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生ビールの季節

会社の宴会


40年くらい前、日本が好景気に沸いていた頃の話です。

当時は、会社の忘年会・新年会は、温泉一泊で行われるのが通例だった。

上座には、社長を真ん中に重役が序列順に並び、上座に近い両サイドの

席は、部長や支店長、課長などが、上下をわきまえて座っている。


下座に座る入社間もない私たちは、頃合いを見てお酌に回る・・

これが結構大変なのだ。

相手が喜ぶ話題を用意し、上座から順に膝をにじらせながらお酌して歩く。

時に「それ、立てつけ三杯、飲め!」・・ゲコだと言うと、「おれのさした杯が

飲めないのか」と強要される。


同じ釜の飯を食う会社の酒宴の席で、日本酒を酌み交わすのは、コミュニ

ケーションの酒というより、強要の酒であり、上下関係・力関係を確かめる

酒である。

こうしたへきえきする仲間意識と、日本酒宴会の一種独特のねばっこさは、

最近の若い社員に嫌われ、全社的宴会は行われなくなってきている。


964 【吉村外喜雄のなんだかんだ】

「生ビールの季節」


四月は中旬頃まで肌寒い日が続いた。ようやく桜が咲いたと思ったら、急に気温が上がり、汗ばむ暑い日が続いている。

暑くなると、生ビールが恋しくなってくる。仕事やゴルフなど、汗をかいた後に飲むビールは、喉から五臓六腑へキュ~と音を立ててしみわたり・・たまらない。

こんなことを書くと、酒豪と間違われそうだが・・実は下戸。

350ミリリットル1缶飲んだだけで、酔いが回って寝てしまう私です。

「お酒が飲めません」と言うと、”酒嫌い”と誤解されそうだが、生ビールの最初のあの喉ごしは、飲めない私でもたまらなく美味い。


ウイスキーは足に来て、日本酒は頭に来て、ビールは腹に来て、焼酎は瞼に来て眠くなる・・私は何を飲んでも直ぐ眠くなって、寝てしまうのです。

仕事を終えて、ひと風呂浴びた後のビールは格別だ。今日一日の解放感が喜びになり、幸せを感じるひと時です。

夜も更けて、一人静かに思いをめぐらし飲む酒は・・ウイスキーがいい。私は、ワイルド・ターキー・ストレートをロックで飲むのが好きだ。


昔、景気が良かった頃は、取引先を招待したり、招待されたり・・忘年会、新年会、○○記念と、何かあれば温泉旅館に一泊して、仲間と思いっきり飲んだものです(飲んで寝るだけなら、下戸の私もじっくり腹を据えて飲めるのです)。

宴会では、ビールの後は日本酒である。「さしつ、さされつ」酒を酌み交わすことで、交わりが深まっていく。


盃がやたら小さいのは、酌み交わすためであろう・・しかし、一人で飲むのなら、コップ酒がいい。日本酒が酌み交わす酒なら、ビールはジョッキで泡ごと一気に飲み干す酒である。


一杯は人酒を呑み 二杯は酒酒を呑み 三杯は酒人を呑む

お酒に飲まれて、ふにゃふにゃになった状態を”泥酔”と言うが、この言葉は、中国に伝わる空想上の”虫”に由来している。


その虫の名は”泥(でい)”・・海に住む骨の無い生物です。水の中では活き活きしているのに、水が無くなると、酔っぱらったかのようにフニャフニャになって、泥のようになってしまいます。この状態が酔っぱらいに似ていることから、”泥酔”と呼ばれるようになった。


お酒は”飲んで”楽しむもの・・くれぐれも”飲まれて”泥酔しないように。

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