1867 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「人類はウイルスを取り込み、新化してきた」
新型コロナウイルスの感染源といわれる”コーモリ”
人類の感染症の6割に、野生動物が関わっているという。
人間と野生動物は、何十億年棲み分けてきた。
20世紀以降の森林伐採や地球温暖化などが、
新しいウイルス発症の原因になったと考えられている。
自然開発が急速に進み、温暖化で北極の氷が溶け出して
いる。氷の中に私たちが全く知らないウイルスがどれだけ
いるのか・・見当もつかない。
今後、どんな感染症が現れてくるのか、想像できないのです。
人間が、棲み分けてきたウイルスの領域に、不用意に入り
込み、人間社会に持ち込んだことに起因している。
ひっそり生きていたウイルスの領域を、侵してしまったの
です。
そもそも”ウイルスに打ち勝とう”という考え方が間違って
いる。自然と付き合う時、恐れと敬意を忘れず、慎み深く
あらねばならない。
人間が持つ全遺伝子の半数が、ウイルスに由来している。
一例をあげると、哺乳類に欠かせない胎盤は、ウイルスが
関わることで新化してきた。
かって、私たちの祖先は卵を生むことで子孫を残してきた。
約1億6千万年前、ウイルスに感染した祖先・・
体内に入り込んだウイルスが、自らの遺伝子を人間の子孫
を残す生殖細胞に入り込み、胎盤を形成した。
胎盤が発達したことにより、哺乳類は厳しい生存競争を
生き伸びることができるようになった。
ウイルスを体内に取り込むことで、新化してきたのです。
感染症は、人類にとって身近な病気なのです。
NHK「こころの時代」より