1469 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「38豪雪」
今年の冬金沢に積もった雪は約10センチ、昔と比べ
たら信じられないくらい、降らないし積もらなくなった。
昭和56年の”56”豪雪を境に、30センチ以上積も
って除雪車が出動した年は数えるほど。
豪雪地と言われる北陸に雪が降らなくなったのです。
金沢の豪雪といえば、昭和38年の38豪雪でしょう。
その年私は21歳・・勤めていた会社を辞め、志も新た
に、東京に出ようと決めていた時です。
1月12日寒波がやってくる日の夕方、久しぶりに高校
の学友を訪ねて酒を酌み交わし、時間の経つのを忘れて
談笑した。
夕方、友人の家に向かう頃の積雪はまだ10センチ程。
夜も更け、12時頃友人の家を出て・・びっくり!
わずかの間に30センチを超える雪が積っていた。
風もない不気味に静まり返った夜空から、絶え間なく
雪が降ってくる。さらさらと砂時計の砂のように積って
いく・・うわぁ~寒波がやってきた。
その夜から猛烈な寒波が北陸を襲い、10日後の22日
には積雪1メートルを超え、鉄道も国道もすべて不通に
なった。
連日零℃を下回る猛烈な寒さで、市内は完全にマヒ。
繁華街の片町から犀川大橋に向かう、普段なら何でもな
いゆるやかな坂で、路面が凍って車がスリップ空回り。
降りしきる雪の中、懸命に車を押す人の帽子がパリパリ
に凍っていたのを記憶している。
27日ついに積雪181センチに。過去の観測記録を
更新した。市内はすっぽり雪に埋もれ、市民の活動は
停止し、混乱状態に陥った。
道路巾の狭い旧市街・・2度3度の屋根雪下ろしで一階
はすっぽり雪に埋まり、玄関まで穴をほって階段を作り
降りなければならなかった。
食料品店はすべてからっぽ・・食料不足に陥った。
水道管は凍って破裂し、断水。
凍り付く寒さの中、市民は雪かきに追われた。
困ったのは、いつもくみ取りに来るお百姓さんが来ず、
便所が汚物でいっぱいになった・・家庭用浄化槽がまだ
なかった時代です。