1990 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
「さよならを言えない突然の別れ」
コロナ禍のなか、ある日突然訪れる「さよならの言えない
別れ」。人生の最後、この世の最後に、大事な家族や
愛する人たちとさようならが言えない・・
昨年3月末、喜劇役者の志村けんさんが亡くなった。
突然、降って湧いたように訪れたコロナによる死亡です。
発病して直ぐ病院に隔離され、面会も付添いも、臨終に
立ち会うことも、別れの言葉を掛けることも出来ないまま
、納体袋というビニールに包まれて霊安室に運ばれる・・
火葬場での別れも許されない。
そんな遺族の嘆きが、お茶の間に飛び込んできたのです。
私の母は、ある日突然余命半年を告げられ、癌で亡くな
った・・本人も家族も「その時」が来るまで、緩和ケアを
受けながら、十分にお別れする時間があった。
人生の最後に「さようなら」が言えないものに、
東日本大地震のような突然の災害、地下鉄サリン事件、
1985年の日航機など不慮の事故、交通事故・・
更に、私の父親の時代には戦争があった。
家族のもとに返ってくるのは、本人のものとは確認でき
ない骨壷だけ・・「さよならの言えない別れ」に、
遺族はやり場のない喪失感に襲われるのです。
私の兄夫婦は、長男がアメリカに留学した2日目に、
不慮の事故で亡なった。30年を経た現在も、我が子の
死のショックから立ち直れないでいるのです。