■原油安、財政悪化の焦り
12日ニューヨーク市場の原油先物相場は、
03年以来12年ぶりに1バーレル30ドル
を割った。中国の景気減速に伴う原油の供給
過剰が相場に影響した。 北国新聞
イラン核合意で、イラン産の原油が市場に流
れ、原油安が一層進むことで、サウジは財政
悪化を懸念している。
サウジは、イランの国際社会復帰を最小限に
抑え、原油安を食い止めたい狙いから、宗派
対立激化を招く処刑を、あえて実行した。
昨年一月、アブドラ前国王の死去後、即位し
たサルマン国王の外交政策に、強硬姿勢が
目立つようになった。
1/5 読売新聞
1345 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「スンニ派とシーア派」
イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジアラビアが1月3日、シーア派イランとの国交を断絶したニュースは、世界に衝撃が走った・・
サウジによる2日のシーア派指導者の死刑執行をきっかけに、テヘランのサウジ大使館襲撃放火と、両国の対立 は決定的に・・中東情勢の混迷にまた
一つ大きな難題をもたらすことになった。
イスラム教のスンニ派とシーア派・・
どこがどう違うのか?
シーア派は、預言者ムハンマドの血筋にこだわり、
娘婿とその子供を後継者とする宗派。
一方のスンニ派は、直系血筋にこだわらず、
聖典「コーラン」などムハンマドの教えを信仰する。
7世紀に起きた、ムハンマドの後継者争いが引き金に
なって、袂を分かった両派。
イスラム教徒は、大多数がスンニ派・・サウジアラビアを中心とした、アラブ連盟20ケ国はスンニ派が多数を占め、シーア派は何れの国も10~15%と少数派だ。
イランは95%が、イラクは60%がシーア派で、
シーア派が多数を占める国はこの2ケ国のみ。
イランは、16世紀に国教に指定した。
サウジとイランは、長年に渡って覇権を争ってきた。
イランは、アラブの国々の少数・シーア派を扇動
して、破壊を伴う敵対的介入を続けてきた。
イラクは、スンニ派が主体だったフセイン政権が
失脚した後、シーア派主導の政権に代ったことで、両派が 激しく対立するようになり、テロによる寺院爆破など、多数の犠牲者を出している。
「アラブの春」では、シーア派の権利拡大が強まったことがサウジを不安視させ、今回の死刑執行の
原因になっている。
2011年に勃発したシリアの内戦では、アサド
政権をイランとロシアが、スンニ派の反体制派を
サウジとアメリカが支援している。
両派の対立が、スンニ派の過激派組織「イスラム国」の勢力拡大・伸長を促し、中東情勢の混迷に
拍車をかけている。
1/5 読売新聞