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適材適所

新日本製鉄初代会長・永野重雄の”名言”


東大卒のエリート商社マンが、一転、倒産工場の責任者に転落。
その会社を再建中に夜逃げまでした。
「この経験が、その後の人生のバネになった」と、後に語っている。


「君は夜逃げをしたことがあるか。
社員の給料が払えず夜逃げをした人生体験が、バネになった」


「若いうちの苦労は年取って花開く。
左遷を、次の栄転に逆転させるぞ!と誓った」


「名将というのは敗戦の時、力を発揮できる人のことをいう。

経営者も同様で、不況の時に真価を発揮するのが名社長である」


「人生にはプラス、マイナスの波がある。気持ちの切り替えで、

マイナスをプラスに変えられなくては、人生の落伍者になる」


                                                                       「理念と経営九月号」



1008 【吉村外喜雄のなんだかんだ】

「適材適所」


法隆寺の建物は、建造して約千三百年。一方、日光東照宮は約四百年である。法隆寺の方が圧倒的に古いのだから、当然それに伴い改修工事も多いはずである。
しかし、現実は日光東照宮の方が多く改修している・・何故なのか?

法隆寺は節だらけの木を使っているが、日光東照宮の木には節がない。だから、何回も改修工事が必要なのだ。

「適材適所」の”材”は、材料の材。木は一度芽を出したらそのままに育つ。南なら南、北なら北を向いたまま大きくなる。


それを伐採して使う場合、木の向きに沿って使うのが原則だ。

丸太のままでも、製材して四角にしても同じ・・北向きで育った面は、北に向けて、南向きで育った面は、南に向けて使う。

そうすることで、木は長持ちする・・それを適材という。
使い方を間違えれば、その材の能力を充分に活かすことはできない。

大抵の人は、節だらけの木を嫌う。日光東照宮のように節のない真っ直ぐな木を使いたがる。

節というものには、生きている節と死んでいる節がある。
死んだ節は、途中で枝下ろしをした木にみられ、死節といって節穴が空き、長持ちしない。


逆に、節が死んでいなければ、穴が空かないので長持ちする。
節がいっぱいあるということは、枝が多いということ・・それだけ根が張り、台風にも耐える丈夫な木に育っている。


幹もしっかり育つ。そういう木が長持ちする木で、樹齢の2、5倍持つと言われている・・樹齢が100年なら250年持つことになる・・これを”銘木”という。

節のない木は、一見まっすぐで格好がいい・・これを”良木”という・・見た目は良いが長持ちしない。日光東照宮が、何回も改修工事をしなければならないのは、良木を材にしているからだ。


人間も同じである。人生を平穏に生きてきた人と、波乱に満ちた人生を歩んできた人とでは、当然異なってくる。

数知れずの失敗や試練を乗り越えるたびに、強くたくましくなっていく・・困難や試練は、人間を鍛え成長させる・・困難な時こそ、逃げずに立ち向かうことだ。

部下がいれば、適材適所につけ、その社員を活かしていく・・それがリーダーの責務である。

                                                        致知出版・坂爪捷「和尚が書いたいい話」

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