1705 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「尾山神社の菊桜」
兼六園・霞ケ池の脇に植えられている二本の菊桜の若木
は、国の天然記念物に指定されている大変珍しい桜です。
第一の特徴は、三百枚を優に超える花弁を付けることで
す。二つ目の特徴は、開花から落花までの間に、花の色
が3回変わることです。
初めは深紅、咲き始めると薄紅になり、落花の時は白く
なります。最後は、花びらが一枚一枚散るのではなく、
一塊になって落花します。
満開は、ソメイヨシノより2週間くらい遅い4月下旬で
、5中旬まで残花を楽しむことができます。
兼六園の菊桜は「御所桜」と言われ、江戸時代後期に
京都御所から加賀前田家下賜されたもので、昭和3年
に国の天然記念物に指定されている。
昭和10年頃積雪で折れた枝を、当時の園長田中大三郎
さんが、涌波町の農家に接ぎ木を依頼して、大切に育て
た。
その後、育てた菊桜の枝を、笠舞町の友人、西野さんの
庭の山桜に接ぎ木した。
更に昭和59年、西野さんの菊桜を、池内さんが譲り
受けた。70年の間、名木はリレーのように受け継がれ
、大切に守り抜かれたのです。
池内さんは、育てた2本の菊桜を、前田家の歴代藩主を
奉斎する尾山神社に寄進した。
尚、兼六園の菊桜は昭和45年に枯れ死。
現在、兼六園にある菊桜は、枯れ死直前に京都で接ぎ木
され、育てられた2代目です。