の
報徳の精神。そのとき配布されたレジメの表紙に、
「道徳なき経済は犯罪である。経済なき道徳は寝言である」
と印刷してあった。 その言葉をモジッて…
「理論なき実践は盲目である。実践なき理論は無力である」
私のメルマガのように、実践の伴わない理論は”空理空論”である。
毎号、盲目よりもましと思って、読んでいただければ幸いです
【心と体の健康情報 - 197】
~子育て心理学~
「学習したことが身につく、とっておきの方法」
今年一月の京都の勉強会の講師は、ユニチャーム(株)会長”高原慶一郎”氏でした。講演の中で、 最初から最後まで繰り返し話されたことは、学問をするときの「予習」と「復習」の大切さです。
日本の学校教育は詰め込み式。限られた時間に、与えられた教科課目を消化することに汲々としている。
学んだことを復習するのは、時折実施するテストと、期末試験。良い点数を取るための、詰め込み勉強の繰り返し。だから、
身につかない。
中学、高校と六年間英語を学んだが、全く使いものにならなかった。学んだことを繰り返し復習して、体で覚えさせないからだ。
ゴルフを例に挙げれば、いくら毎回素晴らしいレッスンを受けても、その後身体が覚えるまで繰り返し練習しなければ、
身につかないのと同じだろう。
ある小学校のクラスで、ずば抜けて勉強が出来る女の子がいた。 しばらくして、その子のお母さんが言った。 『○○ちゃん、お母さんはね、子供の頃貧しかったの。 それを聞いた娘さん、お母さんに恥をかかせてはかわいそうと、 『それが現在の成績につながっているのでは…』と、 |
先週の土曜日、「幸せプランニング3KM」の3回目講座が開かれた。
その時の課題が「私の歩み・自分史」の作成。書き込みに約30分頂いた。
私の1才から現在に至る自分史を、35歳、36歳…と記憶をたどって、書き込んでいく。
結婚した年は忘れない。が、ほとんどはうろ覚え。幾つの年だったのかまでは定かでない。B4用紙の記入欄が埋らず、
お手上げ状態…。
私の頭には、過去の様々な出来事が、記憶として奥深くにしまい込まれている。
ところがいざという時、どこに仕舞い込んだのか、取り出すことができない。
週二回のメルマガは、そういった薄れつつある記憶を呼び覚まし、番号札をつけて整理し、
残していく作業をしているようなものです。
今、ゆとり教育の見直しが叫ばれている。
東京での話。華僑や中国人の子どもたちが通う小学校に、日本人の親が、我が子
を日本の学校ではなく、中国人の学校で学ばせたいとやって来る。
華僑が自国の子弟のために、お金を出して建てた学校。日本の子どもたちの学校
ではない。ところが入学を希望する親が引きもきらない。そこで、クラスの一割程度
を枠に入学試験を実施し、受け入れている。その人気の秘密は、学校の教育指導
にあった。
(1)得意科目を更に伸ばしてやることで、一人ひとりの能力を引き出し、
子どもたちの学習意欲を高めていく。
(2)毎日たっぷり宿題を出す。ついて来れない生徒には、放課後の補習など、
徹底した詰め込み型の反復学習。小学生だからと甘やかさない。
しっかり教えるので、塾へ通わせる必要がない。
(3)教科書も、教室での会話もすべて中国語。自然と二ヶ国語の読み書きが
出来るようになる。
卒業後は語学力を生かし、中国に関係した会社に就職する人が多いという。
日本の教育の在り方に疑問を持つ親が、我が子を華僑の学校に入れたがるのです。
【心と体の健康情報 - 191】
~子育て心理学~
「遊びが子どもを育てる」
最近雑誌などによく登場する、イー・ウーマンの佐々木かおり社長が、
「子どもの教育」について語っている。
子どもたちは誰もが皆、褒められたいと思っている。愛されたいと思っている。知りたいと思っている。
応えたいと思っている。 学力の低下が問題視されている。子どもたちの学力は本当に下がっているのだろうか?
