1738 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「座禅(3)・・調心」
座禅には三つの要素があります。身体が整っている
「調身」、呼吸が整っている「調息」、心が統一
されている「調心」・・身体と呼吸と心です。
〈 雑念を消す 〉
呼吸を整え、吐く吸うに集中していても、雑念が次
から次と湧いてきます。
雑念が湧いたら、「いかん、いかん」と雑念が湧い
たことに気づき、無に集中する。そのうちに消えて
いきます。これを「覚する」といいます。
〈 一寸座れば一寸の仏・・調心 〉
線こうが一寸燃え尽きる時間(約5分間)の座禅、
このわずかな時間でもしっかりやれば一寸の仏にな
る。座禅とは、外も内も静まりかえった状態です。
座禅の”座”には、座るの他に「居ながら」の意味
がある。座禅を行っている時、周りで何が起っても
心が千々に乱れることがない・・それを”座”とい
う。
以前、民放テレビで高僧が座禅を組み瞑想している
。その前を白虎隊が、ピーヒャラドンドン鼓笛を
鳴らして、騒々しく通り過ぎていく。
高僧の頭に取り付けられた脳波測定器は「ツー」と
一直線。外部のけたたましい雑音にまったく反応し
なく、惑わされることもなく、乱れがない。
隣に並んで座禅を組んでいる、アナウンサーの脳波
は、白虎隊が近づくにつれ、大きく波打ち乱れてい
る。
座禅の”禅”とは、外部だけでなく内なる心も乱れ
ることなく、静まりかえる状態で、それを”禅”と
いうのです。
しかし、座禅は心を整えることが目的ではない。
多くの仏像が座禅の姿で座っているように、座禅
そのものが仏の世界になるので、そこにスーと自分
を溶け込ませて、座禅が座禅をするのです。
手足の感覚も胴体の感覚も、首から上の感覚も
なくなり、座っている感覚もなくなっていく。
無重力の宇宙空間に、ポツンと浮かんでいるような
感覚になり、自然と一体になっていく。
長年修行を積んだ僧のみが至る世界なのです。
正眼寺住職・山川宗玄禅師