前号で、妻が夫にどのような答えを期待したのか?
以下、その答えになっているでしょうか?
妻『武史が寝てしもうて、寝かそうとする。
そしたらあんた・・僕がヤル・・言うやん。
何かあるごとに、夫の優しい言葉・・それって嫌み!
優しければ優しいほど、責められているような気に
なるねん。
だから、そんなことせんでエーねん・・
「何か手伝うことないか?」くらいでエーねん。
そしたら布団でも敷て・・ッて言うから。
それでエーねん 』と・・
1783 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
男の言い分、女の言い分
「男女の意識のズレが夫婦喧嘩に(2)」
妻が夫との会話を不毛に感じるのは、「妻の身に起こった
ささやかなこと」を夫が受け止めようとしないからです。
すでにケリがついたはずの過去の失敗を、まるで昨日起き
たことのようになじる妻・・女性の脳は、過去に体験した
記憶に”感情”の見出しをつけて、脳に収納している。
これは、女性が子育てのために備えておかなければなら
ない、大切な能力なのです・・
子育ては常に「新しい難題」に直面する。何億年にわた
り引継ぎ、培ってきたこの遺伝的能力は、過去の記憶を
総動員して、瞬時に答えを出す機能を備えるようになった
のです。
「子どもが熱を出した・・熱があるのに顔が青ざめている。
これはいつもと違う・・救急車を呼ぶべきか? 」
母親は、これまでの体験を思い返して、現在の状況を確認
する。そして、事例が長女の時と同じか、ママ友から聞い
た体験談、さらに自身の幼い頃の記憶まで総動員して、
どう対処すべきかを即時に判断するのです。
1つの出来事をきっかけに、過去何十年、脳に仕舞われて
いる類似の見出しにフックをつけて、生々しい臨場感を
伴ってよみがえらせるのです。
そんな時夫は「何をどうすればいいのかわからない」
妻が女友達と話しているのを聞いていると、
「そうそう、わかるわかる」と相槌を打っていることに
気づくだろう。
妻友の一人が・・
「駅の階段でつまずいて、転びそうになったの」
『え~怖い!先の細いパンプスだと、引っかかるよね~』
『わかるわ~あぶないよね~』と口々に言い交わしている。
そのうち、なんの脈絡もなく、昨日行ったレストランの話
に移っている・・男性は、こういう会話が理解できない。
「階段でつまずいて、転んで怪我をした話」ならわかる。
だが「つまずいて転ばなかった話」をする意味が理解
できない。
会話の主目的に”問題解決”を求める男性脳は、
その程度の会話に、盛り上がる意味がわからないし、
オチのない会話は苦痛でしかない。
できることなら「そんなかかとの高い、つま先の
とんがった靴を履くのを、やめるべきではないか」
と、アドバイスの一つもしたくなるところだ。
黒川伊保子著「妻のトリセツ」より