1599 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「兼六園の菊桜」
「兼六園菊桜」がそのまま品種名になった、全国で
兼六園にしかない珍しい桜です。
江戸時代後期に京都御所から前田家に下賜され、
昭和3年に国の天然記念物に指定されている。
昭和45年に枯死したが、原木が枯れる前に桜守りの
佐野藤右衛門さんが枝を接木、育成したものが
兼六園で2本植え戻されている。
それ以前昭和10年頃、積雪で折れた枝を、当時兼六園
の園長・田中大三郎さんが、笠舞町の西野さんの山桜に
接木して成功。
70年間守り育ててきた2代目菊桜2本を、前田家
ゆかりの尾山神社に寄進した。
希少品種の菊桜、兼六園の霞ヶ池の横の2本だけと
思っていたら、尾山神社にも兼六園とは別の人の努力で
同じ原木から接木した二代目桜が2本、植えられている
ことをつい最近知ったのです。
「兼六園菊桜」の特徴は、花弁の枚数が300枚を
超えることと、開花から散るまでに、花の色が深紅から
薄紅へ、落下のときは白く、3回色が変わることです。
散り際のソメイヨシノのように、花びらが風にひらひら
舞うのではなく、300枚の花弁をつけたまま真下に
ボトンと落ちる。
花期はソメイヨシノが散った後に遅れて、八重桜と
同時期に咲き、5月上旬まで花が楽しめます。