2004 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「ゲノム技術によるマダイの養殖に成功」
世界初!ゲノム技術を利用して開発された鯛。
京都大と近畿大による研究成果を元に設立された
ベンチャー企業が、マダイ二百㌘を含む料理セットを
1万円と高額ながら、目標の3倍以上を売り上げた。
同社によると、ゲノム技術による動物食品の一般への
販売は世界初。
マダイの筋肉の成長を止める遺伝子を取り去った。
すると従来の養殖マダイと比べ、少ない餌で1.6倍まで
太った。食感は柔らかく、味は天然物にも劣らないという。
次にゲノム開発されたトラフグは、食欲を抑える遺伝子を
取り去ることで、従来の1.9倍の早さで成長。
養殖業で最もコストのかかる餌の量を、42%削減した。
植物でも動物でも、通常の品種改良は世代を重ねながら
優れた個体を選別していくため、新種が誕生して流通する
まで十年単位の年数がかかる。
このベンチャー企業は、4年で新種を世に出した。
同時にゲノム魚が外海に出ないよう、養殖水槽を海と隔て
た「陸上養殖」の技術も確立し、生態系への影響をゼロに
することに成功した。
近い将来、人口増加による深刻なタンパク質不足が予測
されるが、生産効率の高い魚の養殖技術は、世界から注目
されている。
日本の水産業は衰退の一途・・漁業従事者はこの17年間
で十万人.以上減少した。養殖を儲かる事業にすることで
、日本の水産業の衰退を食い止める救世主になることを
期待する。
日経新聞