吉村外喜雄のなんだかんだ

２０４９ 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
女（男）の言い分 「黙して語らず・無駄口を叩かず」

昔から日本の男性は「黙して語らず」、無駄口を叩かない
ことを美徳としてきた・・おしゃべりな男は軽く見られた
のです。
私の父は戦地から戻った後、商いを始めて私達家族を
養った。昭和３０～４０年代は小売業の全盛期・・
商品が飛ぶように売れた。

その後、大手のほてい屋や長崎屋が商店街に進出。
私の店は次第に売れなくなり、商いを続けることがが難し
くなった。
そんな中、父は顔色一つ変えず、愚痴もこぼさす、喜怒
哀楽を表に出さなかった。三船敏郎や東海林太郎のように
、父の世代は大方寡黙だったのです。

町内の商店主がやってきて「近頃の商いはどうやいね？」
と問われると、父は「お陰様で・・」としか言わなかった。

ある時父に「どうしてお陰様で・・としか言わないの？」
と尋ねたら、
「儲からないと嘆いたり、愚痴をこぼして、儲けさせて
くれるなら、なんぼでも言おう。愚痴をこぼしたからと、
得することは何もない・・だから言わない」

誰が見ても儲かっているのに、謙遜して儲かっていない
振りをしたり、儲かっていないのに儲かった振りをするの
は・・心苦しい。
「どうやいね・・」と尋ねられたら、「お陰様で・・」と
問いかけをかわしてしまうのが、賢い答え方のようです・・