六代目・桂文枝(三枝)の弟子に、
カナダ生まれの噺家がいる。
日本の古典芸能”落語”に魅せられ、
桂三輝(サンシャイン)の芸名で目下修業中。
創作落語に「寿限無」など古典落語を英訳し
、世界各国を巡業して歩く異色の存在です。
1266 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~ことば遊び~ 「落語・真田小僧」
落語に登場する”悪ガキ”・・何れも、度の過ぎたいたずら小僧だったり、やたらマセた子供だったりする。
今日の噺の悪ガキは、隣の親父に、母親の不倫を匂わせ・・ 気をもたせて金をせびり取る下りなど・・ 子供のこすっからさは相当なものです。
♪いつの代にもいる悪がき・・大人の上をいく、知恵の巡りが小気味よく、 ああ言えばこう言うで、親をへこましてばかりの子供です。
今日もおとっつぁんに小遣いをせびり、『ダメだ』と言われると、
おとっつぁんの留守中に、隣の吉兵衛さんが家に上がりこんで、
「おっかあと差し向かいで・・」と、見てきたような話をするので・・
親父はつい「噂になって広がっても困る」と気になって、
話がとぎれる度に、もう一銭、もう一銭と銭をせびり取られ・・
オチは「おっかあと差し向かいで・・おならをしました」
悪ガキが逃げてしまうと・・夫婦で
『末恐ろしい餓鬼だ!今に盗賊になるかもしれない・・』
と嘆くことしきり。
それに引き替え・・あの真田幸村公は、栴檀は双葉より芳ばし。
十四歳の時、父真幸に付いて、天目山の戦いに初陣・・
大勢に取り囲まれて、真幸が切腹の覚悟をした時、
せがれの幸村が「自分に策があります」と申し出た。
敵の松田尾張守の旗印・・永楽通宝の六文銭の旗を立てて、
敵陣に夜襲をかけ、混乱させて同士討ちを誘い、見事に勝利を納めた。
それ以来、真田の定紋は二つ雁から六文銭になった・・
そんな故事を親父がお袋に話し・・
「あんな奴は幸村どころか、よくいって石川五右衛門だ・・」
と言っているところへ、悪がきがご帰宅・・
いつの間にか盗み聞きしていて、「おとっつぁん、六文銭てどんな紋?」
『うるせえ餓鬼だ・・いいか、こういうふうに銭が2列に並んでいるんだ』
「あたいにもちょっと貸して・・」
銭を数えるふりをして「わ~い・・も~らった、もらった」
と、かすめ取って逃げていく。
『あッ、また親を騙しぁあがった・・やい、それを持ってどこへ行くんだ』
「焼き芋買ってくるんだ!」
『う~ん、ウチの真田も薩摩へ落ちたか・・』
***************************************************************
※オチの意味は、豊臣秀頼が大阪夏の陣で自害せず、真田幸村
ともども薩摩に落ちのびた・・という伝説を採り入れたものです。
落語あらすじ事典「千字寄席」