1670 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「今年、重さの定義が変わります」
2019年、重さの単位(キログラム)の定義が
130年ぶりに変わります。
昔の人は、身近な身体や植物を基準値にして、長さを
測った。
戦後間もない私が子供の頃は、まだ「m」ではなく、
親指と人差し指を広げた長さで測る「尺と寸」でした。
そして足袋は、足の大きさで長さを測る「紋」でした。
19世紀、西欧では外国との交流が盛んになり、
世界共通の単位が求められるようになった。
1791年、フランスは長さの基準を、北極と赤道を
結ぶ子午線の千万分の1を「1㍍」とした。また、
水1㍑の重量を「1kg」とする重さの基準を定めた。
変形しにくい白金とイリジウムの合金でできた物差しを
「㍍原器」とし、重さの基準「kg原器」と共に、複製を
各国が保管して使った。
しかし「㍍原器」は温度の差で微妙に膨張した。
「kg原器」も100年の間に微妙にズレが生じた。
最新のナノテクノロジーに許容できなくなったのです。
そこで1983年、1メートルの定義が見直された。
「光が真空中を2億9979万2458分の1の間に
進む距離」を1㍍としたのです。
そして今年2019年5月20日から、重さの単位
(キログラム)の定義が130年ぶりに見直されること
になった。
精密な測定技術の登場で、可能になったのです。
なお宝石については、粒がそろったイナゴ豆の
重さで計測する「カラット」を使用する。
日本経済新聞