私はそうは思わない。学びに興味を引き出し、広げていく大人たちが、周りにいないからでしょう。
|
私の子どもの頃の思い出は、野山と太陽と腕白仲間である。学校から帰ると
ランドセルを放り出して、泥だらけになって暗くなるまで外で遊んだ。
戸外でよその子どもたちと遊ぶうちに、将来社会人となるための、何物にも
代え難い経験を積んでいく。川で遊んでいて、溺れかかったり、塀から飛び降
りて五寸釘が刺さり、怪我をしたこともある。
親は、外で何をしていようが無頓着。怪我を隠して、父親の刻みタバコを失敬
し、止血しても、親には一切話さなかった。今なら、病院へ担ぎ込んで、何針も
縫って大騒ぎするだろう。生傷が絶えなかったが、大きな怪我はしなかった。
何度か痛さを体験しているうちに、それを避けるすべを、知らず知らず身につ
けていった。
佐々木かおり社長は続けて…
親が子どもを気遣えば気遣うほど、過保護になる。過保護は、子どもが幸せになること、
そして様々な経験を積むことを、子どもたちが自立する機会を、奪い取ることになる。 昔もいじめはあった。しかし、それは子どもたちの中で解決してきた。だから、
今ほど大きな社会問題にはなることはなかった。 |
私の子供の頃は、どこまでやればいいか、喧嘩の仕方を知っていた。相手を
ひどく傷つけることもなく、痛いことも、辛いことも、その場限り。すぐ忘れて、
また皆と一緒に遊んだ。毎日路地裏で遊んでいるうちに、手加減する術を身
につけていった。
親もまた知らぬ振り。決して子どもの喧嘩に首を突っ込むようなことはしない。
なまじに、親が子どもをかばい立てするから、かえって子どもに依頼心を起こ
させ、子どもを弱い人間にしてしまう。昔の親は、そのことをよく知っていた…。
今は、近所で一緒に遊んでくれる子は一人か二人。我がままに育っているか
ら、友達は少ない。一人部屋にこもってゲームをして遊ぶか、塾通い。友達と
のコミュニケーションは、もっぱら携帯電話。
不幸にも、子育てを放棄した猿の赤ちゃん。飼育係りが親代わりに、ミルクを
与えて育てた。一人歩きするようになって、群れの中へ放した。喜んで群れに
入ったが、追い出されてしまった。集団生活の経験がない。群れのルール、
序列を無視して、餌に飛びついたからである。
これと同じことが人間社会で起きている。社会人になって、人間関係がうまく
いかず、閉じこもってしまう若者が増え、社会問題になっている。石川県には、
昨年不登校の小中学生が1,100人もいる。そういった子が成長するにつれ、
より深刻になるケースが目立つという。
スマトラ沖地震に対する世界の救援活動が、マスコミで報道されている。
五十万人が負傷し、百万人以上が避難生活を送り、二百万人以上が食料援助を待っているという。
数え切れない被災住民が、「きれいな水、食べ物、薬、シェルター」などの援助物資が届くのを待っている。
援助活動が遅滞したら、更に死者が十五万人増えるだろうと、国連は訴える。
過去、日本で災害が起きるたびに、世界各国から援助の手がさしのべられてきた。
今回の被災地は同じアジアの同胞。その上、普段でも政情不安な国々。それゆえ、救済が急がれるのです。
資源を外国に頼り、貿易立国で成り立つ日本としては、この期を逃さず、できる限り援助の手を差し伸べたいものです。
0990-53-5000
※携帯・ PHSはつながりません。 (わずか百円でも、被災国では二千~三千円の貨幣価値になります)【吉村外喜雄のなんだかんだ 第65号】
~歴史から学ぶ~
「みよ!明治の日本人のこの麗しき心」
台風で自由を失ったトルコ軍艦が、灯台の方へ押し流されてきた。灯台のある
断崖の下で「グウグウワーン バリバリ…」。船は真二つに裂けた。その瞬間
エンジンに水が入り、大爆発。この爆発音を灯台守が聞いた。
乗組員全員が海に放り出され、波にさらわれた。
真っ暗な荒れ狂う海。どうすることもできない。大波にもまれ、岩に叩きつけられ、意識を失い、
岩場に打ち上げられる者もいた。
服がもぎ取られ、裸同然であった。顔から血が流れ、全身は傷だらけ。この乗組員たちを救うには人手がいる。
灯台守は、樫野の村人に知らせようと、村に向かって真っ暗な夜道を駆け出した。
この当時、樫野には50軒ばかりの民家があった。知らせを聞いた男たちは、総出で岩場の海岸に下りた。
だんだん空が白んでくると、海面におびただしい船の残骸と遺体が浮かんでいた。
目を背けたくなる光景。村人は泣いた。遠い外国から来て、異国で死んでいく男たち。
一人でも多く救ってあげたいと頑張ったが、ほとんどは息がない。村の男たちは、
自分たちも裸になって乗組員を抱き起こし、体温で暖めはじめた。
「死ぬな!元気を出せ!生きるんだ!」。村の男たちは我を忘れて暖めた。
次々に意識が戻った。69名が助かった。
助かった人々は、樫野のお寺と小学校に収容された。村には井戸もなく、雨水を飲み水にし、
漁で獲れた魚を売ってお米に換える貧しい生活。このような村落に69名も収容されたのだから、みるみる蓄えか尽きて、
