1742 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「禅の教え/いのちをいただく」
禅寺の食事は「うん版」を鳴らして知らせる。
僧侶は、各自食器(持鉢)を持って本堂と転座を
つなぐ廊下に集まり、向かい合わせに座る。
食事の前にそろって「食事五観文」の経を読み、
持参した持鉢を並べる。
〈 食事五観文 〉
・一つには 功の多少を計り彼の来処を量る
米や野菜は、托鉢で苦労して集める。出された食事
を有難く噛みしめて、頂かなければならない。
・二つには 己が徳行の全闕(ぜんけつ)と
忖(はか)って供に応ず
自分は食事をするとき、徳を積んできたかどうか?
食べる資格があるかどうかを自問する。
・三つには 心を防ぎ過貪等(とがとんとう)を
離るるを宗とす
出された食事に好き嫌いをしたり、量が少ない
と不足を思わず、与えられた食事を感謝し有難く
頂く。
・四つには 正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)
を療ぜんが為なり
食事を頂くことで、健康な身体が作られることを
しっかり自覚する。
・五つには 道業を成ぜんが為に応(まさ)に
此の食を受くべし
食事はすべて、わが身が仏法を体得し、人々の
お役に立つ人間になるためのものである。
食器の扱い、置き場所、食べ方に、厳しい作法があ
る。食事中、音を出すまいとしても、音は出てしま
う。それでも、音が出ないように食事をする。
音を立てたり、言葉を発することは禁じられている
。それは周りを気遣うためではない。
地獄・餓鬼・畜生のようなあさましい食べ方をしな
い、戒めなのです。
正眼寺住職・山川宗玄禅師