■「ならぬもの」
忘れてならぬものは …恩義
捨ててならぬものは …義理
人に与えるものは …人情
繰り返してならぬものは …過失
通してならぬものは …我意
笑ってならないのは …人の失敗
聞いてならないものは …人の秘密
お金で買えないものは …信用
914 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「かぐや姫に求婚した五人の男」
日本最古の物語といわれている「竹取物語」
竹取の翁夫婦に育てられたかぐや姫は、絶世の美女になり、世の男たちの憧れの的になった。
最後まであきらめなかった5人の貴族に、かぐや姫は求婚を受ける条件として、一人ひとりに難題を課した。
「仏の御石の鉢」を持ってくるようにと言われた一人目の皇子は、最初から入手をあきらめ、手近な山寺の鉢でごまかそうとした…あっさりかぐや姫に見破られ、振られてしまった。
二人目の皇子は、「蓮菜の玉の枝」を求められた。
そこで、当代最高の職人に、本物に寸分違わぬレプリカを作らせた。レプリカとはいえ、誰の目にも本物に見えた。
あと一歩というところで職人がやってきて、まだ支払われていない代金を請求したため、ウソがばれてしまった。
3人目の左大臣”安倍みむらじ”は、依頼を受けた「火鼠の襄」を手に入れるため、唐の国の貿易商人”王恵”という人物に捜索を依頼した。しかし、王恵が持ってきたのはにせ物で、かくや姫の期待に沿うことはできなかった。
これら三人は、自ら汗することなく業者に丸投げ。その上、依頼しただけで、なんのチェックも行わず、にせ物でごまかそうとした。
四人目の”大伴の大納言”は、「龍の首の珠」を求められた。
彼はすべての家来に「龍の首の珠」を手に入れるよう命じた。
家来たちはみな途方に暮れ、主人の悪口を言うだけで、結局よい知らせを持って来た者は、一人もいなかった。
具体的方策を示さず、ただ数に頼ったことが失敗の原因だった。
最後の中納言”石上のまろ”は、求められた「燕の子安貝」を手に入れようと、目的を家来に伝え、「燕の巣があったら知らせるよう」命じた。
ある者は、「いくら燕の巣を探しても、見つからないだろう。でも、出産の時なら…もしかしたら可能かも…」との情報を持ち帰った。
別の家来は、「大炊寮の屋根裏に沢山巣がある。出産の巣が見つかるかも…」と進言した。
そこで、大炊寮に人を遣わし、子安貝を取らせようとした。
自らも現場に出かけ、「燕が尾を上げて七回回ったときが、出産の時」といった情報を入手した。
そこで、自ら屋根裏に上がって、あれこれ捜し求めたが、落っこちて、大怪我をしてしまった。
これを聞いたかぐや姫、自ら手紙を出し同情した。
かぐや姫から好意を寄せられたのは、最後の中納言だけであった。
彼は、他の4人とは違っていた…難問を問題別に小分けし、多くの人たちの知恵を集め、情報を収拾し、自ら危険に立ち向かい、問題解決の方向に近づこうと、確実な努力の積み重ねをしたのです。