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仏教の教え・寓話/信頼

1923 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「仏教の教え・寓話/信頼」

昔々、インドのとある森の洞窟に、ライオンとトラが棲ん
でいました。ぞばにジャッカルが、2頭の食べ残しで命を
つないでいました・・
食べ残しとはいえ、けっこうなご馳走でした。

それまで、あばら骨が突き出たお腹を抱えて、森をさ迷っ
ていたジャッカル。洞窟に来てからは空腹の不安も消え、
今までの自分を忘れかけていました。
食べすぎて膨らんたお腹をさすりながら、ライオンの横に
寝そべって、ふと思った・・

「ここに来てから毎日がご馳走攻めだ。ずいぶんといろん
  なものを食べたなァ・・鹿に猪にガゼル、シマウマもうま
  かったなァ・・そういえばライオンと虎はまだだ・・
  さぞかしうまかろうな。よし、名案があるぞ!」

ジャッカルは虎が留守の時にライオンに言った。
「この前、旦那様が留守の時に、虎がこんなことを言った
  んですよ・・『ライオンが森の王様なのは、この俺さまが
  賢いからさ。実際は俺さまの方が何倍も強いんだ』とね」

ライオンは低くうめいて言った・・「あいつはそんなことは
言わない・・不愉快だ。お前なんか出ていけ」

ジャッカル、次に虎のところに行って言った・・旦那様、
ライオンが言っていますよ!『虎のやつめ、この洞窟で
俺さまより強いなんて、図々しいやつだ』とね・・

「バカも休み休み言え!そんなこと言っていない。
  いい加減なこと言うと許さんぞ」
そう言ったものの虎は気になって、ライオンに尋ねた。

「そんなこと、お前さん言ったのかい?」
「長年助け合って暮らしてきた者より、昨日今日おこぼれ
  にすがってやってきた者の、言うことを信じるのかい?」

虎もライオンも、一瞬相手を疑ったことを詫びて、
一層仲良く暮らしたという・・
ジャッカルは、2度と洞窟に近づくことはなかった。

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