食べさせるものがなくなった。最後に残った貴重なニワトリまで、トルコの人に食べさせた。
このことが日本中に衝撃となって伝わり、日本全国から弔慰金が寄せられた。
時は移って95年後の1985年3月17日、イラン・イラク戦争の真っ只中。イラクのサダム・フセインが、
「今から48時間後、イラン上空を飛ぶ飛行機はすべて打ち落とす」と警告した。
イラン在住の日本人家族は、あわててテヘラン空港へ向かったが、飛行機には乗れなかった。
西欧諸国は救援機を出して救出していたが、当時の日本政府には、反対する声があって、民間機を出せなかった。
自衛隊の派遣は無論ダメ。
空港の日本人はパニック状態に陥った。そこへ、トルコ航空の旅客機が二機到着した。 タイムリミット一時間前のきわどい時間に、日本人250名全員救出して、成田に向け飛び立つことができた。
なぜ、トルコ航空が危険を推してまで助けに来てくれたのか? そのわけを日本政府も、日本国民も知らなかった。
95年前の日本での海難事故に際し、日本人がなしてくれた献身的救助活動は、トルコ国民であれば知らない者はいない。
その恩返しにトルコ航空が飛んできたのです。
武沢信行著「志経営のすすめ」より
スマトラ沖地震で、何百万の人たちが苦しんでいる。今こそ日本は、 そういった国々に援助の手をさしのべなければならない。平和をこよなく愛し、生活に余裕がある日本人だからこそ、 出来ることではないでしょうか。
毎月一回京都へ出かけ、哲学者で人間学の権威安岡正篤師の教学にふれることになった。
先週その第二回目を受講した。
「四書」の中の「大學」と「論語」についても、合わせて教わることができるのがいい。
■安岡正篤 【百朝集】五十八「六中観」
死中活有り 死んだつもりで頑張れば、生きる道も見出せる
苦中楽有り 苦労のないところに楽しみはない
忙中閑有り 忙しい人の方がひまを見つけて、人生を楽しんでいる
壷中天有り 現実の世俗的生活の中に自らが創っている別天地
意中人有り 理想的人物像を心の中に持っている
腹中書有り 断片的な知識ではなく、しっかりした哲学を腹の底に納めている
安岡正篤師は、平素からこの言葉を大切にして、如何なる場合も決して絶望した
り、仕事に負けたり、屈託したり、精神的空虚に陥らないよう心がけていたという。
【心と体の健康情報-141】
~子育て心理学~
「足るを知らぬ日本人、今こそ教育勅語」
以下、政治評論家 細川隆一郎氏の「だまっちゃおれん」から一部抜粋したものです。
今、日本の国は、根本から立て直さなければならない時期に来ているようです。
一つには、国内の社会情勢の不安定さがある。少なくとも日本国家は、一人ひとりの日本人によって社会が構成され、
そこに住むゆるぎない家族の絆によつて構成されている。
しかしながら、最近のマスコミ報道によると、その家族の絆が崩壊している様を、しばしば見うける。
十年以上前であったが、東京・田園調布における事件は、衝撃的なものであった。確か十六、七歳の少年が、
父親を金属バットで殴り殺すという大事件だった。あの報道に接した日本人は、親子関係がそこまで落ちたかと、
呆然としただろう。私の子供のころには、絶対考えられなかった事件であった。
今日では、親子、夫婦、兄弟の絆はボロボロになつてしまい、日々の報道がそれを知らせている。少々の事件に対して、
今の日本人は鈍感になってしまったような気がするくらい、ひんぱんに殺傷事件が起きている。
そんな今の時代だからこそ、明治二十三年に発布された、あの懐かしい「教育勅語」が必用なのです。教育勅語の中には、
次のような人間の持つべき徳目が記されている。
「夫婦相和し、兄弟仲良く、朋友相信じ、自らは他人に対し謙虚であり、学を修め、業を習い、
もって知能を啓発し…」。これを当時、小学五年生の頃に、先生から繰り返し叩き込まれたのである。
戦後、こういった教育がまったくなされなくなり、親を親と思わず、子を子と思わない様は、日本人の精神の荒廃と堕落が、
底の底まで落ちてしまったとしか言いようがない。教育勅語に掲げてある一つひとつの徳目は、人間らしく生きていくのに、
最低身に付けなければならないことであり、人類共通のものなのです。
例えば、既に崩壊してしまったが、ソビエト連邦の”学則”に、日本の教育勅語の引用があったことを、
日本の左翼の先生方はご存知ないようです。
昭和二十年、マッカーサー占領軍総司令官は、日本の学校で教育勅語を禁止する旨、指令を出した。
日教組は大賛成。政府は無策。かくして日本人は、欲望のみに生きる、倫理感の欠如した民族になり下がってしまった。
これを直すには、”足るを知る”
という精神を学ぶことにある。それによって、
少しでもモラルなき国家日本を改革しなければ、日本は国際社会の笑いもので居続けなければならない。
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