1649 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
幸せな人生 「才と徳(2)」
タクシーに乗ると、運転手によって乗り心地が大いに
違うことがあります。挨拶の仕方、返事、顔つき、態度
などから発する雰囲気が、皆違うのです。
それは、運転手の”人柄”からにじみ出てくるものが
違うからです・・それが「徳」というものです。
才を磨いて二種免許を取り、タクシー運転手になり生活
の基盤を作り、収入を得て家族を養っていく。
生計を立てるには、世の中に役立つ「才」の能力が必要
になってくる。
その「才」を発揮し、お客様と長くお付き合いいただく
ためには、「徳」を身に着けることが必要になってくる。
「人は才がなければ生きられない。
しかし、徳がなければ生きている価値がない」
人に使われ、部分的な仕事をしている平社員のときは、
才を磨いて成果を出すだけで良いのですが、管理職に
なり人の上に立つと、才のみでは勤まらない。
組織をまとめ、一丸となって総力を発揮するためには、
徳のリーダーが必要になってくる。部下の才は、徳の
ある上司のもとで初めて、能力を発揮するのです。
企業や組織は、才人が組織を支え、徳人がトップに立つ。
徳と才は陰と陽の関係にあり、徳人は才人を好み、
才人は徳人に引かれる。
両者が同じ目標に向かって進むとき、企業や組織は発展
する。
創業期・動乱期には、時代の変化に適応しながら改革
を進める”才人”が組織をけん引し、安定期には、組織
の安定拡大をもたらす”徳人”がリーダになって、組織
をまとめていく・・
動乱期の幕末に才人が活躍し、明治の新政府では徳人が
能力を発揮し、国を治めたように・・
谷崎利男「日本人の誇り」より