2175 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「テクノ新世・人間がゴリラになる未来」
人工知能(AI)が加速的に進歩している。
AI の技術が人類の知性を超えるレベルに達したとき、
人類の未来は大きく変わり、これを有効に運用すれば、
人類はAI に労働を代替えさせて、文化的活動にいそし
めるユートピアが実現するだろう。
一方でAI を危険視する声もある。
対話型生成AI 「チャットGPT」を巡って、生物兵器の
作り方や、効果的な犯罪の方法などを答えさせる
利用者がいた。テクノロジーの進歩に現在の倫理観が
追いついていけない。
危険なのは、人間による”悪用”だけだろうか・・
超知能となったAI と、人間の意見が一致しなくなった
ときにどうするのか?・・という大きな問題がある。
AI が賢くなりすぎることを阻止しようとすれば、
AI は人間を”排除すべき対象”と見なすかもしれない。
AI は、最後には人間の脅威になるだろう・・
人類が、自然界の覇権を握る存在になり得たのはなぜ
かを考えてみてほしい。それはゴリラなどほかの霊長類
より知的に優れていたからだ。
だが、テクノロジーが人類を支配する立場になれば、
人間はゴリラの地位に転落することになる。
AI は『不可逆的なテクノロジー』だ。一度実現して
しまったものを元に戻したり、無しにしたりはできない。
近い将来、我々は必ず『いかにAI を制御するか』
という難問に直面しなければならなくなる。
高をくくっていては、いずれ人類の価値や生命が
脅かされるリスクを抱えることになる。
日本経済新聞