イソップ寓話「ライオンに挑んだ蚊」
■江戸小噺「恥のかき終え」
初会の床で、女郎がうっかり「ブゥ~」とやらかした。
お客「これはたまらん」と顔をそむけると、
女郎が申し訳なさそうに・・
「 これには深い訳があってのこと、どうぞお許しなんし。
実は、母が大病患って、明日の命の知れぬ時、
『月に一度、お客の前で、どんな恥でもかきますから、
母の命だけはお助けを・・』と、観音さまにお百度踏んで
願かけました」
と言っている口の下から、またも「ブゥ~」とやらかした。
途端に女郎、ニッコリ笑い・・
「まあ、うれしい! 来月の分の恥までかき終えた」
1006 「吉村外喜雄のなんだかんだ」
イソップ寓話「ライオンに挑んだ蚊」
今から二千五百年前、ギリシャの奴隷イソップは、動物寓話を通して人々に注意を促した。大人のための人生の教訓として、今に語り継がれているのです。
♪一匹の蚊が、百獣の王ライオンに、挑戦状を叩きつけた。
「俺は、おまえなんか怖くないぞ・・おまえのほうが弱いからさ・・ウソだと思うなら勝負してみよ!」
ラッパを合図に、蚊はライオンの顔を攻めた。
鼻先に毛がない・・その軟らかいところを刺しまくったから、たまらない。
ライオンは、爪で自分の顔をかきむしり、傷だらけになって降参した。
蚊は勝負に勝ち、勝利の凱歌をあげて、意気揚々と飛び去っていった。
ところが、有頂天になって気が緩んだのか、クモの巣に引っかかってしまった。身動きができなくなった蚊は、「いちばん強い者を破った俺が、クモなんかの餌食になるとは・・」と悔しがった。
調子のいい時がいちばん危ない。調子のいい時こそ、油断せずに気を引き締めよ・・蚊とライオンを題材にして、教訓にしたのです。
大きな成功を手にした時・・永年の願いがかなった時・・うれしさのあまり、つい気が緩んでしまいます。
その心のスキが、時によっては致命的な失敗を招くことになるのです。
日本に古くからあることわざ、「勝って兜の尾を絞めよ」も同じです。