■落語に登場するキャラクター
[与太郎] 落語に欠かせないボケ役
ボーッとした性格の若者。いつもふらふらしていて、長屋噺の主人公
[熊さん・八つぁん]
長屋に住む庶民の代表格。気が短くて喧嘩っ早く、情に厚い江戸っ子
[政五郎]
大工または鳶の棟梁として登場・・因業大家を相手に威勢のいい啖呵を
きる。
[一 八]
一流ではなく野だいこと呼ばれる三流者。調子はいいがいつも失敗ばかり
[金 坊] こまっしゃくれた子ども
生意気な子どもの代表。頭の回転が早く、口が達者なため、知恵を
働かせて親から小遣いをせしめるのがうまい。
1017 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
~ことば遊び~ 「落語・帯久(前半)」
この噺の前半は、人のいい和泉屋与兵衛に、性悪・帯屋久七が恩を仇で返すくだりで、身につまされます。
後半は、北町奉行の見事な大岡裁き・・人の道とは何かが分かり、落語の奥深さを知る一席です。
♪日本橋の呉服屋・和泉屋与兵衛はたいそう繁盛し、帯屋久七は”売れず屋”と陰口を叩かれる不振であった。
三月のある日、帯屋が和泉屋に借金を申込み、和泉屋は証文も取らずに快く貸した・・二十日ほどして返しに来た。
その後、五月に30両、七月に50両、9月に70両と次第に額が上がったが、何れも20日あまりで返済した。
そして11月に100両貸した。大晦日に帯屋が返しに来たので、受け取って脇に置いた。
その時、急な呼び出しで、和泉屋が席を立った・・1人残された帯屋、
置いてある100両を懐に入れ、何食わぬ顔で帰っていった。
帯屋はこの金を元手に大繁盛。一方和泉屋は、一人娘と妻を相次いで病で亡くし、享保6年12月神田三河町から出た大火で、店は焼失・・
気力を全て無くして、床につくようになった。
かって和泉屋の番頭をしていた、分家の武兵衛は、和泉屋与兵衛を引き取った・・そして、十年の月日が流れた。
快復した与兵衛は、他人の保証人になり、無一文になった武兵衛のために、帯屋へ商売の元手を借りに出かけた。
いくら頼んでも貸せないというので、利子も取らずに金を融通した昔話を持ち出した・・百両の件に触れると、「私が盗んだというのか!」と久七、激怒。
煙管(きせる)で与兵衛の額を打ちすえた上、店の若い者に命じて、表に放り出してしまった。
みじめさのあまり与兵衛は、帯屋の裏に積んであったカンナ屑に火をつけて、自分も死のうとしたが、放火の罪で捕えられてしまった。
火付けは重罪・・火あぶりの刑である。
次号に続く
※このまま噺が終わったのでは、もやもやが収まらない・・
次号では、胸のすく大岡裁きのオチが・・