■江戸小噺「さいわいの早桶」
ある男が、湯につかり過ぎたのか、気を失っ
てのびてしまった。
驚いた家人が、近所の藪医者を呼びにやると、
、駆け付けた先生、男を湯につけたまま脈を
とり・・
「風呂桶の栓を抜いて、湯を出しなされ」
と言うので、家人が言われるままに栓を 抜き、
「湯は全部出しました」と言うと、藪医者先生、
おもむろに立ち上がり・・
「よしよし、そんならそのままフタをして、
墓まで担いで行きなされ」
山住昭文「江戸のこばなし」
1176 【食と健康】
「家庭医学のウソとホント!?(2)」
医学の世界は日進月歩です。そのため、これまで信じてきた家庭医学の常識が覆ることもあります。
しかし、その進歩がこれまでの常識に埋もれてしまい、間違った知識が、あたかも正しいことのように行われているのです。
■家庭医学のウソとホント!?
[5] 鼻血が出たら上を向く
鼻血が出てたれてくると、服などの汚れを気にして、つい上を向いて、
血が止まるまで上を向いたままにしがちですが、鼻血が鼻の奥に入り、食道に流れてしまいます。
血液を呑みこむと、胸やけや吐き気が起こるため、鼻を下に向けるようにします。
正しい鼻血の止め方は、出血している鼻に丸めたティッシュを入れ、
5~10秒指で軽く鼻をつまみます・・首をトントン叩いても、止血効果はありません。止血が止まらない時や、何度も出血するときは、病院で診てもらうことです。
私にも、たびたび鼻血が出て、止まらないことがあった。
耳鼻科で診てもらい、鼻の中の原因となる毛細血管を電気メスで焼いて、出血ケ所を塞いでもらった。
■家庭医学のウソとホント!?
[6] すり傷は、まず消毒する
すり傷の手当は、まず傷口を消毒して絆創膏を貼るのが一般的・・
その当たり前の処置が間違っているのです。
傷口にバイ菌が入って化膿するのを防ぐため、消毒は欠かせないとされてきました・・傷口に付いた汚れをきれいに洗い流しさえすれば、化膿の心配はありません。
痛みを伴いますが、ガーゼやタオルで砂などの付着物をしっかり落とし、温潤療法用の創傷被覆材を貼ります・・被覆材の交換は毎日行い、水道水で傷口を洗ってから、張り替えます(夏場は一日に2回)。
■家庭医学のウソとホント!?
[7] 睡眠は、8時間以上とる
よく理想の睡眠時間は8時間と言われますが、医学的な根拠はありません。
各国で研究が為された結論は、最も寿命が長いのは、6.5~7時間の人が最も肥満になりにくく、それよりも長くても短くても、肥満度が高まると報告されています。
ちなみに私の睡眠時間は、10時半に寝て、朝5時に起きるのが習慣になっている・・6時間半です。
■家庭医学のウソとホント!?
[8] 突き指は、引っ張って治す
突き指は、指が物に当たったとき起きますが、大変痛いので、つい引っ張ってしまいます・・これは逆効果です。
無理に引っ張ると、険靭帯をさらに痛めてしまいます。
整形外科で、突き指を引っ張って治療した人もいるでしょうが、骨折れや脱臼があった場合の整復のためです。
突き指をしたときは、指を固定し、冷やしてやるようにします。
金沢大学付属病院「バランス生活実践新聞/第19号」