■江戸小噺
「どうしてもその女郎と手が切れないという
なら、親子の縁を切るから出ていけ」と言わ
れて、家を飛び出した息子が、好いた女郎に
ありのままを話すと・・
「そんなら約束どおり、一緒に死んでおくれ」
持ちかけられた息子、「いや」とも言えず、
仕方なく枝ぶりのよい木を見つけ、いよいよ
首をくくることになった。
男は、自分の縄は締まらぬように工夫して首
にはめ・・「それでは、お先に・・」と、踏み台の
石をはね、七転八倒の末に死んだようになっ
てしまった。
それを見ていた女郎は、死ぬのが急に怖くな
り、そ~ッと首の縄をはずして、逃げ出そう
とすると・・死んだはずの男、薄目をあけて・・
「おいおい、それは俺の草履だ」
山住昭文「江戸のこばなし」
1232 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「専業主婦の無償の労働を給与に換算したら・・」
夫が妻に「食わせてやっている」と暴言を吐いたとしたら・・
とんでもない!
以前から気になっていたのですが、専業主婦の家事・育児などの無償の労働を、給与に換算したら、夫はどれだけの給料を支払う必要があるだろうか?
「無償の労働」は、炊事・清掃・洗濯・縫い物・育児・買い物・雑事など、
365日休なしの労働が、専業主婦に課せられる。
この価値を内閣府は、家事を人にまかせて、働いて得られたはずの賃金に換算してはじき出した。
「専業主婦」の年収は304万円になる・・その内訳は炊事116万円、
清掃46万円、育児43万円、買い物40万円。
次に「兼業主婦」の家事を賃金に換算すると223万円になる。
その内訳は炊事93万円、買い物32万円、清掃31万円、育児24万円で、買い物が清掃と育児を上回っている。
女性のパート労働者の平均年収は、40代後半で112万円、この数字を上乗せすると、兼業主婦は335万円の労働をしていることになります。
専業・兼業ともに、労働時間は育児の多い30代前半でピークとなり、
その後は徐々に減っていく。
金額では、専業主婦は30代後半、兼業主婦は40代前半がピークになります。男性の場合は、50代後半から労働時間が増え、80代が最高でになる。
妻と死別するなどして、必用に迫られて家事をする姿が浮かび上がってくるのです。
中日新聞