■自然農法
除草剤・殺虫剤など、農作物に被害を与える生物を防いだり・取り除いたり
するために、薬剤を使わないで栽培することを「無農薬栽培」といいます。
そのためには、農薬を使わなくても元気に育つ作物、つまり自然界に淘汰
されない、自然界と調和した野菜を創らなければなりません。
更に、野菜や果物を栽培する時、農薬に依存しないだけでなく、科学肥料を
与えなくても育つ、自然の仕組みの中から生まれた「有機栽培」という、
自然のことわりに沿った農法でなければなりません。
887 【心と体の健康情報】
「リンゴ自然栽培農園の奇跡」
青森県でリンゴ栽培農家を営む”木村秋則”さん…一昨年、「NHKプロフェッショナル・仕事の流儀」
を見て、リンゴ栽培への想像を絶する闘魂と歳月に、感動したのです。
自然栽培でリンゴ作り始めて、もう22年…
木村さんが農薬も肥料も使わない栽培を確立するまでには、
長く壮絶な格闘の年月があった。
かって、農薬で皮膚がかぶれたことがあり、
それを境に農薬を使わない栽培に挑戦し始めた。始めてから七年間は、
全くリンゴが実らなかった。
農薬も肥料も使わない栽培を確立するまで、
いつとも知れない絶望的な戦いに明け暮れたのです。
肥料をやることで”甘やかされた”リンゴの木…甘やかされた環境から脱するのに、
7年の歳月を要した。
丁度、麻薬中毒患者が、毒が抜けるまでの禁断症状に似ている。
その間、収入が絶たれた木村さん…キャバレーの呼び込みや、
出稼ぎで何とか食いつないだ。
極貧の生活が続き、絶望感に襲われた木村さん…死を決意して、ロープを片手に死に場所を求めて、岩木山をさまよったのです。
そこでふと目にしたドングリの木…「なぜ山の木は害虫や病気に強いのだろう?」
疑問に思い、根元の土を掘り返すと、手で掘れるほど柔らかい…
このような土を再現すれば、
リンゴが実るのでは?
栽培のヒントをつかんだのです。
8年目の春、木村さんの畑に奇跡が起こった。畑一面を覆い尽くすリンゴの花…
それは豊かな実りを約束する花だった。
涙が溢れ出て、止まらなかった。
木村さんの畑では、あえて雑草を伸び放題にしている。
畑をできるだけ自然の状態に近づけることで、
そこに豊かな生態系が生まれる。
害虫が増えれば、害虫を食べる益虫も繁殖する…結果、
害虫の被害は大きくならない。
無農薬栽培は、葉の表面に様々な菌が生息するようになり、病気の発生が抑えられるのです。
木村さんがやることは、人工的にリンゴを育てるのではなく、
リンゴが本来持っている”生命力”を引き出し、育ちやすい環境を整えていくことにある。
害虫の卵が増えすぎたと見れば、手で取り除き、
病気のまん延を防ぐために、酢を手作業で散布する…大型機械での散布は、土を踏み固め、リンゴの根の成長を妨げてしまう。
すべては、徹底した自然観察から生まれてくる。
「私の栽培は”目”が農薬であり、肥料なんです」…これが木村さんの流儀です。
私たちの子育ても同様…何でも、欲しがるものを買い与え、
親が手を貸してしまう過保護は、子どもに工夫させることを妨げ、ひ弱で手のかかる子供になってしまう。
成人して後、人生の荒波に押し流されてしまう、打たれ弱い人間になってしまう。
木村さんの自然農法は、人間が本来持っている「自然治癒力」
で病気を治すことや、
子育てのあり方に、相通じるものがあるのです。