1904 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「コロナ後の企業戦略/ジョブ型の導入(2)」
ジョブ型は、曖昧になりがちだった業務の内容を
「明確に定義する」ところから始める。そこで作られるの
が「社員1人ひとりのジョブ・ディスクリプション(職務
記述書)」です。
例えば、営業のA社員に会社が求める最も重要なジョブは
「新規顧客の開拓」。
活動内容、条件、目標値を”5段階”に分け明文化する。
上司はA社員と面談して、評価基準のジョブを作成し、
明確にしていく。
5千万~1億円/評価1~3、1~5億円/評価4~5
とし、その目標値と報酬は、本人にとって妥当なものか
どうか・・社員の合意を得て、初めてジョブが成立する。
部下に的確なジョブを与えて、いかに能力を引き出して
いくか? 上司もまた、管理者としての能力が試され、
評価されるのです。
そのためには、管理職を対象としたレベルUP研修が
必要 になってくる。
研修では、成果を出せなかった部下に、厳しい評価を
どう伝えていくか・・評価の根拠を、社員が納得するよう
言語化し、伝えていかなければならない・・
研修では、それを上司役と部下役に分かれて模索する。
大手企業は、能力のある社員を増やす一方、評価の低い
社員や管理職を選別し、断行していく。
企業体質強化を目的とした、ジョブ型経営にシフトしてい
くのです。
熾烈な企業間競争に負けない、強靭な企業体質を目指す
のは当然だが、部下から、成果だけがすべての冷たい職場
と思われない、社風づくりを心がけなければならない。
コロナ禍の今、成果重視のジョブ型の導入を取り入れるべ
きか、否か、日本の企業は大きな岐路に立たされている。
この新たな人事制度は、職場をまったく新しい企業風土の
組織に、変えていこうとしているのです。
KDD Iはジョブ型導入後、35%比率の幹部社員を
25%未満に適正化し、ふるいにかけていくという。
寄らば大樹の陰と難関の大企業に入り、出世街道を駆け
登ってきた管理職が、受難の時を迎えようとしている。