2057 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「歯止めがかからない出生率の低下」
先進国23カ国の21年の出生率を調べると、
西欧の19カ国が、コロナウイルス禍で出産を取り巻く
環境が厳しい中で、前年を上回っているのです。
一方、夫婦が平等に分担して子育てする・・そんな環境が
整っていない日本と韓国は、出生率が1.3を下回り、
急速な人口減少に歯止めがかからなくなっている。
19年まで出生率の落ち込みが大きかったフインランドは、
2年連続で上昇・・21年は1.46まで回復している。
長い時間をかけて男女の格差をなくしてきた北欧では、
家庭内で家事・育児に充てる時間の男女差が少なく、
女性に負担が偏ることがない。
日本は状況が異なる・・コロナ禍で夫婦の在宅勤務が増え
る中、夫が家事・育児に加わらず、何もしない夫のケア
まで上乗せさせられる。妻の負担が増え、女性の出産意欲
が弱まる原因になっている。
更に「収入の男女格差」が少子化に影を落とす。
ここ数年、年収の低い層の子供の数が、高い層の半分以下
になった。十分な収入のない状況が続けば、出産をちゅう
ちょすることに・・
共働き世代の収入を増やせば、出生率が底上げするだろう。
先進国では、女性の社会進出が少子化の一因にされていた。
1980年代には、女性の就業率が上がるほど、出生率が
下がる傾向にあった。
最近の北欧諸国では、経済的に自立した女性ほど子供を
持つ傾向にあり、女性の労働参加率の高い国ほど出生率が
高い。
日本は女性の就業率が7割と、比較的高いにもかかわらず
出産につながらない。
家事・育児の分担への夫の無理解、女性の非正規雇用割合
の高さ、男女の賃金格差など、根本的是正に取り組む対応
と覚悟が問われるのです。
日本経済新聞