■村上信夫氏の逸話「鍋磨き三年」
帝国ホテルの料理長を26年間務めた村上信夫氏。
十代の時厨房に入ってから、3年間鍋磨きだけさせられ、
料理に触れることは一切許されなかった。
ほとんどが1年も満たずに辞めていく中で、村上さんは
辞めなかった・・「日本一の鍋磨きになろう」と決意したのです。
そして、自分の顔が映るくらい、ピカピカに磨いた。
鍋に料理が残っていても、洗剤などが入れられ、新入りが
ソースを舐めても、分からないようにしてあった。
仕事ぶりが認められ、村上さんが鍋磨きをする時だけ
舐めさせてもらえた・・隠し味の勉強ができたのです。
誰にでも、新人の頃には下積みのお試し期間があります。
「今置かれている状況に文句を言わず、黙々とやっている人に
神様は微笑むのです」
1分で感動「目の前のこと」より
1092 【心と体の健康】
~幸せな人生~
「仕事は取り組み方しだいで、辛くもなり楽しくもなる」
東京でステーキのフランチャイズを経営する(株)サンチャレンジ会長・
佐藤康行氏は、十代の頃、帝国ホテル料理長村上信夫氏と似た体験をして、村上氏と同じ考え方で、仕事に取り組んでいる。
将来「億万長者」になる誓いを胸に、15歳のとき青函連絡船に乗り、
単身上京した。
コック見習いで、社会人の第一歩を踏み出した・・仕事は皿洗いだった。
定時制高校に通いながら、毎日 々 社員食堂の皿洗いに暮れた。
400人分の皿を一人で洗わされた・・辛くて辛くてしようがなかった。
寝ても覚めても皿洗い・・400人分の皿ってすごいんですよ・・
器物の山。それを、毎日毎日皿洗い・・辛かった。
先輩にいじめられ、陰で泣いたこともあった。
その辛い皿洗いが、ちょっとしたことがきっかけで、面白くてしようがなくなった。
腕時計を流し台の前に置いて、皿を並べ・・時計を見ながら・・1分間に何枚皿が洗えるか? 挑戦したのです。
時計の秒針を見ながら洗っているうちに、昨日よりも1枚多く洗えた・・
二枚多く洗えた・・夢中になって挑戦したのです。
挑戦し続けているうちに、ものすごく皿洗いがうまくなり、速くなった。
先輩は料理を作っている・・私は皿洗いしかできない。
たまに、先輩も皿を洗うことがあったが、私よりはるかに下手だった。
皿洗いに関しては、先輩より私の方が断然うまかった。
先輩も最初の頃は、皿洗いをやったはずだ・・ 先輩は、なにげなく皿を洗っていたのだろう・・ 私は、時計の秒針を見ながら、皿洗いに挑戦した。 進歩の度合いが全然違ってくる。
それからの私は、皿洗いが楽しくなり、皿洗いを待てるようになった・・
皿がたまってから洗うようになった。その間、ほかの仕事を覚える余裕が出てきた。
先輩に認められるようになり、少しずつ料理を教えてもらえるようになった。
仕事というものは、受け身でやるものではないことを学んだ。
「こんな仕事をいつまでやらせるんだ」と、ぶつぶつ言いながら仕事をするから・・辛いのです。
どんな仕事であれ、辛いとか、やりがいが有る無しではなく、
「自分は、その仕事をどう受けとめるのか?」という、仕事への姿勢が
問題なのです・・そのことを、皿洗いから学んだのです。