■クリスマスの由来
クリスマスは、キリストの生誕を祝う日だが、
イエスが誕生した日ではない。
東方教会では、キリストの生誕は洗礼ととも
に一月六日に祝われていた。
ローマ帝国時代、太陽神ミトラスを主神とす
るミトラ教の”冬至”の祭りが、西方のキリス
ト教に取り入れられ、四世紀頃12月25日
がキリストの生誕を祝う日になり、定着して
いった。
クリスマスツリーを飾る習慣は、15世紀に
南ドイツに現れ、それがイギリスに伝わり、
キリスト教社会に広がっていった。
サンタクロースは19世紀、伝説をヒントに
ニューヨークの百貨店が客寄せに始めた・・
それがキャラクターとなって、世界中に広ま
った。
キリスト教信者が人口の1パーセントにも
満たない日本で、国民的行事になったのは、
”一神教”の国にはない、異宗教への寛容
さでしょう。
1133 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~日本人のアイデンティティ~
「日本人の宗教心」
クリスマスがやってきた・・街は至る所、ツリーとサンタが飾られ、
クリスマスソングが聞こえてくる。 各家庭は、子どもたちにプレゼントを用意し、家族そろってケーキを囲み 、キリストの生誕を祝う・・
しかし、教会に出かけて賛美歌を歌うわけでなく、お祈りすをるわけでもない。
その一方で、仏教が生活に密着している日本にあって、 4月8日のお釈迦様の誕生日を祝おうとしない・・何とも奇妙な国です。
現在、日本の人口は一億二千万人だが、宗教人口を集計すると、 一億八千万人になるという。
一方、日本人の半数以上が「無宗教」と回答している。この数字から、
何らかの信仰を持っている日本人は約六千万人いて、 1人が三つ以上の宗教を信心していることになる。
一神教の、キリスト教やイスラム教の国では考えられないことです。
自分は無宗教だと言っている人でも、お寺には先祖の墓があり、
お盆には墓参りをする。法事があれば、親族が集まりお経をあげる。
正月は元旦に初詣に出かけ、商売繁盛、家内安全、安産、入学祈願、そして七五三・・月参りを欠かさず、毎日神棚に向って柏手を打つ・・
神教が日常生活に溶け込んでいる日本。
家を新築するときや、道路や橋、公共施設を造るとき・・地鎮祭は欠かせない。人に薦められて、何か他の宗教に入信しても、檀家を返上したりはしない。
一神教から見れば、あまりにもいい加減・・ 複数の宗教を同時に信仰するなど、とても考えられないことです。
日本人はトラブルでも起きない限り、心が安らぐなら、異なる宗教が幾つ重なろうと受け入れてしまう・・違和感を感じないのです。
「困ったときの神頼み」と、自分に都合の良い神や仏を、都合のよいときに拝み、願い事をする・・心が安らぐのです。
一つの宗教を信心し、熱心に教会に通って、精神の安定を求める生き方もいいでしょう。
方や、道端のお地蔵さんに手を合わせ、旅行先のお寺や神社で、 宗派をいとわず無心で手を合わせ、こうべを垂れる。
日本人であれば、ごく普通に見られるこうした光景は、キリスト教やイスラム教とは違う、日本人特有のものなのです。