■ 荘 子
荘子(推定・紀元前369~286)は、戦国時代”宋国(河南省)”の思想家で、
老子(出生不明)と共に「老荘思想」になって、道教に取り入れられ、
道教の始祖の一人とされる。
孔子(紀元前551~479)と孟子(紀元前372~289)
は、「孔孟」と
言われ、「老荘」とは対照的な思想家として、論じられている。
道教は、中国三大宗教(儒教・仏教・道教)の一つです。
[仏 教] 釈迦は、この世の本質を苦とし、日常生活で仏の教えを実践すれば、
心穏やかに”解脱”できると説いた。
[道 教] 漢民族土着の宗教で、仏教のように”解脱や悟り”を目標にしたり
せず、「無為自然」に生きることで、自然と真実につながっていく。
現在、東南アジアの華僑の間で根強く信仰されている。
[儒 教] 宗教ではない。父親家系を尊び、秩序を重視し、祖先崇拝を推奨。
韓国ドラマの、子が親を敬うシーンに見られるように、庶民の間に
儒教思想が深く浸透している。
891 【心と体の健康情報】
~古典に学ぶ~ 「荘子/人を見る目」
中国の伝説の鳥”鵬(ほう)”…その大きさは、
背中が何千里あるかわからないほどだ。この鳥が飛ぶと海上は波立ち、飛び上がれば、九万里もの高さを飛ぶ。
この鵬を、ヒグラシと小鳩があざ笑った。
「自分が飛ぶのは、ニレやマユミの枝までだ。ところが鵬ときたら、
九万里もの上空にまで上がり、そこから南に飛ぶ…大げさで、
無用なことをやっている」
日帰り遠足に出かけるときは、弁当を一食持参すればいい。
百里の旅に出る人は、
一晩かかって米をつき、千里の旅に出るには、三ヶ月かけて食料を集める。
ヒグラシや小鳩には、大鵬の飛翔のことなど分かるはずがない。
これを荘子は、
「狭小な知識では、広大な知識は想像しようもない」と、
私たちに教える。
同様に、凡人の知識は一つの官職を考えるだけ…
その徳は一人の君主に気に入られる程度。
つまり、世間の秀才というのは、狭い自分の世界のみに囚われ、
世間の人に褒められると、それで満足し、人に謗(そし)られても、
がっかりしたりしない。
この天地には無限の世界がある…このことに気づいた人は、
”私心”
がなくなり、自分の”力量”を知り、出来もしない大望をいだくようなことをしなくなる…
むしろ、
望みなど捨てて、
悠々と暮すべきである。
「自分の限界をしっかり知っている者は、
あくせくとして、
世間を渡るようなことはしない」と荘子は言う。
自分の知識とか自慢というものは、大抵の場合、
ごく限られた狭い範囲に終わっている。自分の知識を誇り、自分の地位を尊び、他人の悪口ばかり言っている人生ほど、
つまらないものはない。
過去を振り返って…
事業に失敗してすべてを失った人は、数えあげればキリがない。
常日頃、「自分の意見は正しく、絶対だ」などと、
思っていてはならない…そのような考えは”
小さなもの”と自覚し、
自分の器に合った生き方をすべきである。
歳を重ねるにつれ、自分の意見に執着し、それに囚われ、
他人の意見を聞こうとしなくなる。
自分の考えは、
間違っていることがしばしばあることを知ったうえで、
常日頃自分を無にして、謙虚に相手の意見を聞く雅量が求められるのです。
「理念と経営・荘子に学ぶ」から