■囲碁世界戦・優勝の歴史
(世界戦回数)
(優勝回数)
●1988~94 18 日本11、韓国7、 中国0
日本黄金時代
●1995~05 56 韓国40、日本 9、中国7
韓国1強時代
●2006~11 34 中国18、韓国15、日本0
中・韓2強時代
898 【吉村外喜雄のなんだかんだ】
「世界の囲碁界、中韓2強時代へ」
今朝の読売朝刊…「なでしこ・五輪予選一位通過」と、大きな見出しで、スポーツ覧の半分を占めていた。
一週間前の読売朝刊…「若手育成遅れ、落日の日本」と、大きな見出しの記事があった…
囲碁界の日本の現状を憂えた記事である。
十年前の日本は、世界棋戦における優勝勝率6割と、世界一の囲碁強国だった。
その後、ライバルの中国と韓国に追い抜かれ、2006年以降現在まで、世界戦(国際棋戦)での優勝は”
0”…ライバルに同情される弱小国になった。
囲碁が趣味の私には、淋しくも悔しい記事である。
囲碁世界戦が始まったのは二十数年前。
その歴史は、日・中・韓三国の力関係の軌跡である。
日本が強かったのは、草創期・富士通杯での5連覇だけ。
その後長く韓国1強時代を経て、今は中・韓2強の時代になっている。
いまや70カ国・地域に広がりを見せる囲碁。日本には、古代に中国から伝えられ、
信長が囲碁をたしなんだように、武家社会を中心に普及した。
江戸時代には、家元制度による競争の中で、レベルは飛躍的に向上した。
戦後の経済成長期には、呉清源をはじめとする逸材が来日。
中国出身の”林海峰”、韓国の”趙治勲”、台湾の”張 栩”などが活躍。
日本棋院は、世界の囲碁界の中心的役割を果たし、 長く中国を指導し、国際普及にも貢献したが、今は立場が逆転している。
日本のゴルフ界は、石川遼に代表される十代後半の逸材が輩出し、国際舞台でも活躍しているが、囲碁界は、
一昨年史上最年少で”名人位”を獲得した井山裕太(22)一人だけ…後に続く新人が現れない。
三カ国で最も勢いのある中国は、国際舞台での二十歳前後の若手棋士の活躍が著しい。
囲碁のプロ制度が出来てわずか二十数年。中国棋院は国の後押しによる「国家チーム」。そのエリート集団に入って競い合い、研鑽を積まなければ、世界戦に出場できない。
多くの棋士は、周辺の道場で猛勉強しながら、国家チーム入りを目指している。
韓国は、国際ヒーローの出現により国内ブームに火がつき、子ども達がこぞって囲碁を始めた。
道場で集団生活するのは韓国も同じ。十代後半の逸材が毎年のように輩出する。
一方の日本、棋士が毎日のように集団で学ぶことはなく、プロ予備軍の「院生」の活動も土日限定だ。
子どもたちを鍛える環境整備が遅れている。
9/6 読売朝刊