○あなたは、以下の何れに該当すると思いますか?
・金持ちでも貧乏でもないが 幸福だ
・金持ちでも貧乏でもないが 不幸だ
・金持ちになって 幸福だ
・金持ちになったが 不幸だ
・貧乏だが 幸福に暮らしている
・貧乏から抜け出せない不幸を嘆いている
881 【心と体の健康情報】
~般若心経~ 「大乗仏教の教え(2)」
前号879で紹介した、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読んで、「大乗仏教とは何か?」
ほんの少し分かったような気がした。
地獄から天国につながる蜘蛛の糸は、細くて今にも切れそう…
本当は何人ぶら下がっても切れることはない。
カンダタには、それが分からなかった…細くて頼りない糸に見えたからです。
私たちの心が小さいと、糸は細く弱々しく見えます。
大きな心の持ち主であれば、糸は太く丈夫に見えます…
これが「大乗」の教えです。
では、大乗仏教の教えの核心をなすものは何か?
それは空です。
「すべて空」というのが、大乗仏教の基本教理になる。
それでは”空”とは何だろう?
一言で言うのは難解だが、”空”というのは
「物を実体視するな…差別するな…よしんば差別をしても、
その差別にこだわるな!」という意味になります。
洗面器を三つ用意して、20度、30度、40度、
それぞれに温度の違ったお湯を入れます。
最初に左手を20度のお湯に、右手を40度のお湯に浸けます。
それから左右両手を同時に、真ん中の30度のお湯に浸けると、
どうなるでしょう?
20度のお湯に浸けていた左手は”温かい”と感じ、
40度のお湯に浸けていた右手は、”ぬるい”
と感じるでしょう…30度のお湯は変わらないのに、左手と右手は、
違った感触を持ちます…
これが般若心経が言う”空”なのです。
つまり、30度のお湯そのものが”空”なのです。
それを私たちは、「温かい」とか「ぬるい」とか、
勝手に受け止めて、こだわっているのです。
そんなこだわりは捨ててしまいなさい…というのが、般若心経の教えです。
しかしながら、私たちは日頃様々なモノを比較して、
そのことにこだわりながら生きています。
ある人は、人よりも自分は「貧しい」と思い込み、「不幸だ不幸だ」
と嘆いている。
般若心経では、「豊かさ」も「貧しさ」も”空”です。
つまり私たちは、「貧しさ」を何かと比べ、実体視して、不幸を嘆いているのです。
観自在菩薩(観音さま)は、肉体も精神もすべてが”空”であると照見された。
肉体も精神も、すべてが”空”であることを悟ったとき解脱し、一切の苦しみ・災厄克を克服したのです。
ひろさちやの般若心経「第15講」