■「あぶら(魚油)」をもって「あぶら(脂)」を制す
魚油に含まれるEPAは、中性脂肪を減らすだけでなく、
動脈硬化の進行防止に有効な作用が認められることが、
神戸大学横山光宏教授の臨床試験で、明らかになった。
・中性脂肪を低下させる
・悪玉コレステロールを低下させる
・血液を固まりにくくして、血流を良くする
・血管の弾力性を保つ
EPAを投与した人は、投与しなかった人に比べて、五年後の
狭心症や心筋梗塞などの発生率が19%減少した。
1005 【食と健康】 「中性脂肪値が高いと・・」
あなたの中性脂肪は大丈夫でしょうか・・正常な数値は、40~150mg/dlです。
検診で「中性脂肪が高いですね」と言われたら・・速やかに治療を開始しなければなりません。ところで、中性脂肪とはどのようなものなのか? 数値が高いとどうなるのか? どんな点に注意すればよいのか?
中性脂肪は、人間が活動していく上で、重要なエネルギー源です。
食事の後、食べた脂肪や糖質が血液の中に入っていきます。
それらを材料にして、肝臓で「中性脂肪」が合成されます。
合成された中性脂肪は、血液によって全身に運ばれ、エネルギー源になります。余分な中性脂肪は、「皮下脂肪」となって蓄積されます。
正常な血液はサラサラですが、血液中の中性脂肪が過剰になると、血液は”どろどろ”になります。ドロドロの血液が血管の内壁にこびりつき、血液循環を妨げ、”血栓”のできやすい血液になります。
これらの変化によって、血管の壁が腫れあがり、血管が細く硬くなっていきます。しだいに血液が全身に渡りにくくなり、血栓が詰まりやすくなります。血圧が高くなってきます・・動脈硬化です。
一番怖いのはここから・・放っておくと、「高血糖」「脂質異常」「高血圧」、そして「糖尿病」「脳梗塞」「心疾患」など、重大な生活習慣病を引き起こし、命に関わる病気になる確率が高まってきます。
皮下脂肪や内臓脂肪が溜り、糖や脂肪の代謝がうまくいかなくなります。善玉コレステロールが減少してメタボリックシンドローム・・肥満になります。
中性脂肪値が高い人は、食生活が乱れていたり、好きなお酒を毎日飲んでいたり、運動嫌いの人だったりします。長年染みついた生活習慣を、いきなり変えるのは大変ですが、中性脂肪値が高くなる前に、少しずつ改善していきたいものです。
腹囲が、男性85センチ以上、女性90センチ以上の人は、メタボリックシンドローム・・肥満体とされます。腹囲を減らせば、内臓脂肪を減らすことができます。
防衛医科大学・名誉教授・中村治雄