■震災直後の日本人の行動(2)
東日本大震災の被害や、福島第一原発事故が、連日トップ
ニュースで伝えられた米国・・被災者の忍耐強さと、秩序立った
様子に、驚きと賞賛の声が上がった。
「なぜ日本では略奪が起きないのか?」
当時の米メディアは、相次いで討論のテーマに取り上げた。
CNNテレビは、2005年のハリケーン・カリーナの災害や、
2010年のハイチの大地震を例に、
「災害に付きものの、略奪と暴動による無法状態が、
日本で見られないのは何故か?」
視聴者に意見を求めたところ・・
「敬意と品格を備えた文化風土だから・・」「愛国的誇り」
「立ち直るチャンスを最大限に活用する人々で、 進んで
助けたくなる」など・・多くの意見が寄せられた。
1054 【心と体の健康】
日本人のアイデンティティ 「恥の文化(2)」
欧米の文化は「罪の文化」であり、日本の文化は「恥の文化」と言われる。 ”恥”を辞書で繰ると、「名誉が傷つくこと」「面目を失う」とある。
”恥”には、「居心地が悪い」「格好がつかない」など、微妙な心理を表す意味があり、英訳するのは難しいという。
「武士は食わねど高楊枝」「恥をさらすくらいなら、死を選ぶ」
「人は一代、名は末代」のように、日本人の恥じる心、恥の文化は、欧米人にはないものです。
西欧のキリスト教国では、宗教の戒律が行動規範に影響している。
神の戒律を守っていれば、心は清澄で一点の曇りもないが、戒律に反すると、強い罪の意識に囚われるのです。
住民の心の底には、常に神の存在があり、それが「罪の文化」になっている。
狭い国土に人口の多い日本では、たえず他人の目を意識していなければならない。
怖いのは神や仏ではない・・他人の目であり、他人の口が怖いのです。
「他人に笑われたくない」「恥をかきたくない」・・こうした思いに囚われる日本人。
つまり、正しいか否かで行動するのではなく、「世間がどう思うか?」
「他人がどう思うか」で行動する「恥の文化」なのです。
世界が・・相手国が・・日本をどう思っているのか? やたら気になるのです。
大リーグの松坂やダルヒッシュの活躍ぶりが、逐一お茶の間に報道される。アメリカの球団で、どれだけ評価されているのか・・どのように視られているのか? 異常なほど、関心があるのです。
方や、罪の文化では、罪の意識にさいなまれた時、それを懺悔(ざんげ)すれば、心の重荷を下ろすことができる。
しかし恥の文化は、例え罪を告白しても、心は軽くならない・・
悪い行いが世間に知られない限り、心は傷まず、悩まないのです。
恥の文化は、人前で恥をかきたくない意識から、義理を重んじ、人情を大切にする。また、名誉を重んじ、大義のために一命を投げ打ったりもする・・戦時中の特攻隊がそうで、イスラムの狂信者の自爆テロ以外では、日本人にしか見られない行動です。
成人式や卒業式のたびに繰り返される、若者の”恥知らず”な暴走・・
人の迷惑を顧みず、わがまま勝手な行動には、あきれるばかりです。
恥じることを知らない若者が増えているのでしょう。