■ブィクトール・フランクル(1905~1997)
オーストリアの精神科医・心理学者。
1942年、家族と共にユダヤ人強制収容所に収容され、
父母は収容所で死亡。
1944年、アウシュビッツに送られたが、1945年米軍に
よって解放される。
著作は多数あるが、強制収容所での体験をもとに著わした
「夜と霧」は、日本語他17ケ国語に翻訳され、60年経た
現在も読み継がれている。
発行部数は、英語版だけでも900万部に及び、読売新聞の
「読者の選ぶ21世紀に伝えるあの一冊」で、翻訳ドキュメント
部門3位に選ばれる。
1108 【心と体の健康 】 ~幸せな人生~
「悩みや苦しみにどう向き合うかで、人生の価値は決まる」
「変えられない運命に対してどのような態度を取るかで、
人生の価値は決まる」 ブゥイクトール・フランクル
ユダヤ人の精神療法家フランクルが、ナチスの強制収容所で目にしたのは、『人間は極限状況にある時・・天使になる人と、悪魔になる人に分かれていく』という真実!
目の前で死にゆく人がいたら、その人のパンを奪い取ってでも生きようとする人がいる一方で、自身も大変な飢餓状態にあるにもかかわらず、
目の前に苦しんでいる人がいれば、自分のパンを差出して助けようとする人もいる。
ナチスの強制収容所での実体験から・・
「人間はどんな絶望的状況にあっても、生きる希望を見出しうる」
ことを悟ったのです。
犬やネコなど様々な動物には快・不快はあるけれども、快・不快を超えた「精神的苦悩」というものは存在しない。
精神的苦悩に悩まされるのは人間だけであって、悩み・苦しむのは人間だけの特有の行為なのです。
私たちは、こうした悩みや苦しみから逃れようとして、悶々としがちです。そうした人たちに、フランクはやさしく言葉をかける。
「苦悩はそれ自体が一つの業績である」と・・
つまり「人間が何かに悩み苦しむことは、それによって何かを成し遂げたのと同じくらい、大きな意味がある」と言うのです。
人間は『悩み苦しむことによって、一回りも二回りも大きく成長していく』
「仕事に失敗した」「尊敬する人から失格の烙印を押された」「恋人から突然別れを告げられた」
辛い出来事がいくつも重なると、人生に絶望し、天を仰いで・・
「ああ、私の人生にどんな意味があるというのか・・」
けれども、どれほど人生に絶望しても、人生のほうが私たちに絶望することは決してありません。
そういう苦しい状況を目の前に、私たちはどう生き抜こうというのか・・
どのように乗り切っていくのか・・それを見せてほしいと。
そんな問いを、人生は私たちに投げかけ続けるのです。
人生に失敗し、深く絶望した人間こそ、そこから懸命に生きようとする心が芽生え、求めはじめるのです。
理念と経営六月号「随想・フランクルの言葉」