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県民性(6) 「うどんとソバ」

■「いなりうどん」

 

近所で繁盛しているうどん店の「いなりうどん」…1センチ幅に

短冊に細く切った油揚げが、ネギと一緒に混ざっている。

よく知られる「きつねうどん」は、甘くどく煮た四角い油揚げが

一枚乗っかっている。

 

「いなりうどん」なる代物…どうやら石川県独特のものらしい。

金沢の文化圏、富山県西部のうどん屋さんを除けば、北陸は

どこへ行っても「キツネうどん」である。

キツネは稲荷神社の使いであり、油揚げが好物とされる。

なぜ石川県にだけ、「いなりうどん」なるものがあるのだろうか?

 

ちなみに私は、味付けしてない”いなりの皮”の味を、そのまま

味わえる「いなりうどん」が好きだ。「きつねうどん」の甘くどい

油揚げは、いまいち好きになれない。

 


918 【吉村外喜雄のなんだかんだ】

~県民性(6)~ 「うどんとソバ」

 

JR高岡駅に「ちょっとユニークな日本食がある」と、評判になったことがある。
「さて何でしょう?」…某テレビ局のクイズ番組で流したものです。それは、一つのどんぶりに「うどん」と「そば」が仲よく半分づつ入っていて、両方一度に味わえる…これが評判になったのです。


元をたどると大阪はうどん、長野県や山形、秋田はソバどころである。高岡は丁度その中間地点になり、うどんもソバも、どちらも好まれる土地柄なのです。


テレビ番組では、それを証明しようと「お店の暖簾の書き順」に着目した。富山県呉東のお店の暖簾は「ソバとうどん」である。西に下って、金沢までくると「うどんとソバ」になる。


JR駅の立ち食い店を順に追っていくと、「ソバとうどん」から「うどんとソバ」に名前がひっくり返るのは、富山県の最も石川県寄りの「小矢部市」であることが、民放TV番組の追跡でわかった。
店主に聞くと、お客様の注文は、うどん六割、おソバが四割だと言う。
実を言うと、本州を二つに折ると、その折り目の線上にあるのが、小矢部市なのです。


ご存知金沢はうどんどころ。お多福チェーンが36店、加登長チェーンが19店、百万石チェーンが14店と、うどんは、昔から金沢の庶民に愛されてきた味なのです。
反対に、おそば屋さんの老舗は見当たらない。


福井県はどうか…より関西に近く、うどんが好まれるかと思いきや…そうではない…大根おろしを入れたつゆをソバにかけて、漬けそば風に食べる「おろしそば」が主流である…
それがまた旨い。


金沢のおソバは、うどんのように熱いダシで、ふうふういいながら食べるのが普通で、夏場だけザルそばである。

福井でおそばが好まれるのは、永平寺など禅宗のお寺の影響によるものでしょう。


うどんをダシの濃さで比べると、関東は醤油の色がしょっぱく濃い。関西は透けるくらい淡い色で、さっぱりとしたまるみのある味が好まれる…金沢は関西風である。

 

味の濃い関東だしと、味の薄い関西味の分岐店をたどってみる。名古屋「きしめん」の色は、関東より濃い。
米原まで下ると、関西風の透き通った淡い色のつゆになる。

 

関東と関西の中間のつゆを好む分岐点は、名古屋と米原の中間に位置する何れか…ということになる。

JRローカル線の駅を一つひとつたどっていくと、「尾張一宮」が東西の味の分岐点てあることが、TV番組の追跡調査で分かった。

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