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釈迦の教え/苦しみから逃れる道

「四苦八苦」


「四苦八苦」は仏教の教えです。”苦”とは「苦しみ」の

ことではなく、「思うようにならない」ことを意味します。


(1) 生 ・・ 生まれのも大変

(2) 老 ・・ 老いる苦しみ

(3) 病 ・・ 病気になる苦しみ

(4) 死 ・・ 死を迎える苦しみ

四つの思うようにならないことを根本とし、


(5)愛別離苦     ・・   愛する人との別れ

   (あいべつりく)
(6)怨憎会苦     ・・ 恨み、憎んでいる者との交わり

   (おんぞうえく)

(7)求不得苦 ・・ 求めるものが得られない

   (ぐふとくく)
(8)五蘊盛苦     ・・ 肉体と精神が思うようにならない

   (ごうんじょうく)

思うようにならない四つを加えて、八苦と呼びます。



1096 【心と体の健康】 ~幸せな人生~

「釈迦の教え/苦しみから逃れる道」


釈迦がどういう人物だったのか?
二千五百年も昔のインドの話なので、その詳細はよく分かりません。

伝説によれば、北インドの小さな王国の王子に生まれ、幸せいっぱいの幼少期を過ごしたが、思春期を迎える頃、人生の意味を深く考えるようになった。

この世に生まれた以上、いずれ必ず、老・病・死の苦しみに耐えねばならない・・定めを知ったとき、生きることの苦しみ、苦悩に苛まれるようになった。

そこで意を決して出家・・修行生活に入って、老・病・死の苦しみから我が心を守るための方策を追及し、菩提樹の下で瞑想し、鍛錬を重ねていった。

35歳の時、ついに悟りを開いた。その後80歳で亡くなるまでの45年間は、インド各地を歩いて人々に教えを説いて回った。
その教えが仏教になった。


ところで、この仏教という宗教、「人助けのために生まれてきた宗教ではない」。釈迦は、ひたすら自分のため、自らの苦しみを消すために修業し、悟りを得たのであって、困っている人たちを救うために、仏教を創ったのではなかった。


修業は35歳で完成した。瞑想によって得られた強い洞察力と、自己を律する力を用いて、心の煩悩を鎮めることに成功したのです。

自分自身を救うために積み上げられた様々な秘策を、今度は自分と同じように苦悩する世の多くの人のために、役立てようと思い立ったのです。

悟りを開いたことにより、それまでの「利己的」な考え方の釈迦から、
「慈悲の人」へと生き方を大転換したのです。

釈迦の教えは、「心の苦しみを消す」自らの体験に基づいて生みだされた、本物の教えなのです。


釈迦が「自分のために見つけ出した道」だからこそ、信ぴょう性がある・・釈迦という人物が、実際に自らを治療するために見つけ出した、信頼できる心の治療薬・・それが仏教なのです。


                                            佐々木閑・花園大文学部教授「釈迦に魅せられて」

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