2027 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「岐路の資本主義経済」
最近「資本主義経済の終焉」が叫ばれるようになった。
岸田内閣は、成長戦略の公約「新しい資本主義の実現」を
掲げ、低迷する日本経済の立て直しを模索する。
消費者は賃金が増えないため低価格思考になびき、
企業はなかなか値上げに踏み切れない。
昨年の日本の平均賃金は約440万円で、30年間の伸び
は4%。この間米国は49%、英国も44%増えた。
バルブが弾ける前の日本は、高い経済成長で儲けを従業員
に還元して消費を促した・・資本主義の仕組みがうまく
働いていたのです。
その後の経済の低迷で、消費者の「購買力」は低下した
まま。
デジタル化が進み、高い I Tスキルを持つ一部の企業が
高収入を得る。その一方、グローバル化で国内の工場が
労賃の安い新興国に移転。
先進国日本の労働者は職を失い、賃金の上昇を阻んできた。
「金こそが人生」・・資本主義は世の中を豊かにしてきた。
その背景には、人間のあくなき欲望と繁栄からこぼれ落ち
る「貧富の格差」の影がつきまとう。
『裕福な人々は、傲慢になったり悪者になる者が多い。
貧乏な人々は、無頼の徒やけちな犯罪を犯す者が多い。
その中間層の人々が組織する国で、最も善き政治が
行われる 』
これは、現代の言葉ではない・・古代ギリシャの哲学者
アリストテレスが唱えた言葉で、中間層が主体となる国家
が理想・・と訴えている。
時代を問わず、人類の歴史は繁栄の中に貧富の格差を
はらんできた。
今日、世界のわずか2153人の裕福層の資産が、
世界の総人口の6割にあたる46億人分の資産を上回り、
世界の3分の2の国で、所得格差が広がる。
経済的格差は制御できないほどに拡大し、
「不平等、いら立ち、不満」などの悪循環を作り出している。
そんな中、ロシアとウクライナの戦争が勃発・・
世界の経済は変調をきたし、資本主義諸国の経済が危うく
なってきた。
読売新聞「岐路の資本主義」