2130 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「一切の失敗を許さない社会(2)」
以下は、OAK・TREE月刊誌からの抜粋です。
近頃の社会が、だんだん生きづらいものになっているよう
な気がしてならない。
その原因を考えると「一切の失敗を許さないという世間の
厳しい目」がそこにあるのではないでしょうか・・
近江出身の実業家で、第二代住友総理事の”伊庭貞剛”の
言葉に、「事業の進歩発展に最も害をするものは、青年の
過失ではなくて、老人の跋扈(ばっこ)である」というのが
ある。
事業を進歩発展させようとするならば、
経験豊かな”年老いた人”たちが、若い人たちの小さな
失敗を恐れて「これをしてはならない、あれはしていけな
い」と規制するのではなくて、、
むしろ、年老いた人たちがいつまでも指導的な立場にずっ
と留まっていることの方を恐れなければならないのです
・・といった意味の言葉です。
事業者として最も恐れなければならないのは、失敗の経験
のない人を、大きな権限を振るうことができる重要な
ポストに付けてしまうことの危うさを、感じていたからだ
というのです。
様々な経験を積んだ高齢の経営者から若い後継者の言動
を見ると、頼りなく感じられて、あれこれ言いたくなるの
でしょう。
しかしそうすると若い後継者は、自分で真剣に物事を考え
つつ、問題を自らの力で乗り越えていく・・そんな経験を
積むことなく、やがて高い地位について、大きな権限を
振るうことになってしまう。
そうなってから大失敗をすると、事業は屋台骨を大きく
揺るがせ、企業を潰してしまうことになるのでは・・
若いうちに、権限が小さなうちに、色々失敗をさせて、
そこから学び、問題を乗り越えていくことの大切さを経験
させることこそが大事であり、そのためには、年配者が
いつまでも高いポストに残留していてはならない・・
と言うのです。