■根岸英一「幸福の四条件」
2010年に、ノーベル化学賞を受賞した根岸英一博士は、
大学生のとき、「生きること、その目的は何か」を真剣に悩み、考えた。
この思索の中から、自分なりの「幸福の四条件」を考え出して、
その後の人生設計に大いに役立ったのです。
[第一 健康] 健康を損なえば、全てを失う
[第二 家庭] 夫婦・子供・孫、家庭・家族が円満であることが、
すべての原点
[第三 仕事] 好きな仕事をして、収入を上回る大きな社会
還元が出来る人間になる
[第四 趣味] 趣味は人生を豊かにする
1030 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
故事から学ぶ 「憎いから叱るのではない」
ここ数日小雪がちらつき、寒い日が続いている。
56豪雪以降、温暖化の影響でしょう・・金沢に30センチ以上雪が降ることは珍しくなった。それでも庭のある家では、毎年冬になると、長年の習慣で雪吊りをする。
「憎くては 叩かぬものぞ 笹の雪」
雪の重みで、生い茂っている笹が押しつぶされそうになっている。
このままではかわいそうと、笹の葉をポンポン叩いてやると、雪が滑り落ち、笹は自らの力で跳ねるように起き上がる。
このように、親や先生が子どもを叱ったり、上司が部下を注意するのは、憎いからではない・・更に大きく成長してほしいと、願ってのことである。以下は、加賀藩前田利家に由来する故事です。
豊臣五大老の一人で、初代加賀藩主の前田利家が、若い家臣に「叱られる者の心得」を説いた、故事が残されている。
ある日、17歳の村井勘十郎が仕事をさぼって城を抜け出し、
城下の遊郭で遊んで、夕暮れ近くにこっそり帰ってきた。
これを知った利家は、彼を呼び出し厳しく叱った・・
「無断で持ち場を離れるとは何事か!」
勘十郎は、主君の前であるから、かしこまって正座をしているが、
顔は上げたままである。こわばった表情で、利家の目をジッと見つめて
聴いている・・返事はするが、言葉の響きに反感が漂っている。
この態度に利家は、一層激怒した・・
「こら、勘十郎! 主君から叱られる時は、頭を下げて、
一語一語かみしめて聴き、心から反省するものじゃ。
それなのに、頭を上げたままわしの目を見返すとは・・何事だ!
『申し訳ありません』という気持ちがまったく感じられない・・
目と目を合わせてにらむのは、果し合いをする時だ・・
おまえは、主君に果し合いを挑もうというのか。
わしは、おまえの父親にずいぶん世話になった・・
だから、どんな問題を起しても、おまえを成敗するつもりはない・・
父親のような立派な武士になってもらいたいから叱るのだ。
前田家に仕えるつもりがあるのなら、頭を下げて素直に聴け・・
心は態度に現れてくる!」
後日、この話を伝え聞いた勘十郎の父は、主君の温情に泣かずにおれなかったという。息子も自らを恥じ、その後は陰日向なく仕え、武功を立てる勇士に育ったという。
万年堂出版・木村耕一著「こころの朝」