■TPPのメリット・デメリット
[メリット]
・関税の撤廃により貿易の自由化が進み、日本製品の
輸出が促進される
・整備・貿易障壁の撤廃により、大手製造業にとっては、
企業内貿易が効率化し利益増になる
・鎖国状態から脱し、グローバル化を加速させることに
より、GDPが10年間で2.7兆円増加する
[デメリット]
・海外から安価な商品が流入して、デフレを引き起こす
・海外から安い農産物が流入し、国内の農業が大きな
ダメージを受ける
・規制緩和により、食品添加物、遺伝子組み換え食品、
残留農薬など、食の安全が脅かされる
・医療保険の自由化、混合診療の解禁により、国保制度
の圧迫や、医療格差が広がることが危惧される
1099 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「和紙業界オンリーワン企業を目指す」
大企業が着目しない職種の中に、中小企業の生きる道があり、そこで培った高レベルの技術は、同業他社の追従を許さず、オンリーワン企業としての地位と信用を確保するのです。
■ひだか和紙有限会社
2013年6月、機械すきで世界一薄い和紙の製品化に成功
「ついにやった! 世界一更新だ」・・どんよりした梅雨空の6月11日の朝、高知県のほぼ真ん中にある、日高村の和紙製造会社「ひだか和紙」は熱気に包まれていた。
紙の厚さわずか0.02ミリの、極薄和紙作りに成功したのです。
重さにして1平方メートル1.6グラムと、1円玉2個に満たない。
和紙の工程は、コウゾを蒸して表皮をむき、繊維の部分を取り出して加工する。漂白して水にさらし、手で「ちり」を取る工程を、何回も何回も繰り返す。
わずかでもちりが残っていれば、薄く均一にはできないからだ。
ちりを除き、水に繊維を浸して液体状になった紙料を、網の上に載せ、すいていく。
加工の段階から製品になるまで3~4カ月という、地道な作業だ。
土佐和紙は、”ちり”を取ることで薄く仕上げられる和紙として知られる。
長年、厚さ0.1ミリのタイプライター用紙を、海外に輸出してきた。
その紙を、コウゾの繊維の直径と同じ0.02ミリ・・ティッシュペーパーの5分の1程度にまで薄くした・・両手でつまむと、紙の向こう側が全部透けて見える。
これだけ薄く仕上げるには、紙料の濃度や、すいた紙の水分を落とす速度の調整が難しい・・その加減が職人の技だ。
国宝や重要文化財の古文書など、大事な書物の修復には欠かせない超薄の和紙。古文書は、書かれてから千年を超える年月を経ている・・破れたり穴が開いたり、紙は古くなってぼろぼろだ。
その紙の両面をこの和紙で覆う・・薄いから古文書の字は読めるし、
書物を補強できる・・ここまで薄く強い紙はめったにない。
和風の家が少なくなり、ふすまや障子紙などの需要は激減。
生活から和紙の需要は減る一方だが、この薄い和紙の向こうに、
世界を相手にしたビジネスを見据える。
修復材としての和紙の売上はまだ1千万円と、会社全体の一割程度。
だが、紙を使う修復需要は、欧州だけで100億円以上・・
日本でも20億円はある。
伝統の和紙で、新たな市場を切り開く、トップランナーになる意気込みは十分だ。
日経新聞「しごと図鑑」より