■「彼岸」に渡るには・・
法然上人は浄土宗の開祖です。父親は美作国(岡山県)の
押領使でしたが、法然9歳の時夜討に殺されてしまった。
死の間際、「決して父の仇を討とうとするな」と遺言した。
法然はこの遺言を守り、出家した。
当時、仇討は立派な行為だった。しかし、それで問題は
解決しません。子が父の仇を討って、目的を達すれば、
相手の子はまた、父の仇を討とうとするでしょう。
印度の「ダンマパダ」という仏教経典には、「この世において、
怨みに報いるに怨みをもってすれば、ついに怨みのやむこと
がない。怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である」と
説いている。これが般若心経の教えです。
ひろさちやの般若心経・第九講
917 【心と体の健康】
~般若心経~ 「波羅蜜多」
「般若心経」…正しくは「摩訶般若波羅蜜多心経」…その中にある「波羅蜜多」を訳すと「彼岸に渡る」の意味になる。
大きな川があります。川のこちら側が”此岸(しがん)”で、私たち凡夫の住む煩悩の世界です。
川の向こうは”彼岸”で、悟りの世界であり、仏の世界です。
私たちは何れ、此岸から彼岸に渡らなければなりません。
どうしたら「到彼岸」できるか…を教えるのが仏教であり、般若心経なのです。 (ひろさちやの般若心経・第9講)
人間は”貪(むさぼ)る欲”、煩悩に惑わされる。それでは幸せになれないので、仏教では「布施をしなさい」と教える。
布施とは”与える”こと…与えると”徳”になり、貰うと”得”になる。
”徳”とは、人のために一切の見返りを求めず尽くすこと…
そうするといずれ形を変えて自分に返ってくる。
”得”は、思わぬ儲けがあったとき「得をした」と言うように、
一時的なもので、その幸せは長く続きません。
”本当の徳”というのは、「日々の積み重ね」である…凡事徹底の積み重ねが人生を変えていく。
”徳”を積むか、”得”を積むかで、まったく違った人生になる。
”徳”という字は、「人が行う十四の心」と書く。
十四とは、八正道の八と、六波羅蜜の六を合わせた数字である。
●八正道とは…
正見(正しく見る)、正思(正しい考え)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行い)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい願い)、正定(迷いのない境地)をいい、人格を完成するために実践する正しい道をいう。
●六波羅蜜とは…
布施(ほどこす)、持戒(つつしむ)、忍辱(しのぶ)、精進(はげむ)、禅定(静める)、智慧(学ぶ)をいい、菩薩さまが実践すべき徳目をいいます。
坂爪捷兵「和尚が書いたいい話」