「ハロウイン」
数年前の十月、サンフランシスコで開催された、全米インターナショナル大会に招待された。その翌日、観光でヨセミテ国立公園に行った。
車中から道路沿いに目をやると、鮮やかなオレンジ色に実った大きなカボチャが、畑一面に何千個と実っている。
通り沿いのドライブインの前にも、何列もカボチャが並べられ、テーブルの上にも一個づつ置かれている。
ハロウインが街並みに溶け込み、アメリカを実感するのです。
「ハロウィーン」といえばカボチャ・・日本人には馴染みの薄い、季節の行事です。
アイルランド古代ケルト民族の収穫祭の行事に、ローマの果実の女神
”POMONAの祭り”が混ざったもので、1800年代、ヨーロッパからの移民によってもたらされた。
アメリカでは、10月31日の夜に悪魔や幽霊、悪霊が現れて、人間に悪さをすると言い伝えられ、悪霊を追い払うために家々では、軒先に恐ろしい顔を刻んだ、大きな”カボチャあんどん”を置いておくのです。
この行事の由来は、「けちんぼジャック」と呼ばれる意地の悪い男がいて、彼を「黄泉の世界」に連れて行こうとする悪魔を、うまいこと騙したという、アイルランドの伝説です。
ジャックが死んだ後、生前のいたずらが過ぎて、天国にも地獄にも行けず、灯りを灯した”カブ”の提灯を持って、暗い道をさまよい続けるという伝説から、カボチャの行灯が、魔除けに置かれるようになったのです。
ハロウインの日には、子どもたちは各々怖そうな服で仮装して、近所の家々を訪ね歩く・・すると悪霊は怖がって、その家には寄りつかなくなるのです。
各家では、子どもたちへのお礼に、飴やお菓子を用意して手渡す。
もし、お菓子が貰えなかったら、その家の魔除けのカボチャをつぶすなどして、悪さをしてもいいことになっている。
国土の広いアメリカ・・日本のように近所にコンビニやお菓子屋さんがない。お小遣いで、お菓子を買って食べる習慣のないアメリカの子どもたちにとって、ハロウインはクリスマス同様、楽しみにしている日なのです。
車窓から、クリスマスの”モミの木”を栽培する畑が見えるのも、日本にはない風景です。1メートル50センチくらいの可愛いモミの木が、何列も並んで植わっている。
12月に全米に出荷されるが、サンフランシスコ郊外はツリーの産地なのです。