1957 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「猛威を奮ったスペイン風邪から学ぶ」
新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を奮っている。
そこで、百年前に猛威を奮ったスペイン風邪が大変参考に
なるのです。
スペイン風邪の第一波は1918年、「春の先触れ」と
呼ばれ、感染の波は低く、死者も少なかった。
このあたりが、今回の新型コロナに似ている。
更に似ているのが、その年の秋変異株が生まれて、
一気に感染力が強まったことです。
翌年、19年の春にかけて第二波が来た。都市部から
郡部へと猛烈に感染が広がり、大量の死者が出た。
この感染の広がりで、かなりの国民が免疫を得た。
そのため、次に来襲した19年暮~20年春の「後流行」
の感染者数は「前流行」ほど多くはなかった。
しかし山間部など、まだ感染が少なかった地域や、
これまで感染しにくかった人々が感染した。
感染者が少ない割に、死亡率は高かったのです。
最終的に国民の1%、約56万人が死亡した。
生き残った国民が、自然感染によって免疫を得た結果、
スペイン風邪は終息した。
日本は今、新型コロナの変異株によって、一気に感染力が
強まり、感染者が急増している。都市部から地方へと猛烈
に感染が広がっていく上り坂の過程にあるのです。
古典的だが、マスクの着用と手洗いの徹底、三密を避け、
未知数だが、ワクチン接種で対抗していく以外に打つ手は
ないのです。
読売新聞・磯田道史「古今をちこち」