シルバー川柳・2013年
■江戸小噺「嫁と姑」
嫁いびりの好きな姑に、何か打つ手はないかと、
明け暮れ頭を痛めている若夫婦の家に、町内から
寄り合いの触れがあり、嫁が・・
「ただ今、主人が留守をしておりますので、帰りましたら
伝えます」 と言うのを、奥で聞いていた姑が、
『私がここにいるのに、なぜ取り次がぬ!』
と、さっそくこれを種にいびり始める始末。
『で、一体・・何の寄り合いじゃ?』 と聞くので、
「大したことではありませんが、この町内に嫁いびりの
好きな姑が二人いるので、そのことについて話し合う
寄り合いです」 と言うと・・
姑 『ふふん・・すると、もう一人はだれじゃ?』
山住昭文「江戸のこばなし」
1117 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~ことば遊び~ 「シルバー川柳・2013年」
13回目の今年の「シルバー川柳」、約18.000の応募の中から、
20作品が入選作品に選ばれた。
傾向として、日常の出来事を、シルバー世代ならではの視点で
捉えた句が中心となっている。
「欲しかった 自由と時間 持て余す」
「お迎えは いつでも良いが 今日は嫌」
「金が減り 知人も減るが 口減らず」
「子は巣立ち 夫は旅立ち 今青春」
「暑いので リモコン入れると テレビつく」
大多数が高齢者からの応募だけに、容姿・肉体・知力の衰えを明るく
笑い飛ばす句が、全体の二割を占め、シミ・シワ・入れ歯、 頭髪などの他、”物忘れ”を題材にした句が多かった。
「寝て練った 良い句だったが 朝忘れ」
「お迎えと 言うなよケアの 送迎車」
「金貯めて 使う頃には 寝たっきり」
「症状を 言えば言うほど 薬増え」
「孫が聞く 膝が笑うと どんな声?」
「本性が 出るというから ボケられぬ」
「ひ孫の名 読めない書けない 聞き取れない」
「白内障 術後びっくり シミとしわ」
次いで多かったのが”夫婦”にからむ句・・配偶者への不満や愚痴と
思いきや、深い情愛や感謝の気持ちが感じられる句が多かった。
「先寝るぞ 安らかにね と返す妻」
「欲しいもの 今じゃ優しさ だけになり」
「検査あと 妻の優しさ 気にかかり」
「期限切れ 犬にやらずに オレに出す」
世相や流行語を題材にした句では、「今でしょう!」「ジェ、ジェ、ジェ!」
「世界遺産」「アベノミクス」など。
今年も「オレオレ詐欺」を詠んだ句が多かった。
また、三浦雄一郎氏のエベレスト登頂を詠んだ句も多く、三浦氏は
シルバー世代の「時の人」といった存在のようです。
「耳遠く オレオレ詐欺も 困り果て」
その他、携帯・スマートフォン・タブレットなどを詠んだ句も多く、 これら
モバイルが、高齢者の日常に深く入り込んでいる様子が 分かります。
「お医者様 パソコン見ずに オレを見て」
公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」