■「歯のない人」の認知症発症率は1.5倍
厚生労働省は、愛知県の65歳以上の4,425人を対象に4年間、
歯と認知症の関係を追跡調査した。
この間、認知症を発症し、更に介護が必要な人のパーセントは…
・自前の歯が20本以上残っている人 … 2.9%
・歯がほとんどなく、入れ歯を使っている人 … 7.3%
・ 〃 、入れ歯もない人 … 11.5%
食べ物を「あまりかめない」と答えた人は、「何でもかめる」と答えた人より、
認知症の発症率は1.5倍高い、
という結果が出た。
食べ物を十分にかめないと、脳が「認知する能力」が低下するのです。
虫歯や歯槽膿漏は、早めに治療しておくことが、認知症の予防になるのです。
877 【心と体の健康情報】
~食と健康~ 「脳の栄養を考えた食事を…」
脳を働かせるエネルギー源は「ブドウ糖」…脳を働かせる栄養素はブドウ糖だけです。
脳がブドウ糖を取り込んでいる時に、脳の活動が活発になります。
うつ病などで、気分が落ち込んでいる時は、ブドウ糖の取り込みが減り、
脳の活動が低下します。逆に頭を使っている時は、
脳が活発に働き、ブドウ糖をたくさん消費するのです。
日本人の糖分摂取量は、30年前の半分くらいに減っている。
その一方、糖尿病患者は増え続けている。糖分摂取が不足しても、
脳はブドウ糖を必要とするため、体内のほかの部分にブドウ糖が行き渡らなくなる。
すると、インスリンが出ても十分に働らかず、血中のブドウ糖は、増えたままの状態になる…
これが糖尿病です。
ダイエットで、摂取カロリーを抑えようとすると、
かえって糖尿病を誘発するのです。
うつ病の治療に使われる「セロトニン」という薬の原料は、マグロやカツオ、
豚の赤身などに多く含まれるアミノ酸です。ダイエットで、
食生活が野菜や果物に偏ると、「セロトニン」が不足して、
うつ症状になりやすくなる。
健康によくないと、やり玉に挙げられるものに「コレステロール」がある。
しかし、「ガン」や「呼吸器疾患」「アルツハイマー病」
は、血中のコレステロールが多い人の方がなりにくいのです。
脳は、脂肪を多く必要とするので、
ある程度のコレステロールがないと働きません。
ボケることなく、いつまでも健康でありたいと願うなら、
脳の栄養を考えた食事を心がけることです。
毎日何を食べるかということは、「どう生きたいか」ということに深く関係します。
食事は、体の健康だけでなく、その人の人生観と切り離せず、深いつながりがあるのです。
浜松医科大学名誉教授 高田明和「食と健康」より