■釈迦の出家
釈迦は出家した後、すぐさま1人森に入って、
樹の下で打坐をして、仏陀になった分けでは
ない。
出家後、釈迦がまず試みたのは、都会に出て
高名な師を探し、その指導を受けて、宗教的
探究の方法を学ぶことだった。
本人の望みが叶い、教えの究極を極めたが、
満足できなかった。
次に六年間過酷な苦行に励んだが、身心を
極度に消耗するのみで、これも放棄した。
釈迦はふと、幼いころ自発的に樹の下に坐っ
たことを思い出し、「これこそが覚りへの道に
違いない」と確信した。
体力・気力を整え、近くの河で沐浴して身を
清め、大樹の下に坐った・・
これが「樹下の打坐」である。
樹下に打坐した釈迦・・何か目的・方法が
あって、それを試みたわけではなかった。
手引書も指導者もいない・・いわば、まったく
”お手上げ”の状態での、素手の座り込みだ
ったのです。
藤田一照・曹洞宗国際センター所長
1163 【心と体の健康】
~幸せな人生~ 「釈迦の教え/中道」
私たちは、人生いろいろな場面で提示された”選択視”から、いずれか一方の道を選んで人生を歩み、今日に至っている。
例えば社会に目を向けると、憲法・原発・死刑存廃・米軍基地など、数え上げればきりがない大切な課題について、二者択一的発想で、「あなたはどっち?」と選択を求められる。
どちらか一方の側に立ってもう一方を批判し、否定したなら・・
どこまでいっても相いれず、平行線になってしまうだろう。
両者の言い分をよく聴きわけ、その上で自分はどう考えるのか?
どの方向に進めば良いのか・・よく見極めてから行動することです。
釈迦は王族の生まれ・・豊かな環境にありながら、それを棄てて出家し、過酷な苦行の道を選ばれた。 苦行の末悟りを得て、どちらの考えでもない”中道”への進み方を選び取られたのです。
悟りを開いた後、釈迦は「中道」「縁起」「四聖諦(ししょうたい)」「八正道(はっしょうどう)」の四つの真理を説いて、インドを説法して歩いた。
[中 道]
何事も両極端はよくない・・ほどほどがよい。
[縁 起]
水がこの世になかったら雨は降らない。
親がいなければ 子は生まれない。
物事には必ず”因”があって、それがあるところに必ず ”果”がある。
あるものに対して、他の何かがいろいろな 形で縁となって働きかけをし、その結果に何かが生まれ起こることを「縁起」という。
[四聖諦]
・苦諦( く た い) ・・現世は”苦”あると見極めること
・集諦(じったい) ・・”苦”は、欲望と執着から生ずることを見極めよ
・滅諦(めったい)・・”苦”の原因、欲望と執着を捨て去り、 滅っすること
・道諦(どうたい) ・・それを導く具体的手段「八正道」を日々実践する
[八正道]
・正 見 ・・正しく真実の姿を見据える
・正 思 ・・正しく本当のところを考える
・正 語 ・・正しい言葉で正しく語る
・正 業 ・・正しい行いをする
・正 命 ・・正しい生活をする
・正精進 ・・身心を整え、健康に留意し、正しい努力を怠らない
・正 念 ・・正しい信念で、希望に燃える
・正 定 ・・以上のことを常に正しく守れるよう、身心を落ち着ける