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伊庭貞剛の経営哲学(2)

※参考
2017年6月1508号 「別子銅山跡を歩いて」   
                         1509号 「伊庭貞剛の名言」

 

1674 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「伊庭貞剛の経営哲学(2)」

伊庭は明治27年の日清戦争勃発の年に、労働争議と
煙害に揺れ動く新居浜の地に、その問題解決の使命を
帯びて着任した。

赴任から僅か5年の間に、労働争議を解決し、煙害に
ついては精錬所を瀬戸内海の島に移し、ハゲ山になった
別子の山に、年間100万本に及ぶ大規模植林を行い、
山に緑を取り戻していった。

赴任中、鉱山が抱える様々な課題を次々解決した、
果断の経営者なのです。
伊庭は、重大な事を為すときに、以下「考慮すべき四つ」
があると、言葉を残している。

「 熟慮断行では足りない
     熟慮祈念放下断行が必要だ 」

『熟慮断行だけでは足りぬ。熟慮と断行の間に”祈念”
と”放下”の二つがなければならぬ』とよく言っていた。

彼は熟慮した後、断行しようとする際には、必ず住友家
の墓前に額ずいて報告し、祖先の霊に断行の可否を懇祈
した。
その後、すべての思量を断ち、一切放下して、念頭から
すべてが去るのを待った。

このあと、明鏡止水になった時、もう一度事の当否を
検討し、結果、いよいよこれが最善の策と確信を得た
段階で、初めて敢然とこれを実行した。

一般に「熟慮=理論」「断行=実践」のみで済まされる
が、この間の「祈念」「放下」の二つが欠けているため
に、しばしば間違った決断を下してしまい、事を仕損じ
てしまうのです。

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